2024年4月7日日曜日

第461夜 調教や馬の調子を自分の予想に取り込む


▼調教情報
調教や馬の調子は、予想ファクターの中でも有力なもののひとつで、最重要視する人も多いように思う。
ソロモンの指輪は誰も持っていないので、馬が「調子悪いわ」と教えてくれていたとしても理解できず、わたしたちは気配などで感じ取る以外にないのだが、その手段のひとつが調教なのだろう(ほかに厩舎情報など)
「調子が悪くても強い馬は強いんだよ」と言う人もいるが、「強くても調子が悪ければ走らない」と反論する人もいる。
ただ、生き物であるから常に一定と考えるのは不自然で、体調の良いとき悪いときがあるし、大人びたり、加齢で鈍くなってきたりするものと捉えるほうが現実に近い。
ほんとうはそう思っていても、調教情報は収集も分析も難しいため、見て見ぬふりをする人もいよう。
このブログでは、調教についてこれまであまり深入りしてこなかった。
競馬ファンでも知識の差が大きく、説明が面倒なのと(そう、ほんとうに面倒なのだ)、調教は血統以上に専門家が多く、わたしの出番はないと考えてきたからだ。
今もその考えに変わりはないけれど、「馬のことは分からない」という前提で調教情報を扱おうと考える人に参考になればと書くことにした。

「調教は大事」という人は、ネットの中では結構いる。
詳しく教えてくれる人もいるし、見方の解説をしてくれるところもある。
血統の解説と違い、知識の披露ではなく、「タイムはこう読むんだ、走りっぷりはこういうところを見るんだ」と教えてくれる。
ところが、これが難しいのだ。
鞍上が調教助手じゃなくて騎手だから勝負がかっている?
調教師が乗ったけど、斤量はやたらとないか? タイムは割引が必要?
3
頭並走で真ん中を走って先着したけど、他の2頭は調子どうなの?
前回は坂路だったけど、ポリトラックで調整しているのは体調が悪いの?
タイムだけでも分析が難しいのに、こんな問題が次々に出てくる。
さらに、調教映像で走りっぷりを見るとなればもう……。
「うん、そうだね。諦めよう」と予想の要素から外す人が続出しても仕方あるまい。

そこで、便利グッズが登場する。

てってれー♪

専門紙やスポーツ紙の調教評価(調教採点)である。
「は?」
と言われそうだが、正気である()

▼調教評価(調教採点)
調教などをファクターとして考えている人を調べていくと、実は、大きく2段階の系統があることに気付く。
ひとつは、調教タイムなどを自ら分析する(できる)人。
もうひとつは、調教の評価・採点を参照する人。
これは、TOKIOの鉄腕何とかという人気テレビ番組ではないが、ラーメンを作るのに小麦から製麺するのか、麺は仕入れてくるのか、といった「どこからスタートするか」の違いである。
わたしも小麦から作りたいけれど()、時間の制約から考えて情報を仕入れるところからスタートする。
メディアも有料が多いように、調教データの解析ができる人は有料で提供できるほどの技術を持っていると誇っていいと思う。
わたしが専門紙やスポーツ紙の調教評価を推薦するのは、各紙によってまちまちだが定型化されている、複数人で担当するのでブレが少ない、毎週のことなので自身で頑張るよりも確実に収集・分析できるという点にある。
さらに重要な理由は、やはりプロの採点だからだ。
現場(トレセン)で見て、気配を含めた総合判断をする。
多少いい加減なことがあったとしても(まあ人間だからね)、素人の映像判断よりは悪くないだろう。
できれば、23のメディアから調教評価を収集するのが間違いない。
どれくらいの精度を求めたいのかは個人の考えに拠るが、他人様から頂戴するデータである、軸の馬を決めるようなものというより、「上位に入ってきそうなグループ」「そうでないグループ」に分ける程度で良いと思う。
そして、それくらいの大きな括りの仕分けであれば、かなりの威力を発揮する。
ちなみに、メディアによる質の優劣はある。

▼評価の統計を取る
予想への組み込み方も課題と思う人は少なくないだろう。
これも勝率或いは連対率・複勝率、賞金などに換算すれば接続しやすいと思う。
スピード指数(ここでは速度指数)でも「期待する伸びしろ」を組み込みできるが、いずれにせよ、評価を集計しなければならない。
著作権があるので、特定のメディアの予想で例示できないが、下表のように集計すれば他のファクターとの接続が可能になる。
この例では、4段階で評価するメディアA社という設定である。
それぞれのグループで集計し、全体との平均差を算出しておけば加減が容易だ。
速度で言えば、貴方が過去走から算出した予想速度に、例えば9点評価馬ならば斤量補正などと同様に「調子ファクター」として+0.3km/hを足してやればよい。
9
点の馬は、平均して0.3km/hほど速く走れる好調さがあると予想して加えるのである。
数学的にはちょっと不味いところもあるけれど、無茶苦茶な計算をするよりはマシと思う。
ちなみに、わたしは、あるメディアの調教採点を重宝している。
専門紙ではないが、たいへん参考になっている。
もちろん、その評価の弱点も熟知している。

(
図表)メディアA社の調教採点()半年から1年分程度のデータを集計したものと想定

評価

割合

勝率

速度

9

5%

18%(平均差+11%)

59.1km/h(平均差+0.3)

8

35%

14%(+7%)

58.9km/h(+0.1)

7

45%

6%(-1%)

58.4km/h(-0.4)

6

15%

4%(-3%)

57.9km/h(-0.9)

 

7%

58.8km/h

(SiriusA+B)

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