2023年9月24日日曜日

第434夜 単複スイッチング


隣は何をする人ぞ
たかだか12レースの資料で何が分かるというのか、という疑問は置いておき、202315日中山競馬12競走の馬券の売り上げを眺めていた。
券種ごとの投票総数である。
これだけなら「メインレースは売り上げが多いな」くらいしか分からないが、出走頭数、クラス、1番人気オッズを加えて考えると、いろいろ仮説が思い浮かぶ。
仮説というのは資料が少ないからで、キチンと調べていけば正しいこともそうでないこともあるからである。
プレーヤー(馬券購入者)を「ディープファン」「ライトファン」と仮定して考察するとなお興味深い。
馬券の売り上げ傾向が競馬予想の役に立つのか、と言われれば、さあ、と答えるしかないけれど、他人の投票行動を知ることで盲点を突くこともあると思われる。
ちなみに、異常投票とか、そういったものはないという前提である。
この記事を秋にリリースするのでこのようなテーマにした。
芭蕉。

競走番号 クラス 総票数計 単勝 複勝 枠連 馬連 ワイド 馬単 3連複 3連単
中山01R 3歳未勝利 5,850,978 427,498 791,513 125,380 650,207 697,512 365,019 1,181,840 1,612,009
中山02R 3歳未勝利 4,879,666 361,501 570,014 171,783 626,155 695,324 268,521 1,142,327 1,044,041
中山03R 3歳新馬 4,320,719 365,373 475,960 145,960 598,849 576,043 255,819 953,181 949,534
中山04R 4歳上1勝 5,154,365 389,106 602,593 164,520 729,283 719,830 290,596 1,139,736 1,118,701
中山05R 3歳未勝利 6,420,336 499,008 811,971 177,607 855,954 923,219 347,422 1,443,157 1,361,998
中山06R 3歳1勝 5,441,258 561,163 537,602 100,732 664,423 672,932 348,719 965,391 1,590,296
中山07R 4歳上2勝 5,725,325 434,214 630,455 182,104 770,236 860,425 294,584 1,323,459 1,229,848
中山08R 4歳上2勝 6,939,649 558,566 741,849 198,250 1,002,612 992,474 397,580 1,480,655 1,567,663
中山09R 4歳上3勝 9,334,858 753,677 1,208,517 201,779 1,073,190 999,404 585,775 1,667,246 2,845,270
中山10R 3歳オープン 12,312,401 1,010,418 991,512 316,147 1,674,298 1,476,400 780,741 2,532,575 3,530,310
中山11R 4歳上オープン 77,281,890 3,104,453 4,040,032 2,274,481 10,412,773 9,417,484 3,170,540 22,664,484 22,197,643
中山12R 4歳上2勝 16,943,755 1,032,401 2,340,906 433,643 1,727,837 1,721,534 1,031,819 2,984,713 5,670,902
競走番号 1番人気オッズ 出走頭数 単勝割合 複勝割合 (単複計) 枠連割合 馬連割合 ワイド割合 馬単割合 3連複割合 3連単割合
中山01R 1.8 16 7.3% 13.5% 20.8% 2.1% 11.1% 11.9% 6.2% 20.2% 27.6%
中山02R 2.7 16 7.4% 11.7% 19.1% 3.5% 12.8% 14.2% 5.5% 23.4% 21.4%
中山03R 4.0 16 8.5% 11.0% 19.5% 3.4% 13.9% 13.3% 5.9% 22.1% 22.0%
中山04R 3.7 16 7.5% 11.7% 19.2% 3.2% 14.1% 14.0% 5.6% 22.1% 21.7%
中山05R 3.7 16 7.8% 12.6% 20.4% 2.8% 13.3% 14.4% 5.4% 22.5% 21.2%
中山06R 2.1 9 10.3% 9.9% 20.2% 1.9% 12.2% 12.4% 6.4% 17.7% 29.2%
中山07R 3.6 16 7.6% 11.0% 18.6% 3.2% 13.5% 15.0% 5.1% 23.1% 21.5%
中山08R 3.0 15 8.0% 10.7% 18.7% 2.9% 14.4% 14.3% 5.7% 21.3% 22.6%
中山09R 1.5 12 8.1% 12.9% 21.0% 2.2% 11.5% 10.7% 6.3% 17.9% 30.5%
中山10R 2.1 13 8.2% 8.1% 16.3% 2.6% 13.6% 12.0% 6.3% 20.6% 28.7%
中山11R 4.5 17 4.0% 5.2% 9.2% 2.9% 13.5% 12.2% 4.1% 29.3% 28.7%
中山12R 1.4 14 6.1% 13.8% 19.9% 2.6% 10.2% 10.2% 6.1% 17.6% 33.5%

単複スイッチング
この日のメインレースは中山金杯である。
今は知らないが、社会人になって間もない頃は、「ちょっと後楽園の場外(WINS)までお使いに行ってくれるか」と先輩の使い走りをしたものだ。
正月明けは今よりも明確で、仕事のエンジンもフルスロットルには程遠く、金杯はちょっとしたお祭りだった。
そんな訳で「ディープ」と「ライト」が割りと明確な日としてこの日を選んだ次第である。
2023
年も、メインレースは平場の15倍くらいの投票があった。
少々意外だったのは、第9競走、第10競走より最終第12競走のほうが馬券を売り上げていることである。
ライトファンは金杯だけで撤収した人も多そうなので、ディープファンが二匹目のドジョウを狙ったか、負けを取り戻そうとしたかと推定する。
ライトファンがメインレース以外に手を出すとすれば、第10競走のようだ。

この推論は、単勝と複勝の傾向から考えたものである。
単勝と複勝を合計すれば、投票総数の約20%前後で推移する。
10競走と第11競走のみ、この比率を大きく割り込む。
もちろん、ライトファンでも単複を買うが、ディープファンに比べて単複を買わないのではないかとみている。
両競走はオープン戦なので、ふたつのレースを買ったのかもしれない。

注目すべきは、単複合計で20%という比率だ。
わたしも驚いたのだが、単勝と複勝の売り上げ比率はレースによって結構違う。
・少頭数なら単勝を選好する。
1番人気が1倍台だと複勝を選好する。
という傾向があるように思える。
この日、単勝の売り上げが複勝を上回ったのは、9頭立ての第6競走と13頭立ての第10競走のみだった。
1
番人気のオッズは2.1倍で、単勝に妙味有りと殺到したものと思われる。

複勝は、圧倒的1番人気の存在で売り上げが増える。
このことは、単勝と複勝の間で馬券をスイッチしている人がいることを示唆する。
これに似た傾向は、枠連・馬連・ワイド・3連複でも見られる。
少頭数になると投票割合が下がるし、人気馬が出現すると券種を替える。
オッズや頭数に注目して表を眺めてほしい。

予想に活かす
以上はほとんど仮定の話で、もっと調べれば正しいかどうか検証できるだろう。
もし、仮定が正しければ、1倍台の単勝は思ったより強い、と推論を推し進めることもできるかもしれない。
1
倍台の単勝など買えるか、と怒鳴られそうだが、この日、3頭の1倍台の本命はすべて勝ち、100円ずつ計300円買っていたら470円になっていた。
収益率は157%である。
現在は救済措置もあるので複勝で万全を期した人は330円で110%である。
こちらの人が多かったのだろう。
実は単複スイッチングは「プラス10」が大きく影響している。
救済措置は美味しいのだ。
配当の仕組みに明るい人は、かなり安全な110円に殺到する。
だが、そのウラをかかないと、とわたしは思う。
わたしは、「美味しいのは複勝」と言いたいのではないのだ。
「もっと売れていいのに回避された」単勝のほうである。
貴方の本命馬が1倍台になりそうであれば、ケンでもなく、複勝でもなく、勝負に出てみるのもいい。
オッズが示すより、来る(かも)
ちなみに、ひとつ取りこぼせば単勝は290円から430円まであり得るが、複勝ならば220円である。
この場合、回収率が最も低いのは複勝220円であることを認識していただきたい。
リスクを取りにいこう。
皆と一緒では黒字は目指せない。
責任は取らないけれど。

たった12レースの資料でここまで風呂敷を広げてしまった。
全部、仮定の話だからね。
もっとデータを用意したいところが、これ、実際にデータを収集しようとするとたいへんな作業である。
念のため申し上げる。

(SiriusA+B)

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