2023年10月21日東京第9競走は6頭立てと少頭数だったのだが、配当面では珍事であった。
複勝が単勝を上回り、ワイド(拡大馬連)をも上回ったのである。
どこから少頭数と定義するかは人による。
ここでは7頭以下を少頭数と呼ぶことにする。
出走取消、競走除外を除き、競走中止を含む。
少頭数の競走数は、中央競馬平地競走の1.3%である。
2011-2023年に560レースであった。
13年間で43,256競走あったうちの560レースである、「やはり少ないな」と思った人は多いと思う。
しかし、1.3%ということは「毎週土日で1レースが少頭数」は言い過ぎだが、「土日に1レースあっても不思議ではない」というくらいの数なのだ。
3場開催で34乃至35レースが平地競走とすると、土日で70レース弱、1レースは土日全体の1.4%にあたるのである。
実は、近年、少頭数のレースは増加しており、2022年や2023年は70レース前後、全体の2%もある。
「土日に1レースは、ほぼある」くらいになっているのが現状だ。
「馬券で妙味はないからケンだ」とは言っていられない数だとわたしは思っている。
▼少頭数レースから学べること
「少頭数だから、予想はしやすい」というのは本当だろうか。
これには興味深いデータがある。
1番人気から人気順にゴールするようなレースが稀に存在する。
1着1番人気、2着2番人気、3着3番人気……となるレースである。
「単勝パーフェクト予想」とでも呼ぼうか。
2011年以降の平地競走で14レースあり、いずれも少頭数すなわち7頭以下であった。
単勝パーフェクト予想は、全平地競走の0.0324%ちょっとだから3,000レース強で1レースくらい、平地競走は年3,330前後なので年1回くらいの極めて稀なものである。
多頭数に比べて紛れが少ない、全馬が力を発揮しやすい、という一般に言われる推測は、間違っていないだろうと思われる。
ただし、「予想しやすいのか」というとどうだろうか。
少頭数560レースで1番人気馬の単勝支持率(1/単勝オッズ×4/5の平均)は44%と高いように見えるが、1番人気馬の勝率も44%(560頭中248頭)でほぼ同じである。
頭数が少なくても、わたしたちの予想精度に変わりはない。
単勝パーフェクト予想の14レースは一覧にすると「堅く収まりやすい競走条件」も透けて見える。
意外にも、ダート競走は2レースだけで、残る12レースが芝コースであった。
ダートはいずれも新馬戦だった。
阪神ダ1、函館ダ1、京都芝4、中京芝4、阪神芝1、東京芝2、新潟芝1である。
「ダートより芝のほうが実力を発揮しやすいのか」
うーんと、ダートの少頭数って少ないのよね。
「関西の開催が多いな」
うん、まあ、そもそも関西で少頭数レースが多いけれど、最後の直線の問題かもしれない。
眺めていると、紛れは少なくなる(レースに与える影響が相対的に小さくなる)コース、出走馬の実力差が大きそうなクラス(新馬、未勝利、同歳戦オープン、1勝クラス)が、パーフェクト予想に繋がっているように思える。
そして、忘れてはならないのが、やっぱり穴馬も来るということである。
少頭数560レースで単勝10倍以上の勝ち馬は53頭、最大オッズは65.5倍、50倍以上は最大オッズの分も含めて3回、20倍以上50倍未満が10回ある。
結局、競馬の難しさは出走頭数が原因ではない。
(SiriusA+B)
(図表462-1)単勝パーフェクト予想のレース(クラスは現在の呼称に合わせた)
2015/03/14中京09レース(7頭) | 芝1600 | 3歳1勝クラス |
2016/10/29京都06レース(6頭) | 芝外2400 | 3歳上2勝クラス |
2017/09/30阪神06レース(6頭) | ダ1800 | 2歳新馬 |
2017/11/03京都04レース(6頭) | 芝2000 | 2歳未勝利 |
2018/07/21中京09レース(7頭) | 芝1600 | 2歳オープン |
2018/08/04新潟08レース(7頭) | 芝1400 | 2歳オープン |
2020/02/15京都09レース(7頭) | 芝外1400 | 4歳上2勝クラス |
2020/05/10京都07レース(5頭) | 芝外2400 | 4歳上1勝クラス |
2021/07/17函館05レース(5頭) | ダ1000 | 2歳新馬 |
2021/10/02中京09レース(7頭) | 芝1400 | 2歳オープン |
2021/10/09東京11レース(7頭) | 芝1600 | 2歳オープン |
2022/01/16中京08レース(4頭) | 芝2200 | 3歳1勝クラス |
2022/10/23東京06レース(7頭) | 芝1400 | 2歳1勝クラス |
2022/11/06阪神03レース(6頭) | 芝2000 | 2歳未勝利 |
(図表462-2)少頭数レースの内訳(カッコ内は単勝パーフェクト予想数)
芝 | ダ | |
札幌 | 56(0) | 7(0) |
函館 | 59(0) | 12(1) |
新潟 | 14(1) | 2(0) |
福島 | 9(0) | 0(0) |
東京 | 58(2) | 2(0) |
中山 | 20(0) | 4(0) |
京都 | 80(4) | 9(0) |
阪神 | 117(1) | 20(1) |
中京 | 42(4) | 7(0) |
小倉 | 37(0) | 5(0) |