長い間調べたいと思いながら手が付けられなかったものは山ほどあるのだが、「福島競馬場の成績はどうもあまり参考にしてはいけない気がする」という課題はその中の一つにある。
予想する際にも同じことが言え、例えば福島競馬で有名な重賞に「七夕賞」があるけれど、過去に他競馬場で走った成績があまりあてにならないと毎年感じていた。
わたしの感覚ではあるが、要するに福島はほかの競馬場と違う、と思うのだ。
過去走の成績を競馬予想の主要材料にする人は多いと思うが、福島での良績をそのまま信じてよいものかどうか、それこそ競馬を始めて間もない頃から感じていたのである。
「なら、さっさと調べてみろよ」と言われるかもしれない。
いよいよ今夜手を付けたわけだが、直感は間違っていないようだと思えたものの、奥は深そうで、今後も研究は必要だと思った。
ちなみに今夜の分析は芝コースだけである。
▼調査
調査は、2006年から2018年までの期間で福島の芝コースにて勝利した馬の同期間内での全成績(中央競馬平地競走のみ、除外、取消は含まない)を抽出し、競馬場毎の勝率を算出した。
集計期間中の福島競馬場芝コースの競走数は1,759競走、勝馬頭数は延べ1,762頭で1着同着が3回あった。
延べ頭数を整理すると、実際に勝った馬は1,587頭である。
これらの馬の中央競馬平地競走の成績を見たのである。
除外と取消を除き、計36,025件のデータがあった。
比較の参考資料として、札幌、函館、新潟の各競馬場でも同じように算出している。
期間中にはコース改修などもあるが、ここでは考慮していない。
調査結果は下表のとおりである。
★表 競馬場別勝馬の中央競馬平地競走成績
札幌芝勝馬 | 函館芝勝馬 | 新潟芝勝馬 | 福島芝勝馬 | 札幌芝勝馬 | 函館芝勝馬 | 新潟芝勝馬 | 福島芝勝馬 | |
芝競走数 | 1,127 | 1,112 | 2,259 | 1,759 | ||||
同着回数 | 1 | 5 | 4 | 3 | ||||
延べ勝馬頭数 | 1,128 | 1,117 | 2,263 | 1,762 | ||||
札幌芝成績 | 0.380 | 0.102 | 0.094 | 0.084 | 1,128/2,972 | 171/1,669 | 96/1,020 | 109/1,296 |
函館芝成績 | 0.116 | 0.350 | 0.109 | 0.098 | 183/1,573 | 1,117/3,190 | 109/1,004 | 123/1,252 |
新潟芝成績 | 0.095 | 0.094 | 0.319 | 0.086 | 100/1,050 | 114/1,207 | 2,263/7,104 | 301/3,491 |
福島芝成績 | 0.102 | 0.094 | 0.094 | 0.347 | 105/1,029 | 112/1,189 | 295/3,129 | 1,762/5,079 |
東京芝成績 | 0.093 | 0.079 | 0.083 | 0.066 | 256/2,743 | 183/2,313 | 570/6,871 | 315/4,768 |
中山芝成績 | 0.091 | 0.078 | 0.081 | 0.083 | 216/2,376 | 175/2,242 | 433/5,327 | 432/5,199 |
京都芝成績 | 0.086 | 0.074 | 0.086 | 0.071 | 225/2,618 | 177/2,404 | 326/3,802 | 230/3,246 |
阪神芝成績 | 0.093 | 0.084 | 0.083 | 0.071 | 209/2,241 | 164/1,944 | 295/3,549 | 185/2,623 |
中京芝成績 | 0.087 | 0.086 | 0.077 | 0.072 | 105/1,213 | 112/1,304 | 214/2,795 | 174/2,432 |
小倉芝成績 | 0.084 | 0.097 | 0.095 | 0.095 | 80/957 | 115/1,185 | 212/2,229 | 242/2,555 |
札幌ダ成績 | 0.087 | 0.058 | 0.098 | 0.079 | 9/103 | 7/121 | 13/133 | 9/114 |
函館ダ成績 | 0.115 | 0.088 | 0.056 | 0.013 | 13/113 | 11/125 | 5/90 | 1/79 |
新潟ダ成績 | 0.054 | 0.095 | 0.075 | 0.085 | 7/130 | 13/137 | 30/399 | 27/318 |
福島ダ成績 | 0.038 | 0.075 | 0.073 | 0.064 | 4/106 | 10/133 | 25/341 | 15/235 |
東京ダ成績 | 0.065 | 0.046 | 0.062 | 0.043 | 29/447 | 20/431 | 62/993 | 33/765 |
中山ダ成績 | 0.082 | 0.068 | 0.072 | 0.072 | 33/401 | 33/482 | 74/1,027 | 72/996 |
京都ダ成績 | 0.075 | 0.058 | 0.081 | 0.043 | 38/504 | 26/449 | 48/589 | 24/564 |
阪神ダ成績 | 0.094 | 0.067 | 0.091 | 0.042 | 33/350 | 23/341 | 44/485 | 18/433 |
中京ダ成績 | 0.087 | 0.054 | 0.035 | 0.038 | 18/207 | 13/240 | 16/463 | 14/371 |
小倉ダ成績 | 0.065 | 0.047 | 0.057 | 0.057 | 6/92 | 5/106 | 16/282 | 12/209 |
合計成績 | 0.132 | 0.123 | 0.124 | 0.114 | 2,797/21,225 | 2,601/21,212 | 5,146/41,632 | 4,098/36,025 |
▼福島と東京の相関性が低い
調査前に予想していた通り、福島競馬場での勝馬すなわち成績が良かった馬は、東京競馬場では成績が良くなかった。
なぜ、福島競馬場での成績があてにならないと思ったのか、その原因はここにあったのである。
これに対して中山競馬場での成績は比較的良く、競馬場の相性というものがあるとしたら、福島競馬場芝と中山競馬場芝との相性は良いと言える。
だが、札幌、函館、新潟の4場を並べると、「勝馬のレベル」にも目がいく。
福島の勝馬は、比較した3場の勝馬より他の競馬場での勝率が軒並み低いのだ。
競馬番組の影響も大きいと思う。
ただ、札幌、新潟、函館、福島という「序列」はある。
各馬の能力はともかく、平均的には「福島の1勝より札幌の1勝」の方が価値があるかもしれないということである。
さらに、福島の良績馬は東京より中山、ということも加味すれば、予想の精度も上げられるのではないだろうか。
ちなみに、わたしは福島競馬場に最も興味を持っている。
福島を理解することが的中率向上に役立つと思うのだ。
(SiriusA+B)