▼外枠発走
2024年11月16日の東京競馬第8競走は、馬番6番のセントラルヴァレー号が発馬機内で暴れて発走が遅れた。
この日、わたしは体調を崩し臥せっていて、衛星放送で生中継をぼんやり眺めていたのだが、最初は何が起きたのか分からなかった。
中継ではよく見えなかったのである。
しばらく経ってから場内放送で「6番馬が発馬機内で暴れ馬体検査、7番騎手が怪我をして騎手変更」とアナウンスされた。
馬体検査では異常なしとされたが安全のため外枠発走、7番の騎手は石川裕紀人騎手になった。
暴れたセントラルヴァレー号は積極的なレースぶりで、ゴール前の直線ではよく伸びて優勝もあるかという場面もあったものの、2着になった。
同馬は単勝3番人気だったが4.4倍、1番人気も3.6倍だったから3頭の争いとみられていた。
1着は2番人気馬で、結果だけ見れば堅い決着のふつうのレースである。
着順 |
馬番 |
馬名 |
騎手 |
タイム |
単勝 |
人気 |
1 |
14 |
ビートエモーション |
戸崎圭太 |
01:24.8 |
4.2 |
2 |
2 |
6 |
セントラルヴァレー |
マーカン |
01:25.0 |
4.4 |
3 |
3 |
12 |
デュードメール |
津村明秀 |
01:25.3 |
6.4 |
4 |
4 |
15 |
ウォルラス |
宮崎北斗 |
01:25.6 |
67 |
10 |
5 |
11 |
メモリーグラス |
三浦皇成 |
01:25.7 |
21.3 |
9 |
6 |
4 |
サイヤダンサー |
田辺裕信 |
01:25.8 |
89.2 |
11 |
7 |
7 |
スマートビクター |
石川裕紀 |
01:25.8 |
121.8 |
12 |
8 |
5 |
クロンヌドラレーヌ |
小林凌大 |
01:25.9 |
159.5 |
14 |
9 |
8 |
モーニングヘイズ |
松山弘平 |
01:26.0 |
3.6 |
1 |
10 |
10 |
ロミオボス |
西村淳也 |
01:26.0 |
16.3 |
6 |
11 |
3 |
モンドプリューム |
菅原明良 |
01:26.1 |
17.6 |
7 |
12 |
1 |
ノーブルラン |
木幡巧也 |
01:26.2 |
146.5 |
13 |
13 |
9 |
トウカイファクター |
横山和生 |
01:26.2 |
12.7 |
5 |
14 |
16 |
ヒロノゴウカイ |
丸田恭介 |
01:26.5 |
166.8 |
15 |
15 |
2 |
ルージュシュエット |
北村友一 |
01:27.2 |
18 |
8 |
16 |
13 |
コスモイグローク |
野中悠太 |
01:27.9 |
276.3 |
16 |
解せなかったのが、この騒ぎで影の薄かった1番人気モーニングヘイズ号である。
「3強」の中の1番人気とはいえ、3頭で最も実績がなかった。
中央競馬に転入して2戦目、初戦は9番人気で8着である。
いや、地力はある。
姫路と園田で6勝2着3回、着外2回の戦歴は輝かしいし、マル外だし、レース出走馬の多くが500kg以上の大型馬の中でも最重量だった。
5歳は割引とわたしは考えているが、このレースでは5歳以上もゴロゴロいた。
このレースで有力視される材料は多い。
それでも、なぜ1番人気にまでなったのか。
ネットで100人ほどの予想を見た限り、1割程度がモーニングヘイズ号を本命馬にしていた。
1番人気になるにしては、ちょっと「推し」が少ない印象を持った。
わたしは、2割近い支持があると思って調べていた。
もちろん、2番手、3番手、或いは穴馬に推す声は多かったが、もう少し本命視する人は多いと踏んでいたのである。
あくまで、「わたしの想定よりも少なかった」。
推している理由は、前走の内容が着順以上に良さそうだとしたものが多かった。
走破時計が良く、着差も0秒6と順位から見て健闘していると判断されたようだ。
上がり3ハロンも速く、4角13番手から追い上げた点も評価された。
姫路、園田時代まで言及している人は少ないが、評価した予想者の皆さんは「速い」という印象を伝えている。
わたしが異論を挟んでも仕方ないけれど、うだうだ言うと以下の通りだ。
・前走はダート重馬場で、走破時計は速くなりやすかった。
・着差1秒以内は10着までで、「割りと皆んな走りやすかったよね」という感じの馬場だったのではないか。
・4角13番手から追い上げた馬はもう1頭いて、そちらのほうが着順は上だった。
現実としては、このレースでは凡走だったので、わたしの「レース感覚の矯正」は必要ないと思ったけれど、端的に言えば時計と末脚の評価は大きいのだと感じた。
前走末脚も、前走2着に匹敵するくらいのファクターではある。
推している理由は分かった。
でも、1番人気にまでなったのは、やはり腑に落ちないままであった。
▼異常投票?
この第8競走は、似た古馬条件戦の第7、9競走よりも売り上げが少なかった。
16頭と頭数も揃っているのに、である。
「難解なレース」として避ける人が多かったのか、これも理由は不明だ。
ただ、僅かに、まとまった票の影響が7、9レースより出やすいと思った。
この日の東京競馬場で、単勝より複勝の売れた10レースのうち、単勝1番人気馬の単勝票数が複勝票数を上回ったのは、この第8競走のモーニングヘイズ号と第12競走の1番人気馬だけである。
いずれも敗れた。
複勝のほうが売れているレースであっても、1番人気馬が、単勝票数>複勝票数となること自体は珍しいわけではない。
グリグリの1番人気なら、複勝が見送られ単勝に集中するイメージである。
この着眼点で見ると、モーニングヘイズ号の場合、少々単勝が売れすぎのキライはあった。
単勝は総額4,800万円発売され、同馬は1,060万円分売れている。
わたしが見て回った予想者の予想と照らし合わせると、2、3番人気になりそうな感じがした。
それが最終的には1番人気なのである。
異常投票とは思わないが「誰かまとめて百万円分買った?」と聞きたくなった。
真相は分からない。
目立つものでもなく、仮に勝っていたとしても話題になることはなかっただろう。
もしも、ほんとうに百万円を投じた人がいたなら、「あれ、1番人気になっちゃったよ」と苦笑したかもしれない。
そんなつもりはなかったが、たまたま他馬2頭が人気を二分し票が割れている中に「割り込んでしまった」。
一旦、人気になると「人気は人気」を呼ぶので、人気にあやかって買い足した人はいるかもしれない。
そんなことを空想しながら票数を読んだ。
票数から「まとめ買い」を想像する人は少ない。
レースにより比率は変わるが、単複割合は投票者の自信度を示す。
複勝に旨みがなくなれば、単勝に流れるのだ。
この現象は、投票者のひとりあたりの購入金額に上限は無いことによるからではないかと思った次第である。
もちろん、途中からそう思い込んで調べたので、事実は異なる可能性は大いにある。
そのときは、ファンタジーブログだと思っていただきたい(いや、ふだんからファンタジーだけど)。
▼ブラックリスト
最後に寄り道して、暴れたセントラルヴァレー号の外枠発走について触れておきたい。
もし貴方が、セントラルヴァレー号が新馬戦で斜行したことをご存知であれば、何か波乱があると予期できたかもしれない。
制裁を受けた馬は、二度三度、注意されることがある。
馬柱で展開上の不利が示されている場合もあるが、斜行や逸走、駐立不良、鼻出血などは独自にリスト化しておくと便利だと思う。
基本的にマイナス要素のリストなので、わたしは「ブラックリスト」と冗談混じりに呼んでいるが、意外に重宝する。
リスト馬は、保険を掛けるように、人気薄なら少し買っておく。
ちなみに、このレースで勝ったビートエモーション号は、発走後まもなく不利を受けて最下位に沈んだことがある。
セントラルヴァレー号が暴れたため、急遽騎手が交替したお隣のスマートビクター号は、過去にも当日の騎乗変更を経験している。
事程左様に競馬はちょっとした出来事がつきものだ。
だから100%はない。
「外枠なら買ったのに」「公正な競馬か」などと書き込む人がいるけれど、負け惜しみとか、誰も望んでいない自己正当化アピールにすぎないので、貴方が真に受けることのなきよう(書き込んだ人も、周囲に喋る程度に留めることをおススメする)。
「残念、じゃ、次のレースいってみよう」くらいのポジティブ思考でいこう。
たとえ最終レースであっても、競馬はまた開催されるのだから。
(SiriusA+B)