2016年12月13日火曜日

第135夜 非タイム系指数予想の模索

▼競馬は速さを競うものではなく
今夜は長い話になる。

前夜は、対戦型データマイニングに触れた上で、タイム分析を応用する方向に(的中への)回答はないように思うと述べた。
このブログでは、「わたしは重視していないけれど」と前置きしつつ、タイムを分析するなら時速に換算するほうが良いことを綴ってきた。

実のところ、わたしの予想法では走破タイムをキーにして使用していない。
レースの中で上がり3ハロンなどを偏差値に換算して使用する程度である。
「予想速度の速い順」のような指数の算出方法は採用していない。
その理由を以下に述べることで、前夜に予告したタイム分析の問題点の指摘に代えたい。

わたしが走破タイムを使用しない理由はふたつある。
ひとつは、「タイムを競っていないから」である。
1
着の馬が一番速かったのは結果であって、必ずしも一番速い馬が勝ったわけではない。
そもそも、タイムによって賞金額やクラス分けが影響を受けることもないので、タイムを重要視するステークホルダーはいないのだ(タイムオーバーについては、1着からのタイム差であり、絶対値ではない)
騎手、調教師、馬主いずれも、タイムを重要視しない中で、馬券購入者だけがこのデータを重視する必要はないと思うのである。

もうひとつは、速度が頭打ちになる、ある程度の時期から経験を積むことで速くならないという問題である。
この点は、第109夜「馬の速度は3歳秋にピークに達する、ということはスピード指数は…」で示している。
準オープンと同日実施の未勝利戦でタイムがほとんど同じ、といったケースを見た人は少なくないだろう。
極論すれば、馬は常に全力疾走しているのではなく、経験を積むほど緩急を覚えるのだ。
最初の理由と重なるけれど、「タイムを競っていないから」である。

▼非タイム系予想
夢は、指数の高い順と着順がほぼ一致することだ。
感情に流されず、一定の手順で迷いなく自動的に本命を選んだり購入したりするには、指数にするのが都合良い。
しかし、スピード指数以外に指数化できるものはあるだろうか。
その答えとなるかどうかわからないが、可能性のあるものとして、ふたつ提示したい。
ひとつは、着順である。
もうひとつは、賞金である。
着順または賞金をベースにした指数を作るということである。
いずれもどう加工するかで使い物になるかどうか決まるが、スピード指数よりも優れている点がある。
それは、1着を目指している点でステークホルダーの目的と一致し、多く稼ぐという点でもステークホルダーの目的と一致することである。

▼着順を指数化
着順にせよ賞金にせよ、そのまま使用することも可能だ。
着順であれば前走の着順を、例えば3着なら「3」点とする。
着順の場合、そのままでは小さい数字のほうが良いことになる。
ちょっと扱いにくいという人には、「20ー着順」などとするのもいいだろう。
3
着なら17点である。
これでは同点は多いし、クラスも考慮していない、ちょっと指数にしては乱暴だなと考える人も多いと思うが、3点なり17点にさまざまな要素を加減乗除すればいいのだ。
反対に、前走の着順ひとつで予想できると考える方が不自然な気がする。
スピード指数もさまざまな補正をしていることを思い出してほしい。
人気や過去数走の着順、あるいはもっと重要と考えられる要素を加味してオリジナル指数を開発してみてはいかがだろう。

▼賞金も指数に
賞金も能力を表わす指数としては優れていると思う。
以前の記事でも書いているが、獲得賞金の最も多い馬を狙うだけで20%ほどの勝率を得られる。
これは、第31夜「勝率20%くらいの予想なら誰でもできる」で記事にした。
着順と違い、そのままでも使えるくらいだ。
さらに大きなメリットとしては、総獲得賞金なら減ることはないことが挙げられる。
スピード指数では、どうしても補正が追いつかず、レース結果によっては指数が下がることもよくある。
成長しているのに数値が低く出てしまうジレンマに陥った人は少なくないだろう。
出走数で割り、平均賞金を使うなら上下動もあるけれど、稼いだ賞金累計なら減らない。

ただし、着順と違い、取り扱いには少し工夫がいる。
出走しても獲得賞金がないこと馬がいること、0円から数億円まで数字に幅があることである。
0
円についてはそのままでもいいとか何らかのフォローも考えられるが、さすがにこれだけの桁数の幅では、何かと扱いにくい。
解決策にはいろいろあるが、数字の幅広さについては対数を用いるのもひとつの方法である。
表計算ソフトで、log10(x)(xには賞金を入れる)関数を入れれば済むのだ。
たくさん稼いだ馬ほどサンプルが少なくなる欠点も多少緩和することもできる。

このブログでは触れてこなかったが、わたしの予想法の核心はここにある。
もちろん、試してみようと思う人がいる一方で、現状を変えない人が多数を占めるだろう。
それはそれで自然なことである。
スピード指数を愛する人にとって、予想法の乗り換えは相当な覚悟が必要で、あたかも清水の舞台から飛び降りるような気持ちである。
ただ、今回の記事は、走破タイムをベースにした予想法の限界を申し上げることが主目的であった。
自作のスピード指数の成績が今ひとつであるのは、精度の問題ばかりではなく、走破タイムをベースにした予想法の行き詰まりかもしれないということだ。
その点をご理解いただければと思う。
(SiriusA+B)

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