▼新しいアプローチ
このブログでは、競馬予想の古典的な手法について(自分たちの目標に照らし合わせて)課題を示してきた。
一方で、コンピュータの普及と進歩により、大容量の記憶と計算能力を武器に、統計的に当該案件を試みてきた。
世界では、数学的手法によって、競馬予想を切り拓く手法が広がりつつあるように思う。
この潮流は、暗号解読や投資理論の歴史的推移にも類似している。
暗号解読はすでに第二次世界大戦中に言語学者から数学者に取って代わり、投資は熟練者の直感や洞察力から、データを統計的に処理する能力者の闘いに移行している。
投資も資金力の大小と投資家の経験・判断によるところが大きかったが、今やデータを武器に少額の資金を機動的に操る人が増えた。
わたしたちの競馬予想の世界も早晩このようになる。
今必要なのは、
データの収集と処理能力
データの分析力、規則性の発見能力
であるように思う。
こうしたトレンドの中で、計算能力の力技ともいうべき手法が登場している。
対戦成績を用い、ニューラルネットワーク理論に基づく統計データの処理により予想を立てるというものだ。
JRAーVANの対戦型データマイニングに代表される。
すでに2010年の実用開始から数年を経過し、「それなり」の評価を得ているようである。
わたしは実際に見ていないので誤認であればご容赦いただきたいけれど、ニューラルネットワーク理論による処理はともかく(これはこれで凄いことだけれど)、走破タイムではなく対戦成績を用いる点で注目している。
いわゆる「直接対決」を想像してしまうが、最大でも数回しかない対戦成績では予想のしようもない。
そこで、要素(対戦型データマイニングでは「因子」と呼ばれている)別に勝敗を調べ上げるのである。
例えば、騎手Aと騎手Bの対戦成績なら、それなりのサンプル数を確保できる。
あるいは、馬Pと馬Qの父の対戦成績、1着の回数、前走のレベルなど、多くの因子が用いられているようだ。
これらの因子を出走馬すべての組み合わせで「対戦」させ、本命馬をあぶり出すのである。
タイム系予想とは一線を画しており、研究が進めばより精度の高い仕組みができることも期待できる。
▼研究の方向性は、オリジナルワンを探すこと
西田式スピード指数の登場によって、日本の競馬予想は大きく変わった。
ところが、指数をもとに予想するはずが、精緻な指数の作成が目的のようになり、走破タイムの加工に走る人が多いように見える。
このブログでたびたび触れてきたように、競馬は速さを競うものではない。
それでも走破タイム以上のデータを見つけることは困難である。
対戦型データマイニングのような新しい予想法がブレークスルーになる。
研究の方向性は、1着(あるいは2、3着も)と結びつきの強い情報を見つけることである。
残念だが、タイム分析を応用する方向に回答はないように思う。
それは何故なのか、そして、タイム分析に変わる情報や手法を見つける可能性はあるのか、次の夜に綴りたい。
(SiriusA+B)