2023年9月17日日曜日

第433夜 連勝馬は手強い


▼前々走
前走の成績は多くの要素を含んでいて、競走馬の経歴全体を考慮しなくてもそれなりの予想をすることができる。
しかし、前々走(2前走)以前の成績を加えると、予想に立体感というか厚みができる。
例えば、前走着順別の勝率は次のとおりである。

(
図表433-1)前走着順別成績(2011-2021年中央競馬平地競走)

前走順位 勝利件数 出走件数 勝率
1 3,671 35,521 10.3%
2 7,214 35,652 20.2%
3 4,981 35,511 14.0%
4 3,836 35,370 10.8%
5 2,710 35,248 7.7%
6着以下 10,485 286,763 3.7%

このブログでは頻繁に触れているとおり、前走2着馬は約20%の勝率である。
前走1着馬は、昇級などがあって10%程度だ。
これに、前々走の着順も加えてみると、次のようになる。
競走除外・出走取消は含まず、競走中止は6着以下に含み、2前走着順がゼロというのは過去1走しかしていないということを意味する。


(
図表433-2)前走・前々走着順別成績(2011-2021年中央競馬平地競走)

1前走着順 2前走着順 勝利件数 出走件数 勝率
1 1 541 3,547 15.3%
1 2 832 6,977 11.9%
1 3 490 4,839 10.1%
1 4 344 3,736 9.2%
1 5 223 2,622 8.5%
1 6着以下 796 10,173 7.8%
1 0 445 3,627 12.3%
2 1 633 3,208 19.7%
2 2 1,470 5,476 26.8%
2 3 1,092 4,587 23.8%
2 4 738 3,659 20.2%
2 5 570 2,989 19.1%
2 6着以下 1,868 12,160 15.4%
2 0 843 3,573 23.6%
3 1 455 2,995 15.2%
3 2 892 4,362 20.4%
3 3 698 4,029 17.3%
3 4 545 3,575 15.2%
3 5 420 3,227 13.0%
3 6着以下 1,431 13,715 10.4%
3 0 540 3,608 15.0%
4 1 336 2,754 12.2%
4 2 626 3,418 18.3%
4 3 502 3,580 14.0%
4 4 427 3,359 12.7%
4 5 312 3,185 9.8%
4 6着以下 1,241 15,436 8.0%
4 0 392 3,638 10.8%
5 1 235 2,666 8.8%
5 2 391 2,861 13.7%
5 3 331 3,084 10.7%
5 4 297 3,117 9.5%
5 5 229 3,093 7.4%
5 6着以下 968 16,761 5.8%
5 0 259 3,666 7.1%
6着以下 1 1,045 18,882 5.5%
6着以下 2 1,135 10,861 10.5%
6着以下 3 1,070 13,403 8.0%
6着以下 4 974 15,673 6.2%
6着以下 5 898 17,503 5.1%
6着以下 6着以下 4,492 175,207 2.6%
6着以下 0 871 35,234 2.5%

例えば前走1着馬と言っても、今走の勝率が一律に10%程度というものではなく、前々走1着で連勝してきた馬なら15%の勝率があるということが分かる。

このように直近2走で連勝した馬というのは、このデータベース11年間で延べ3,547頭しかいない。
実数では2,774頭である(数え間違いでなければ)
連勝を2回やれば2回であるのに加え、3連勝した馬なら2回とカウントされる。
ほぼ8割の馬は1回だけ連勝しているのだが、2割の馬たちは何度か登場するのだ。

(
図表433-3)連勝記録回数別頭数(2011-2021年中央競馬平地競走)

直近2走連勝回数 延べ頭数 実頭数
1回 2,201 2,201
2回 872 436
3回 294 98
4回 88 22
5回 55 11
6回 30 5
7回 7 1
3,547 2,774

このうち、データベース内で大部分のキャリアが含まれている2009-2017年産駒に絞ると、以下のようになる。
(
図表433-4)連勝記録回数別頭数(2011-2021年中央競馬平地競走で、2009-2017年産駒)

直近2走連勝回数 延べ頭数 実頭数
1回 1,731 1,731
2回 742 371
3回 258 86
4回 76 19
5回 50 10
6回 24 4
7回 0 0
2,881 2,221

9世代であるから平均して毎年250頭弱の馬が連勝を記録しているということになる。
意外に多いなというのがわたしの印象だが、皆さんはどう思うか。

1
勝するのもたいへんなことだが、連勝した馬というのはホンモノである確度がかなり高くなる。
実際、2021年末の競走までであるが、生涯2勝止まり、つまりこの連勝した2勝のみ、という馬は全体の2割に満たない。

(
図表433-5)連勝記録馬の生涯勝利回数(2011-2021年中央競馬平地競走の範囲内で、2009-2017年産駒)

生涯勝利回数 実頭数 割合
生涯2勝 368 17%
生涯3勝 585 26%
生涯4勝 590 27%
生涯5勝 350 16%
生涯6勝以上 328 15%
合計 2,221

8割が3勝以上している。
中には、過去に1勝してから連勝した馬というのもいるので、必ずしも連勝後にさらに勝ったということを示すものではないが、やはり強いということは間違いないだろう。
新馬戦や未勝利戦を起点に連勝した馬に絞ると、次のようになる。
凡そ7割弱が連勝後1勝以上したということを示している。

(
図表433-6)新馬・未勝利戦を起点にした連勝記録馬の生涯勝利回数(2011-2021年中央競馬平地競走の範囲内で、2009-2017年産駒)

生涯勝利回数 実頭数 割合
生涯2勝 343 0.315
生涯3勝 303 0.278
生涯4勝 222 0.204
生涯5勝 124 0.114
生涯6勝以上 98 0.09
1,090

▼連勝馬は手強い
今夜のタイトルの意味だが、手強いと言っても貴方が競走するのではないから馬券の話である。
3
連勝のように連勝記録を伸ばす馬は限られており、いつかは分からないが再びどこかで勝つというのが連勝馬である。
勝率で言えば思ったほど勝たない上、彼ら彼女らは人気上位になることが多いので、のべつ幕なしにベットしても勝つことはできない。
さらに、前項で「意外に多い」と申し上げたように、3勝クラスやオープンではひとつのレースに連勝馬が何頭も出走してくることも悩ましい。
だから馬券の検討では困ってしまう。
しかし、よく考えてほしい。
裏を返せば、連勝馬が思ったほど勝たないのは、同じレースに何頭も出走することも一因だ。
複数の連勝馬が出走するときには人気薄になる連勝馬も出てこよう。
実際、斤量(負担重量)でみれば、別定戦やハンデ戦は直近走に重きを置いて決められていることもあり、若いころに連勝した実力馬という栄誉はあまり反映されていないように感じる。
そこで人気薄になりそうな連勝馬を探し出し、狙えそうかどうか、重点的に検討してみるのも手だ。
「連勝馬なんて誰でも実力があるのは分かっているのだから、どうせオッズは低いでしょ」
という前に調べてみてほしいのだ。
3
着以内まででかまわない、という馬券まで手を広げれば、思わぬ高配当を得られることもある。

(SiriusA+B)

ブログ アーカイブ