2016年11月3日木曜日

第125夜 「80-20の経験則」を使って繁殖牝馬をグループ分けする――1990年生繁殖牝馬の「同窓会」(2)


▼サンプルの繁殖牝馬は670
80-20の経験則」ということばをよく使うが、結果としてそうなったという、法則というよりも経験則である。
本来の「パレートの法則」あるいは「冪乗則」の冪関数は、
f(x) = ax^k +
ο(x^k)

(οは「オミクロン」)

で表されるものだが、一般に用いられる例では経験則の域を出ない。
本稿でも、この経験則を利用して分析するため、「80-20の経験則」と呼ぶことにする。
さて、1990年生まれの繁殖牝馬は、日本では1,440頭である。
全頭調査をしたいところだが、さすがに膨大な量となるため、地方競馬出身の繁殖牝馬770頭を除き、670頭に絞った。
この670頭ですら、1頭ずつ調べ上げるのに相当の時間を要した。
118夜「繁殖牝馬と産駒の競走成績をいつか研究してみたい」を記してから、思い立って取り掛かったのだけれど、自分の情報処理能力のなさにはがっかりした。
1
頭の繁殖牝馬を調べるのに5分程度を要したのである。

時速12頭、ざっと56時間ほど費やした。
毎夜22時ごろ帰宅する日々で、パソコンを立ち上げ、15分、30分と短い時間でもちょっとずつ調べていく。
土日も仕事に出かけず済んだ日は、家族のいない間に猛然と進めた。
それでも終わりかないのかと思うほどだった。
能力の低さをさらすのは恥ずかしいことであるが、とりあえず670頭のデータベースを作成したのである。

▼繁殖牝馬をグループ分けする
さて、670頭をひとつの傾向として調査することはもちろんだが、理解を深めるために、ちょっとした仕掛けを行なうことにした。
80-20の法則」を利用して、繁殖牝馬と種牡馬を優秀なグループと一般のグループのふたつにしたのである。
区分方法は、繁殖牝馬670頭の現役時代に自ら獲得した総賞金上位20%(Aグループ)とそれ以外(Bグループ)670頭の父馬(20)も総賞金上位20%(aグループ)とそれ以外(bグループ)に分割した。
(
繁殖牝馬)

分類方法
グループ
頭数
割合
繁殖牝馬の獲得賞金合計
割合
現役時代の獲得賞金3,500万円以上
A
135
20.1%
1133,746.2万円
74.1%
現役時代の獲得賞金3,500万円未満
B
535
79.9%
395,392.2万円
25.9%
 
670
 
1529,138.4万円
 

(種牡馬)

分類方法
グループ
頭数
割合
繁殖牝馬の獲得賞金合計
割合
繁殖牝馬670頭の父の獲得賞金1億円以上
a
40
19.8%
1107,927.8万円
72.5%
繁殖牝馬670頭の父の獲得賞金1億円未満
b
162
80.2%
421,210.6万円
27.5%
 
202
 
1529,138.4万円
 

獲得賞金額は、きれいに80:20にはならなかったが、繁殖牝馬もその父もだいたい70:30よりは75:25くらいになった。
全頭1,440頭ならば、あるいは、80:20になるかもしれない。
なお、この繁殖牝馬データベースでは、国内の中央競馬および地方競馬での獲得賞金を合計したものである。


繁殖牝馬をAB、その父馬をabに分けたので、繁殖牝馬670頭は次の4つのグループに分割することができた。
最も優秀なグループ「Aa」が突出しているのはともかくとして、注目すべきは繁殖牝馬が優秀な「Ab」とその父が優秀な「Ba」の甲乙である。
繁殖牝馬の仕分けの結果では、圧倒的に「Ab」が優秀であるようだ。
もちろん、「Aa」と「Ab」で相当な差があるため、父馬の影響力が小さいとはいえない。

グループ
頭数
割合
繁殖牝馬の獲得賞金合計
割合
繁殖牝馬1頭平均
Aa
95
14.2%
916,097.0万円
59.9%
9,643.1万円
Ab
40
6.0%
217,649.2万円
14.2%
5,441.2万円
Ba
234
34.9%
191,830.8万円
12.5%
819.8万円
BB
301
44.9%
203,561.4万円
13.3%
676.3万円
合計
670
 
1529,138.4万円
 
2,282.3万円

(SiriusA+B)

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