2016年12月25日日曜日

第138夜 どうして予想どおりにならないか、を競走条件から考察する(1)


▼予想の難しさとはどこにあるのか
ハンデ戦はその代表格だが、なんとなく波乱が多いなと思うタイプの競走というものはある。
「荒れる」レースの定義は難しいが、予想の難しいものをそう呼ぶとすれば、出走馬の顔ぶれのほか、競走条件による「荒れやすい」競走はあり、戦略を練る上で役に立つかもしれない。
ただし、これによって、荒れやすい競走を狙うとか回避するとかいった単純な話をするのではない。
予想の難しさとはどこにあるのかを考察し、予想手法にフィードバックするためである。
難しい、とひとことで片付けてはもったいない。
難しいという原因を推定し、その解決策を考えていくことで予想の精度を上げられるのではないかと思うのである。
今回の記事では原因の推定までだが、皆さんの参考になればと思う。
今夜は、1番人気の勝率をもとに、予想のしやすい競走、し辛い競走を考察する。
計測期間(2006-2014)で中央競馬平地競走は29,902レース、同着も含めた1番人気馬の勝利数は9,578回、勝率は32.0%だった。
この32.0%を基準に考察していく。

▼芝とダート
最初に思い浮かぶのが、芝とダートである。
芝よりダート競走のほうが勝率は高く、予想しやすいと考えられているが、実際そのとおりであった。
1表のとおり、1番人気の勝率は、芝30.8%、ダート33.2%である。
フルゲートに違いがあるので、念のため出走頭数(ここでは集計の都合上完走馬の平均頭数を用いる。以下同じ)に差があるのかもしれないので調べてみたが、大きな差はなく、「出走頭数が多いから芝競走は難解」というわけではないようである。
2表のとおり、距離別にも刻んで調べたものの、サンプル数が少ないところはともかく、距離の問題でもなさそうだ。
もっとも、サンプルが少ないところもあるので断定はできないが、芝の場合、長距離競走ほど1番人気の勝率が下がる傾向はある。
この記事には記載しないが、コース別にデータをとってみると、直線が長いほど、内回りと外回りでは外回りほど、勝率が下がる傾向は見受けられる(もちろん例外はある)

(1)芝・ダート別1番人気馬勝率

芝ダ別
施行競走数
1番人気勝鞍
勝率
完走頭数
平均頭数
14,958
4,612
30.8%
215,984
14.4
ダート
14,944
4,966
33.2%
214,294
14.3
合計
29,902
9,578
32.0%
430,278
14.4

(2)芝・ダートおよび距離別1番人気馬勝率

距離別
施行競走数
1番人気勝鞍
勝率
完走頭数
平均頭数
5ハロン以下
271
86
31.7%
4,196
15.5
6ハロン以下
3,298
990
30.0%
49,115
14.9
7ハロン以下
1,552
458
29.5%
23,814
15.3
8ハロン以下
2,561
790
30.8%
37,942
14.8
9ハロン以下
3,018
973
32.2%
42,149
14.0
10ハロン以下
2,671
844
31.6%
37,217
13.9
11ハロン以下
515
154
29.9%
7,084
13.8
12ハロン以下
552
167
30.3%
7,269
13.2
13ハロン以下
486
131
27.0%
6,415
13.2
15ハロン以下
27
10
37.0%
365
13.5
16ハロン以下
9
1
11.1%
154
17.1
17ハロン以下
9
5
55.6%
134
14.9
18ハロン以下
9
3
33.3%
130
14.4
ダート5ハロン以下
1,081
364
33.7%
13,765
12.7
ダート6ハロン以下
3,322
1,126
33.9%
49,946
15.0
ダート7ハロン以下
2,481
790
31.8%
37,550
15.1
ダート8ハロン以下
868
294
33.9%
12,935
14.9
ダート9ハロン以下
6,515
2,182
33.5%
90,658
13.9
ダート10ハロン以下
247
82
33.2%
3,365
13.6
ダート11ハロン以下
235
68
28.9%
3,385
14.4
ダート12ハロン以下
190
53
27.9%
2,492
13.1
ダート13ハロン以下
15
7
46.7%
198
13.2
合計
29,932
9,578
32.0%
430,278
14.4
(芝計)
14,978
4,612
30.8%
215,984
14.4
(ダート計)
14,954
4,966
33.2%
214,294
14.3

▼逆転可能性
古くから「ダート競馬は単調でつまらない」ということばがあるが、今回集計した情報を考え合わせると、「逆転可能性」が高い競走ほど人気どおりにいかないのではないかとわたしは考えた。
少し研究を進めて、第3表を作成してみた。
これは、各競走で1-3着となった馬3頭の上がり3ハロンタイムを平均したものだ。
1-3
着馬の単勝人気の合計別に集計している。
1
23番人気が独占すると「6」となるのでこれが最も「堅い」レースで、「7」だと124番人気の組み合わせになろう。
蛇足だが、調査期間中最大の「43」をつけたレースは114番人気、213番人気、316番人気であった(2010710日函館競馬第5競走、1,200m)

この表のとおり、芝競走に限れば、荒れた競走は上がり3Fの時計がかかる傾向が、緩やかだがあるようだ。
上がりのかかるレースは差し馬が台頭すると言われている。
こうした競走では、ペース配分に失敗して力尽きたり、脚を余したりする馬も少なくないことだろう。
つまり、全馬が力を十分に発揮できない状況では予想どおりにいかないということであり、こうした環境下で活躍する可能性のある馬のポイントを引き上げられないかを模索しなければならないということである。
どうやって見つけるか、それは今後の課題である。
次の夜には、天候についても触れたい。
(
3)上位3頭の人気合計別上がり3ハロン平均速度

1-3着人気合計
芝競走数
上がり3F平均速度
ダ競走数
上がり3F平均速度
6
1,199
61.72
1,332
57.54
7
804
61.71
911
57.60
8
1,213
61.61
1,291
57.47
9
1,296
61.60
1,296
57.62
10
1,242
61.63
1,356
57.52
11
1,116
61.51
1,197
57.53
12
1,148
61.45
1,198
57.52
13
1,016
61.52
1,034
57.52
14
966
61.60
931
57.46
15
863
61.60
814
57.46
16
738
61.43
713
57.49
17
574
61.54
595
57.51
18
514
61.45
492
57.51
19
452
61.51
379
57.36
20
374
61.53
350
57.64
21
301
61.48
228
57.58
22
269
61.41
192
57.33
23
183
61.55
155
57.57
24
161
61.22
141
57.75
25
132
61.75
93
57.43
26
105
61.60
63
57.68
27
66
61.23
58
57.55
28
41
61.53
26
57.86
29
54
61.62
28
57.44
30
42
61.27
28
57.09
31
24
61.39
17
57.21
32
14
61.80
9
56.72
33
13
60.81
8
55.17
34
8
61.13
1
59.67
35
12
61.72
4
58.41
36
5
60.87
3
57.55
37
5
61.56
0
38
3
63.13
0
39
1
62.80
0
40
1
62.43
1
58.22
41
2
64.21
0
42
0
43
1
59.78
0

(SiriusA+B)

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