※体裁(改行)を修正しました
▼良い予想(者)を教えてくれその道に詳しいと思われれば教えを乞われる。
それは競馬予想でも同じだ。
ただ、人によっては「良い予想(者)を教えてくれ」と言ってくることがある。
「予想者、ですか?」
「そ。いちばん上手い予想記者を教えてくれるかな」
「えー、わたしは自分で予想するので…」
「素人の予想なんて要らないよ。カネを預けるんだぞ。で、誰の印が良いと思う?」
まあこんな感じである(実話)。
簡単な予想法なら知りたいが、誰かの尻馬に乗れるなら乗りたいというのが、大方の考えである。
このブログの読者はわたしと同様奇特で、ふつうは競馬予想に心血を注いだりしない。
「できる限りラクして儲けたい」のが人情だ。
読者の皆さんは、ラクしても儲からないと思っているから研究する。
だからと言って、切々とそんな話をするような野暮はしないで、黙って自分の道を進めばよいと思う。
ただ、孤高を愛するあまり、他人に目を向けないのはもったいない。
わたしたちこそ、他の人の予想法を知るべきだ、とわたしは思う。
世の中には凄い予想家や素晴らしい戦術で勝ち続ける人がいるのだ。
他人の予想技術を学ぶことで、ひとりではなかなか辿り着けない高みに行くこともできよう。
ネット時代になって、予想業界(?)は百家争鳴、玉石混交、魑魅魍魎(ちみもうりょう)も跋扈(ばっこ)する世界だ。
その中から「参考にしたい予想家」を探し出す。
今夜はわたしなりの「参考にしたい予想家の判断基準」を書く。
私見であることは予めお断りしておく。
ちなみに、「良い予想家はいないか」と聞かれれば、わたしは「専門紙」と答えている。
「本紙予想」だけではなく、予想記者それぞれも唯我独尊(ゆいがどくそん)で印を打っているのではない。
メディアのほんとうの強みは、多かれ少なかれ、複数の人の眼と、メディアを介する前のピュアで圧倒的な情報量にあることを軽く見てはならない。
▼判断基準
(公開情報量)
いちばん知りたいのは、どのような手法或いはファクターで予想しているのか、という点だが、これを公開している人は、まずいない。
ヒントくらいをサービスしてくれる人はいるものの、たいていは予想の印を見て、どんな予想法なのかを研究するしかないので、予想本数の多さ、過去の予想実績が豊富であるものを探す。
今は予想力を競うサイトもある。
過去の予想実績が残されている。
そうしたところで見つけたい。
過去の資料がない、或いは的中実績しかないものは参考にしない。
特に、有料会員であっても開示していないようなら、やめたほうがいいだろう。
他人を出し抜くために秘匿した、高価な情報というものは無い。
わたしは、こうした詐欺まがいの駆逐された世界の実現を願っている。
(予想本数)
公開されている予想でも、予想本数が少ないものは除く。
例えばメインレースのみとか、主要3レース厳選予想とかいったものである。
これにはふたつ理由があって、ひとつは研究材料が少なくなるというこちらの都合と、もうひとつは予想技術への疑問である。
わたしは、これらを研究対象にすることはない。
仮に、厳選された予想で高い的中率と回収率を誇るものがあるなら別だが、多くは的中率か回収率のどちらかしか高くない。
障害戦、新馬戦以外は全部予想する、くらいの予想でなければ、予想法になにがしかの欠陥があると思われる。
的中率の高さについては後述したいが、少ない予想本数での回収率はひとつ当たればしばらく高い状態が続く。
ちなみに、的中率が20%でも18%でも15%でも、回収率は長い期間をとればだいたい70-80%くらいになる。
少ない予想本数は、これを覆い隠す効果がある。
(的中率)
的中率か回収率かという問題であるが、参考にしたい予想では的中率である。
最終的に、つまり結果として回収率は必要になるけれども、予想精度を比較検討する際には参考にならない。
的中率の定義はいくつかあって粉飾されがちであるから、この点は注意してほしい。
的中率8割などというのは、「レース的中率」であり、何点馬券を買ってもひとつ当たれば的中とする場合である。
単勝1番人気勝率33%、複勝率65%、馬連1・2番人気の組み合わせで12%という数字(すべて1点買い)を基準として頭に入れておきたい。
良心的なサイトでは、トリガミの場合は的中にカウントしないというところもあるから、比較する際にはルールを揃えて考える。
的中率は、的中本数を買い目の本数で割ったものが本来の実力だ。
本命(軸馬)的中率(勝率、連対率、複勝率)というのが有ればありがたい。
複数の馬をBOXで買う戦術もあるので絶対ではないが、この場合には回収率が飛び抜けていなければ選びにくい予想だ。
有力な予想では、本命の勝率が22-23%、30%弱のふたつに集まっている印象である。
前者は前日までに取得できるデータで予想する、後者は当日の早い時点で人気を参照して予想する、といった手法の違いである可能性が高い。
後者の予想法では本命が人気馬であることが多い。
この場合は本命が1番人気でないときの勝率や複勝率をチェックしよう。
一見して後者の予想法が成績は良さそうに見えるが、オッズから乖離していないので、黒字の領域まで昇華させるのはほぼ不可能だとわたしは考えている。
前者であれば、本命の勝率が25%超なら素晴らしい予想法である可能性が高い(本命の勝率22-23%はもちろん優れているが、ファクターの選択、データの加工などのどこかに足りないものがある)。
必ず前日までに予想しているようなら、研究すべきだと思う。
(回収率)
回収率は、一発大きいのを当てれば良い数字を出せるため、実は的中率よりもハードルが低い。
個人が一発屋的方法で勝つ手法はむしろメジャーな戦法だが、予想法を参考にする、予想を買う、といった場合、回収率はあまり良い指標ではない。
的中率が高い予想法で、回収率が80%を超えているなら、かなり凄い予想とみている。
できれば、半年、1年と長期で同様の実績かどうか分かればありがたいところだ。
もちろん100%以上がいいのだが、そうそうあるものではない。
的中率がそうでもなくて、回収率が100%を超えているようなものなら、できる限り長期で見たり、予想本数を増やしたりして実績を確認する。
▼予想というより情報を買う
ここまでをまとめると「障害戦・新馬戦を除くほとんどのレースで予想し、当日のオッズを参照することなく前日までに予想され、本命的中率が25%超、回収率が安定的に80%を超える予想家」となろうか。
厳しい判断基準のようだが、実際に存在するし、是非研究させてもらいたい予想だ。
実は、これ以外の場合で参考にしたい予想法もある。
独自の視点を持つ予想である。
予想というより情報かもしれない。
例えば、レースを全部観て評価する手法、気象条件、騎手の御法、馬具などを加味する手法は、簡単に真似できない。
労力に加え、独特のノウハウが必要である。
裏を返せば、オッズに反映されにくい貴重な情報である。
時間と手間を含めたコストパフォーマンスを考えると、参考にしたいどころかファクター情報料として買うことも悪い話ではないのだ。
予想ではなく情報を買うというのは、パソコンなどが本格的に普及する前の専門紙の購入と同じである。
前世紀末、競馬記者には申し訳ないが「予想は要らん、馬柱だけ欲しいんじゃ」とわたしの大先輩はよく言っていた。
貴方が自分で予想を組み立てる人なら、予想部分を鵜呑みにする必要もなく、情報部分のみ活用すれば良い。
短気な人には言っておきたいのだが、できれば丸1年分のデータが揃うまでは活用を待とう。
レース結果にどのくらいの相関があるのか、1年でも短いが検証する。
データの「癖」が分かれば、自身の予想ファクターに組み込むこともできよう。
(SiriusA+B)