上がり3ハロンとはゴールから600mをいう。
同じ600mでも、芝ダート、競走距離、馬場状態、展開などによって、走破タイムは変わってくる。
出走各馬の上がり3ハロンタイムは貴重な予想資料になるが、今夜は1着馬の上がり3ハロンだけを使って、出走各馬の次走成績にどのような傾向があるのかを調べる。
レースの展開を簡易的に判断材料にする意図である。
図表503-1は、勝ち馬の上がり3ハロンタイムを1秒ごとにまとめた資料だ。
芝とダートでは、分布が異なるので分けている。
1着同着は、申し訳ないが、任意の1頭を代表にした。
芝では35秒以下(34.1秒から35.0秒)のレースが最も多く、ダートでは38秒以下が最も多い。
それほど顕著な差異はないものの、芝でもダートでも、勝ち馬の上がり3ハロンが速くなるほど、出走各馬の次走成績も良くなってくる。
件数が少ないところは参考程度にとどめていただければと思う。
これを、出走馬の着順別に分けたのが図表503-2である。
勝ち馬の上がり3ハロンのタイムを「遅い」「ふつう」「速い」の3つに分けた。
表が大きくなりすぎるため、勝率だけ掲載する。
この表では、勝ち馬の上がり3ハロンのタイムによって、上位入線馬の次走成績に差があることが分かる。
正直申し上げて、8着以下にはあまり関係がないようで、1着から7着に注目していただきたい。
勝ち馬の上がり3ハロンが遅いほど、自身を含む上位馬の次走成績が低下する。
わたしには、上がり3ハロンが遅いというのは、ハナからがんがん走ってゴール前で皆バテてしまい、エネルギーを使い果たすような印象であった。
「これだけ全力で走っていい練習になったのだから、次走は期待できるだろう。レベルの高いレースだ」
などと思っていたのだが、そんなことはまったくなかった。
むしろ、ざっくり言って、出走馬の上位入線馬たちのレベルが反映されていると考えることもできよう。
もちろん、ハイペースで進んだ結果という場合もある。
ただ、全体としては、上位入線馬のレベル反映と思うのだ。
(図表503-1)勝ち馬の上がり3ハロン別出走馬の次走勝率(2011-2024年中央競馬平地競走)
勝ち馬の上がりタイム | ダ競走数 | 次走勝利数 | 次走出走数 | 勝率 | 芝競走数 | 次走勝利数 | 次走出走数 | 勝率 |
45秒以下 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 13 | 0.000 |
44秒以下 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
43秒以下 | 1 | 1 | 13 | 0.077 | 1 | 1 | 13 | 0.077 |
42秒以下 | 30 | 24 | 391 | 0.061 | 3 | 3 | 37 | 0.081 |
41秒以下 | 258 | 134 | 3,168 | 0.042 | 4 | 3 | 47 | 0.064 |
40秒以下 | 1,419 | 1,004 | 17,408 | 0.058 | 19 | 19 | 254 | 0.075 |
39秒以下 | 4,508 | 3,568 | 54,941 | 0.065 | 71 | 58 | 823 | 0.070 |
38秒以下 | 7,900 | 6,898 | 99,179 | 0.070 | 396 | 311 | 4,894 | 0.064 |
37秒以下 | 6,530 | 6,075 | 83,614 | 0.073 | 2,016 | 1,679 | 25,395 | 0.066 |
36秒以下 | 2,446 | 2,287 | 30,978 | 0.074 | 6,383 | 5,652 | 80,882 | 0.070 |
35秒以下 | 271 | 258 | 3,330 | 0.077 | 9,028 | 8,521 | 114,806 | 0.074 |
34秒以下 | 4 | 2 | 45 | 0.044 | 4,676 | 4,711 | 57,779 | 0.082 |
33秒以下 | 0 | 0 | 0 | 0 | 593 | 629 | 7,572 | 0.083 |
32秒以下 | 0 | 0 | 0 | 0 | 25 | 25 | 338 | 0.074 |
(図表503-2)勝ち馬の上がり3ハロン別、各馬着順別出走馬の次走勝率
完走馬今走着順 | ダ40秒超 | ダ35秒超40秒以下 | ダ35秒以下 | 芝37秒超 | 芝33秒超37秒以下 | 芝33秒以下 |
1着 | 0.025 | 0.089 | 0.124 | 0.093 | 0.124 | 0.167 |
2着 | 0.189 | 0.216 | 0.216 | 0.152 | 0.190 | 0.201 |
3着 | 0.068 | 0.148 | 0.117 | 0.116 | 0.134 | 0.153 |
4着 | 0.057 | 0.111 | 0.124 | 0.086 | 0.105 | 0.124 |
5着 | 0.044 | 0.075 | 0.085 | 0.069 | 0.080 | 0.085 |
6着 | 0.039 | 0.059 | 0.064 | 0.056 | 0.070 | 0.090 |
7着 | 0.034 | 0.048 | 0.065 | 0.040 | 0.056 | 0.060 |
8着 | 0.044 | 0.040 | 0.045 | 0.045 | 0.047 | 0.047 |
9着 | 0.016 | 0.034 | 0.023 | 0.052 | 0.043 | 0.039 |
10着 | 0.009 | 0.028 | 0.041 | 0.037 | 0.035 | 0.033 |
11着 | 0.014 | 0.023 | 0.023 | 0.037 | 0.032 | 0.032 |
12着 | 0.025 | 0.020 | 0.038 | 0.030 | 0.029 | 0.038 |
13着 | 0.006 | 0.018 | 0.013 | 0.031 | 0.025 | 0.032 |
14着 | 0.032 | 0.018 | 0.022 | 0.028 | 0.027 | 0.020 |
15着 | 0.018 | 0.017 | 0.032 | 0.012 | 0.021 | 0.031 |
16着 | 0 | 0.018 | 0.082 | 0.044 | 0.018 | 0.022 |
17着 | 0.021 | 0.019 | 0.044 | |||
18着 | 0 | 0.019 | 0.009 |
▼余談
作表をしていたところ、45秒以下というカテゴリーを作らなければならないことが分かった。
ダートレースだろうと思ったのだが、なんと芝の競走であった。
天候は雨で馬場は不良。
古いものだが、函館の芝2,000m、今の2勝クラスである1000万下の競走であった。
競走名は「報知杯大雪ハンデ」。
単勝12番人気馬が勝った荒れたレースとなった。
15頭のうち、次走があったのは13頭で、いずれも敗退した。
勝ち馬もこれが最後の勝利であった。
次走成績を見る限り、この競走の出走馬の将来は暗澹たるもののように思ってしまうが、実はそうでもなかった。
次走は敗けたが、その後引退までに3頭が勝った。
うち、3勝した馬が1頭。
大雪ハンデでは最下位になった馬である。
(SiriusA+B)