2019年8月25日日曜日

第249夜 東西格差も予想に活かしたい


▼東京都心部が原因か
東西格差は固定化しつつある。
勝利数や獲得賞金額で長期にわたり西高東低の状態が続いていることは知られているが、2014年、ついに出走回数も西が東を上回ったようである。
勝率でみれば、厳然とした力の差があるのは事実だけれど、東はそれでも出走回数が多かったので勝利数を稼いでいた。
出走回数自体が逆転したことで、もはや東が西に勝つ見込みはしばらく潰えたと言っていいだろうと思う。
1988年に栗東の勝利数が美浦を上回り、今や獲得賞金比率は栗東6に対して美浦4

有力種牡馬の産駒数でも栗東所属馬の比率が多い。
2012年に導入された「自ブロック対象制度」くらいでは美浦の巻き返しに至らない状況である。

保護下で勝ち上がっても、上にいくほど壁が厚くなる。

原因は複合的なものであるけれど、坂路だけではなく、立地、持ち乗り調教助手制度など、簡単に解決できない差が東西にはある。
これが入厩馬の質の差の拡大に拍車をかける。
東西の格差を縮めるには、何か大きな転機が訪れることを待つしかないのかもしれない。
出走回数 勝利回数 勝率 勝率差
美浦 栗東 海外 地方他 合計 美浦 栗東 海外 地方他 合計 美浦 栗東 海外 地方他 合計 美浦 栗東 海外 地方他 合計
2006年 20,406 19,275 19 9,486 49,186 1,366 1,710 3 376 3,455 6.7% 8.9% 15.8% 4.0% 7.0% -0.3% +1.9% +8.8% -3.0% +0.1%
2007年 21,715 19,586 20 7,688 49,009 1,474 1,606 1 378 3,459 6.8% 8.2% 5.0% 4.9% 7.1% -0.2% +1.3% -1.9% -2.0% +0.1%
2008年 22,073 20,503 15 7,859 50,450 1,377 1,651 0 427 3,455 6.2% 8.1% 0.0% 5.4% 6.8% -0.7% +1.1% -6.9% -1.5% -0.1%
2009年 21,965 20,455 14 8,078 50,512 1,404 1,664 0 387 3,455 6.4% 8.1% 0.0% 4.8% 6.8% -0.6% +1.2% -6.9% -2.2% -0.1%
2010年 21,667 20,301 18 8,119 50,105 1,437 1,607 2 414 3,460 6.6% 7.9% 11.1% 5.1% 6.9% -0.3% +1.0% +4.2% -1.9% 0.0%
2011年 20,991 19,972 16 8,156 49,135 1,360 1,668 1 424 3,453 6.5% 8.4% 6.3% 5.2% 7.0% -0.5% +1.4% -0.7% -1.8% +0.1%
2012年 21,068 20,022 10 8,856 49,956 1,344 1,664 0 450 3,458 6.4% 8.3% 0.0% 5.1% 6.9% -0.6% +1.4% -6.9% -1.9% 0.0%
2013年 20,202 19,506 9 10,327 50,044 1,302 1,611 1 542 3,456 6.4% 8.3% 11.1% 5.2% 6.9% -0.5% +1.3% +4.2% -1.7% 0.0%
2014年 19,685 19,624 8 10,985 50,302 1,306 1,652 1 497 3,456 6.6% 8.4% 12.5% 4.5% 6.9% -0.3% +1.5% +5.6% -2.4% -0.1%
2015年 18,399 19,466 8 12,119 49,992 1,326 1,703 1 427 3,457 7.2% 8.7% 12.5% 3.5% 6.9% +0.3% +1.8% +5.6% -3.4% 0.0%
2016年 18,324 19,838 4 11,910 50,076 1,397 1,761 0 301 3,459 7.6% 8.9% 0.0% 2.5% 6.9% +0.7% +1.9% -6.9% -4.4% 0.0%
2017年 19,584 21,173 7 8,535 49,299 1,428 1,914 0 116 3,458 7.3% 9.0% 0.0% 1.4% 7.0% +0.3% +2.1% -6.9% -5.6% +0.1%
2018年 19,782 21,736 7 7,093 48,618 1,310 1,811 0 339 3,460 6.6% 8.3% 0.0% 4.8% 7.1% -0.3% +1.4% -6.9% -2.2% +0.2%
合計 265,861 261,457 155 119,211 646,684 17,831 22,022 10 5,078 44,941 6.7% 8.4% 6.5% 4.3% 6.9% -0.2% +1.5% -0.5% -2.7% 0.0%

さて、このブログはジャーナリズムではないので、競馬のあり方とかそういった問題提起をするようなものではない。
西が強くて東が弱い、ということをもう少し掘り下げて競馬予想に活かしたいと考えるだけである。
できれば競馬場ごとの際なども知っておきたい。
言うなれば「競馬場補正」というものだ。
例えば、遠征の影響はあるようだ。
下表のように、美浦所属馬と栗東所属馬の競馬場別成績をみると、栗東所属馬は、中山と福島での成績が芳しくない。
美浦所属馬でも東京では中山ほどの成績を残せていない。
この3つは東京都心部を通過する輸送である。
まさかとは思うが、都心部通過の影響があるのか。

美浦所属馬の場合は、西への遠征で成績が良くない。
小倉や中京の成績が今ひとつである。
小倉は遠く、中京は栗東組に比べて輸送ハンデが大きい。
京都や阪神の成績も良くないが、関東開催を蹴ってまで遠征するだけの力はあるのだろう、低いなりに健闘しているとわたしは読む。
東京・中山に比べ京都・阪神は(どちらかといえば)平易なコースということもあるかもしれない。

競馬場補正
結論として言えば、各競馬場で栗東・美浦所属馬の有利不利を加減する必要があろう。
今夜示したデータは勝率だが、スピード指数や速度指数でも当てはまる。
以前、ブログ記事で記した頭数とともに、意外と盲点の情報である。
美浦 栗東
勝利回数 出走回数 勝率 勝利回数 出走回数 勝率
札幌芝 518 6,554 7.9% 537 5,729 9.4%
函館芝 506 6,365 7.9% 512 5,379 9.5%
新潟芝 1,366 21,492 6.4% 701 7,185 9.8%
福島芝 1,085 15,958 6.8% 515 5,509 9.3%
東京芝 2,230 31,590 7.1% 698 7,115 9.8%
中山芝 1,977 26,503 7.5% 395 4,513 8.8%
京都芝 266 4,774 5.6% 2,659 32,259 8.2%
阪神芝 272 4,245 6.4% 2,246 27,882 8.1%
中京芝 325 6,594 4.9% 1,194 15,274 7.8%
小倉芝 286 5,677 5.0% 1,673 20,511 8.2%
札幌ダ 452 5,374 8.4% 406 4,383 9.3%
函館ダ 383 5,093 7.5% 452 4,218 10.7%
新潟ダ 928 14,052 6.6% 518 5,218 9.9%
福島ダ 719 11,247 6.4% 365 4,053 9.0%
東京ダ 2,264 33,275 6.8% 498 5,371 9.3%
中山ダ 2,517 36,006 7.0% 295 3,261 9.0%
京都ダ 282 4,947 5.7% 2,804 36,311 7.7%
阪神ダ 220 4,240 5.2% 2,512 32,347 7.8%
中京ダ 369 7,717 4.8% 1,139 13,377 8.5%
小倉ダ 225 4,076 5.5% 939 11,974 7.8%
(SiriusA+B)

2019年8月18日日曜日

第248夜 福島の星

▼過去の成績評価
長い間調べたいと思いながら手が付けられなかったものは山ほどあるのだが、「福島競馬場の成績はどうもあまり参考にしてはいけない気がする」という課題はその中の一つにある。
予想する際にも同じことが言え、例えば福島競馬で有名な重賞に「七夕賞」があるけれど、過去に他競馬場で走った成績があまりあてにならないと毎年感じていた。
わたしの感覚ではあるが、要するに福島はほかの競馬場と違う、と思うのだ。
過去走の成績を競馬予想の主要材料にする人は多いと思うが、福島での良績をそのまま信じてよいものかどうか、それこそ競馬を始めて間もない頃から感じていたのである。

「なら、さっさと調べてみろよ」と言われるかもしれない。
いよいよ今夜手を付けたわけだが、直感は間違っていないようだと思えたものの、奥は深そうで、今後も研究は必要だと思った。
ちなみに今夜の分析は芝コースだけである。

▼調査
調査は、2006年から2018年までの期間で福島の芝コースにて勝利した馬の同期間内での全成績(中央競馬平地競走のみ、除外、取消は含まない)を抽出し、競馬場毎の勝率を算出した。
集計期間中の福島競馬場芝コースの競走数は1,759競走、勝馬頭数は延べ1,762頭で1着同着が3回あった。
延べ頭数を整理すると、実際に勝った馬は1,587頭である。
これらの馬の中央競馬平地競走の成績を見たのである。
除外と取消を除き、計36,025件のデータがあった。

比較の参考資料として、札幌、函館、新潟の各競馬場でも同じように算出している。
期間中にはコース改修などもあるが、ここでは考慮していない。

調査結果は下表のとおりである。
★表 競馬場別勝馬の中央競馬平地競走成績
札幌芝勝馬 函館芝勝馬 新潟芝勝馬 福島芝勝馬 札幌芝勝馬 函館芝勝馬 新潟芝勝馬 福島芝勝馬
芝競走数 1,127 1,112 2,259 1,759
同着回数 1 5 4 3
延べ勝馬頭数 1,128 1,117 2,263 1,762
札幌芝成績 0.380 0.102 0.094 0.084 1,128/2,972 171/1,669 96/1,020 109/1,296
函館芝成績 0.116 0.350 0.109 0.098 183/1,573 1,117/3,190 109/1,004 123/1,252
新潟芝成績 0.095 0.094 0.319 0.086 100/1,050 114/1,207 2,263/7,104 301/3,491
福島芝成績 0.102 0.094 0.094 0.347 105/1,029 112/1,189 295/3,129 1,762/5,079
東京芝成績 0.093 0.079 0.083 0.066 256/2,743 183/2,313 570/6,871 315/4,768
中山芝成績 0.091 0.078 0.081 0.083 216/2,376 175/2,242 433/5,327 432/5,199
京都芝成績 0.086 0.074 0.086 0.071 225/2,618 177/2,404 326/3,802 230/3,246
阪神芝成績 0.093 0.084 0.083 0.071 209/2,241 164/1,944 295/3,549 185/2,623
中京芝成績 0.087 0.086 0.077 0.072 105/1,213 112/1,304 214/2,795 174/2,432
小倉芝成績 0.084 0.097 0.095 0.095 80/957 115/1,185 212/2,229 242/2,555
札幌ダ成績 0.087 0.058 0.098 0.079 9/103 7/121 13/133 9/114
函館ダ成績 0.115 0.088 0.056 0.013 13/113 11/125 5/90 1/79
新潟ダ成績 0.054 0.095 0.075 0.085 7/130 13/137 30/399 27/318
福島ダ成績 0.038 0.075 0.073 0.064 4/106 10/133 25/341 15/235
東京ダ成績 0.065 0.046 0.062 0.043 29/447 20/431 62/993 33/765
中山ダ成績 0.082 0.068 0.072 0.072 33/401 33/482 74/1,027 72/996
京都ダ成績 0.075 0.058 0.081 0.043 38/504 26/449 48/589 24/564
阪神ダ成績 0.094 0.067 0.091 0.042 33/350 23/341 44/485 18/433
中京ダ成績 0.087 0.054 0.035 0.038 18/207 13/240 16/463 14/371
小倉ダ成績 0.065 0.047 0.057 0.057 6/92 5/106 16/282 12/209
合計成績 0.132 0.123 0.124 0.114 2,797/21,225 2,601/21,212 5,146/41,632 4,098/36,025

▼福島と東京の相関性が低い
調査前に予想していた通り、福島競馬場での勝馬すなわち成績が良かった馬は、東京競馬場では成績が良くなかった。
なぜ、福島競馬場での成績があてにならないと思ったのか、その原因はここにあったのである。
これに対して中山競馬場での成績は比較的良く、競馬場の相性というものがあるとしたら、福島競馬場芝と中山競馬場芝との相性は良いと言える。

だが、札幌、函館、新潟の4場を並べると、「勝馬のレベル」にも目がいく。
福島の勝馬は、比較した3場の勝馬より他の競馬場での勝率が軒並み低いのだ。
競馬番組の影響も大きいと思う。
ただ、札幌、新潟、函館、福島という「序列」はある。
各馬の能力はともかく、平均的には「福島の1勝より札幌の1勝」の方が価値があるかもしれないということである。
さらに、福島の良績馬は東京より中山、ということも加味すれば、予想の精度も上げられるのではないだろうか。

ちなみに、わたしは福島競馬場に最も興味を持っている。
福島を理解することが的中率向上に役立つと思うのだ。
(SiriusA+B)


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