2025年5月4日日曜日

第515夜 変わらないものはなく


▼変わらないものはなく
農林水産省畜産局競馬監督課が20254月に公表した「馬産地を巡る情勢」では、2024年の軽種馬(サラブレッド以外も含まれるがほぼサラブレッド)の国内生産は7,925頭である。
コンパクトなレポートながら、いや、コンパクトたからこそ、図表が豊富で分かりやすく、ぜひご覧いただきたいと思う。
馬産地の政策に関する公開資料だから、馬券とは直接関係ないが、例えばである、競馬を知らない貴方の上司に馬産地振興について説明せよ、と言われたら、まさにこれがプレゼンテーション資料になるだろう。
この詳細については、折に触れ、記事にしていきたい。

このレポートと、JRAが毎年公表している事業報告書では、10年を大きく超える長期統計データが得られる。
ところが、「馬券と関係あるのか」と思う人は一定数いる。
もちろん、競馬周辺の知識は得られるけれど、もっと直接的に関係がある。
競馬施行の前提を掴めるのだ。
統計は、ふたつの点で有用だ。
(1)
直近の状況
(2)
推移
あまり慣れていない人は、この2点に注目いただきたい。
例えば、騎手の数は、直近で何人くらいか、長期的にみて増減しているのか、きちんと答えられる人はいるだろうか。
そのうえで、そのことが競馬予想にどう影響するのか。
数字の答えだけ先に示しておくと、事業報告書によれば、2024年時点で騎手の人数は138人、長期的に減少傾向にある。
1989
年時点では200人を超えていた。
競馬予想では、人数が減ってきているので、騎手生命の寿命が延びる。
そのほかにも影響があるけれど、それはご自身でお考えいただければと思う。
調教師や、調教助手と厩務員を合わせた合計も、騎手と同様、減少している。
競馬で長期的に黒字収支を維持しようとするなら、こうした「予想の前提条件」は押さえておく。
できれば直近の状況に加えて、推移を頭に入れておきたい。
世の中変わらないものはなく、推移を知ることで未来の予想を立てやすくなるのだ。
これらを知らないで馬券術も何もない、とわたしは思っている。
よく知らない人だが、わたしの前で、馬券術の自説を滔々と語っていたその内容は、基礎工事のない張りぼてのようであった。
数字の取り扱いも分かっていない、いや、競走施行の背景すら分かっていない、ということが明らかだった。
わたしは、にこにこ拝聴するけれど、開業した調教師の馬房数くらい頭に入れておいてよ、と内心では思っている。

▼馬は増加
我が国のトレンドと同様、全体に人員数は減少傾向であるが、増加傾向にあるものもある。
競走馬の生産頭数と馬主数である。
わたしのこのブログも長いので、かつては「生産頭数は、ざっくり7,500頭前後」とお話ししていたが、いよいよ8,000頭前後と言い直す必要が出てきた。
たいへん喜ばしい、喜ばしいが零細牧場は減少し、集中化が
進行している。

馬主も増加傾向で、これについては別の資料などでは法人馬主の増加と挙げられていた。
オーナー企業のオーナーが道楽に馬を買う、という時代があった。
今は、クラブ馬主や、大型の組織が馬を買う。
世界的には、サラブレッドの生産頭数が減少している国もある。
その中では活況を呈しているといえよう。

この記事は202553日に書いて、公開は4日である。
もしも、ゴールデンウィーク期間中に時間があるなら、事業報告書や農水省のレポートを丹念に見て、必要なところは調べたりして過ごすのもいいと思う。
ああ、でも4日は全馬券種で払戻率80%だったっけ。

(SiriusA+B)

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