2024年4月28日日曜日

第464夜 頼れるものには頼る


▼複数の眼
誰にも得意不得意があるのだから「何でも自前」が良いわけではない。
半面、他者の情報は「ブラックボックス」であることも多く、「何でも他人様(ひとさま)に頼る」のも良いとは思わない。
わたしも、情報の取得は別に、情報の判断を誰かに委ねる、依存するところはある。
調教や馬の調子については、完全に他者にお任せである。
このブログで、調教などの話題がほとんどないことは、皆さんもご認識のとおりだ。
この分野について、わたしにもポリシーや判断基準はあるけれど、はっきり言ってトラックマンには敵わない。
もし、貴方が、常日頃十分な時間をかけて予想をしている、トレセンで実際に見る、といった記者たちを上回れると思ったなら、ほとんどの場合勘違いではないかとわたしは思う。
考え方などには、玄人も素人もない部分があるが、絶対的に情報量が違うのである。
百聞は一見にしかず。
ナマで馬を見られる人は限られており、頼りにするしかない。

加えて、情報量の違い以外に、個人か組織かという問題もある。
461夜でメディアA社の調教採点成績を少しだけ載せた。
著作権もあるので詳しく紹介できないが、載せたのは短い期間の成績をまとめたものだけで、実は10年分以上の調教採点を手元にため込んでいる。
近年は、個人の自称予想家さんが大量にいるけれど、これらとどう違うのかは知っておくべきだとわたしは思っている。
個人と組織の大きな相違点は、属人的な要素がすべてか、それ以外か、である。
個人の場合、用事があって予想の公開が遅れたり欠けたりするし、予想の好不調もある。
その点、組織であれば安定しているのである。
実際、メディアA社の調教採点は長年にわたって安定している。
10
年以上ということは、トラックマンが何人か入れ替わっているだろうし、担当の変更もあるだろう。
それに、組織も千差万別で属人的要素が強いところもあれば、集団芸だなと思うところもある。
それでも複数の眼で見ている(全体の水準を合わせるなど)ので、評価にブレが少ない。
別のメディアB社の本紙予想も長い間安定していて「さすが」と思う。
個別記者の予想も仲間の情報や印に影響を受けるのか、プロ(それで飯を食う、という意)だからか、全体には波が少ない。
特殊なもの、例えばレース映像の解析とか、馬柱に載らないデータとか、そういったものは個人に頼るのもいいけれど、そうしたファクターはかなり少ない。

(参考)メディアA社の2011-2023年中央競馬平地競走評価別勝率
※調教評価のなかった馬等は除外した
※2走評価は、前走と今走とも評価があった馬に限った
※この間の勝率基準は7.06%、評価のなかった馬を除く「全体」とは若干異なる
※年毎に集計しても安定していることを申し添える
評価 勝利回数 出走回数 勝率
絶好調 2,518 11,774 0.214
好調 31,743 328,287 0.097
平凡 8,499 242,438 0.035
不調 487 28,853 0.017
全体 43,247 611,352 0.071
前走と今走の評価 勝利回数 出走回数 勝率
絶好調→絶好調 480 2,003 0.240
絶好調→好調 1,350 8,066 0.167
絶好調→平凡 110 1,192 0.092
絶好調→不調 5 62 0.081
好調→絶好調 1,284 6,715 0.191
好調→好調 21,661 200,722 0.108
好調→平凡 4,484 88,204 0.051
好調→不調 176 5,875 0.030
平凡→絶好調 129 930 0.139
平凡→好調 5,743 85,952 0.067
平凡→平凡 2,679 108,321 0.025
平凡→不調 185 12,264 0.015
不調→絶好調 6 36 0.167
不調→好調 295 5,930 0.050
不調→平凡 213 13,605 0.016
不調→不調 40 3,778 0.011

▼流用する情報の癖
前項では予想のブレが少ないとは言ったものの、どの見解にも「癖」はある。
複数の眼であるメディアでさえも癖はあり、利用するうえで癖を把握しているかしていないかで雲泥の差がある。
わたしが参考にしている馬の調子の評価でも、「この点を修正してくれないかなあ」などと思うことがある。
調子に関する限り、どのメディアでも、個人であっても、共通して言いたいのは「先入観を持たないで」ということだ。
前走において、平凡な事前評価でそれほど人気でもなかった馬が好走したとき、今走の事前評価を甘くつけているのではないかと訝(いぶか)ってしまうケースがある。
上記参考表でいう「平凡→好調」にはそうしたデータがよく入っている。
また、前走で好走したものの、なんとなく調子が下降しているように感じられても評価を下げられない、というケースもある。
少なくともわたしにはそう感じられることがあるということだ。
「お願いだから調教担当のトラックマンは前走の結果を忘れて馬を見てほしい」と言いたくなる。
まあ、無理を言っているのだけれど。
これも「癖」のひとつなので、自分が利用するとき如何に修正するか、がポイントになる。

(SiriusA+B)


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