▼隣は何をする人ぞ
たかだか12レースの資料で何が分かるというのか、という疑問は置いておき、2023年1月5日中山競馬12競走の馬券の売り上げを眺めていた。
券種ごとの投票総数である。
これだけなら「メインレースは売り上げが多いな」くらいしか分からないが、出走頭数、クラス、1番人気オッズを加えて考えると、いろいろ仮説が思い浮かぶ。
仮説というのは資料が少ないからで、キチンと調べていけば正しいこともそうでないこともあるからである。
プレーヤー(馬券購入者)を「ディープファン」「ライトファン」と仮定して考察するとなお興味深い。
馬券の売り上げ傾向が競馬予想の役に立つのか、と言われれば、さあ、と答えるしかないけれど、他人の投票行動を知ることで盲点を突くこともあると思われる。
ちなみに、異常投票とか、そういったものはないという前提である。
この記事を秋にリリースするのでこのようなテーマにした。
芭蕉。
競走番号 | クラス | 総票数計 | 単勝 | 複勝 | 枠連 | 馬連 | ワイド | 馬単 | 3連複 | 3連単 | |
中山01R | 3歳未勝利 | 5,850,978 | 427,498 | 791,513 | 125,380 | 650,207 | 697,512 | 365,019 | 1,181,840 | 1,612,009 | |
中山02R | 3歳未勝利 | 4,879,666 | 361,501 | 570,014 | 171,783 | 626,155 | 695,324 | 268,521 | 1,142,327 | 1,044,041 | |
中山03R | 3歳新馬 | 4,320,719 | 365,373 | 475,960 | 145,960 | 598,849 | 576,043 | 255,819 | 953,181 | 949,534 | |
中山04R | 4歳上1勝 | 5,154,365 | 389,106 | 602,593 | 164,520 | 729,283 | 719,830 | 290,596 | 1,139,736 | 1,118,701 | |
中山05R | 3歳未勝利 | 6,420,336 | 499,008 | 811,971 | 177,607 | 855,954 | 923,219 | 347,422 | 1,443,157 | 1,361,998 | |
中山06R | 3歳1勝 | 5,441,258 | 561,163 | 537,602 | 100,732 | 664,423 | 672,932 | 348,719 | 965,391 | 1,590,296 | |
中山07R | 4歳上2勝 | 5,725,325 | 434,214 | 630,455 | 182,104 | 770,236 | 860,425 | 294,584 | 1,323,459 | 1,229,848 | |
中山08R | 4歳上2勝 | 6,939,649 | 558,566 | 741,849 | 198,250 | 1,002,612 | 992,474 | 397,580 | 1,480,655 | 1,567,663 | |
中山09R | 4歳上3勝 | 9,334,858 | 753,677 | 1,208,517 | 201,779 | 1,073,190 | 999,404 | 585,775 | 1,667,246 | 2,845,270 | |
中山10R | 3歳オープン | 12,312,401 | 1,010,418 | 991,512 | 316,147 | 1,674,298 | 1,476,400 | 780,741 | 2,532,575 | 3,530,310 | |
中山11R | 4歳上オープン | 77,281,890 | 3,104,453 | 4,040,032 | 2,274,481 | 10,412,773 | 9,417,484 | 3,170,540 | 22,664,484 | 22,197,643 | |
中山12R | 4歳上2勝 | 16,943,755 | 1,032,401 | 2,340,906 | 433,643 | 1,727,837 | 1,721,534 | 1,031,819 | 2,984,713 | 5,670,902 | |
競走番号 | 1番人気オッズ | 出走頭数 | 単勝割合 | 複勝割合 | (単複計) | 枠連割合 | 馬連割合 | ワイド割合 | 馬単割合 | 3連複割合 | 3連単割合 |
中山01R | 1.8 | 16 | 7.3% | 13.5% | 20.8% | 2.1% | 11.1% | 11.9% | 6.2% | 20.2% | 27.6% |
中山02R | 2.7 | 16 | 7.4% | 11.7% | 19.1% | 3.5% | 12.8% | 14.2% | 5.5% | 23.4% | 21.4% |
中山03R | 4.0 | 16 | 8.5% | 11.0% | 19.5% | 3.4% | 13.9% | 13.3% | 5.9% | 22.1% | 22.0% |
中山04R | 3.7 | 16 | 7.5% | 11.7% | 19.2% | 3.2% | 14.1% | 14.0% | 5.6% | 22.1% | 21.7% |
中山05R | 3.7 | 16 | 7.8% | 12.6% | 20.4% | 2.8% | 13.3% | 14.4% | 5.4% | 22.5% | 21.2% |
中山06R | 2.1 | 9 | 10.3% | 9.9% | 20.2% | 1.9% | 12.2% | 12.4% | 6.4% | 17.7% | 29.2% |
中山07R | 3.6 | 16 | 7.6% | 11.0% | 18.6% | 3.2% | 13.5% | 15.0% | 5.1% | 23.1% | 21.5% |
中山08R | 3.0 | 15 | 8.0% | 10.7% | 18.7% | 2.9% | 14.4% | 14.3% | 5.7% | 21.3% | 22.6% |
中山09R | 1.5 | 12 | 8.1% | 12.9% | 21.0% | 2.2% | 11.5% | 10.7% | 6.3% | 17.9% | 30.5% |
中山10R | 2.1 | 13 | 8.2% | 8.1% | 16.3% | 2.6% | 13.6% | 12.0% | 6.3% | 20.6% | 28.7% |
中山11R | 4.5 | 17 | 4.0% | 5.2% | 9.2% | 2.9% | 13.5% | 12.2% | 4.1% | 29.3% | 28.7% |
中山12R | 1.4 | 14 | 6.1% | 13.8% | 19.9% | 2.6% | 10.2% | 10.2% | 6.1% | 17.6% | 33.5% |
▼単複スイッチング
この日のメインレースは中山金杯である。
今は知らないが、社会人になって間もない頃は、「ちょっと後楽園の場外(WINS)までお使いに行ってくれるか」と先輩の使い走りをしたものだ。
正月明けは今よりも明確で、仕事のエンジンもフルスロットルには程遠く、金杯はちょっとしたお祭りだった。
そんな訳で「ディープ」と「ライト」が割りと明確な日としてこの日を選んだ次第である。
2023年も、メインレースは平場の15倍くらいの投票があった。
少々意外だったのは、第9競走、第10競走より最終第12競走のほうが馬券を売り上げていることである。
ライトファンは金杯だけで撤収した人も多そうなので、ディープファンが二匹目のドジョウを狙ったか、負けを取り戻そうとしたかと推定する。
ライトファンがメインレース以外に手を出すとすれば、第10競走のようだ。
この推論は、単勝と複勝の傾向から考えたものである。
単勝と複勝を合計すれば、投票総数の約20%前後で推移する。
第10競走と第11競走のみ、この比率を大きく割り込む。
もちろん、ライトファンでも単複を買うが、ディープファンに比べて単複を買わないのではないかとみている。
両競走はオープン戦なので、ふたつのレースを買ったのかもしれない。
注目すべきは、単複合計で20%という比率だ。
わたしも驚いたのだが、単勝と複勝の売り上げ比率はレースによって結構違う。
・少頭数なら単勝を選好する。
・1番人気が1倍台だと複勝を選好する。
という傾向があるように思える。
この日、単勝の売り上げが複勝を上回ったのは、9頭立ての第6競走と13頭立ての第10競走のみだった。
1番人気のオッズは2.1倍で、単勝に妙味有りと殺到したものと思われる。
複勝は、圧倒的1番人気の存在で売り上げが増える。
このことは、単勝と複勝の間で馬券をスイッチしている人がいることを示唆する。
これに似た傾向は、枠連・馬連・ワイド・3連複でも見られる。
少頭数になると投票割合が下がるし、人気馬が出現すると券種を替える。
オッズや頭数に注目して表を眺めてほしい。
▼予想に活かす
以上はほとんど仮定の話で、もっと調べれば正しいかどうか検証できるだろう。
もし、仮定が正しければ、1倍台の単勝は思ったより強い、と推論を推し進めることもできるかもしれない。
1倍台の単勝など買えるか、と怒鳴られそうだが、この日、3頭の1倍台の本命はすべて勝ち、100円ずつ計300円買っていたら470円になっていた。
収益率は157%である。
現在は救済措置もあるので複勝で万全を期した人は330円で110%である。
こちらの人が多かったのだろう。
実は単複スイッチングは「プラス10」が大きく影響している。
救済措置は美味しいのだ。
配当の仕組みに明るい人は、かなり安全な110円に殺到する。
だが、そのウラをかかないと、とわたしは思う。
わたしは、「美味しいのは複勝」と言いたいのではないのだ。
「もっと売れていいのに回避された」単勝のほうである。
貴方の本命馬が1倍台になりそうであれば、ケンでもなく、複勝でもなく、勝負に出てみるのもいい。
オッズが示すより、来る(かも)。
ちなみに、ひとつ取りこぼせば単勝は290円から430円まであり得るが、複勝ならば220円である。
この場合、回収率が最も低いのは複勝220円であることを認識していただきたい。
リスクを取りにいこう。
皆と一緒では黒字は目指せない。
責任は取らないけれど。
たった12レースの資料でここまで風呂敷を広げてしまった。
全部、仮定の話だからね。
もっとデータを用意したいところが、これ、実際にデータを収集しようとするとたいへんな作業である。
念のため申し上げる。
(SiriusA+B)