馬のことは分からん、いっそ、数字の出方に賭けてみようとする人が出てきてもおかしくない。
ネットを回っていると、741の法則とか541の法則とか、549の法則、369の法則など、数字を使った法則が溢れている。
外形的に、どうでもいい話だが、これらは「理論」ではなく「法則」と呼ばれるものが多い気がする。
条件が揃ったときに何が起きるか予測するものが法則、何故そうなるのかを説明するのが理論だそうだ。
このような定義が正しいのなら、数字による予想法は「法則」で合っているような気がする。
法則の中身は様々で、ただの数字遊び(失礼)の類もあれば、大雑把だが経験則をよく踏まえてになるほど、と思わず唸ってしまうものまである。
そうしたものの成績は、ほどほどに的中し、たまに大きなものを当てて回収率も(平均に比べて)それほど悪くない、そのように思われる。
長期の収支はともかく、目の前のレースを当てられるかどうかであれば、一生懸命に考え抜いた予想と比べても遜色ないだろう。
下手に「あたしゃ、馬のことが分かる」と宣う人よりは潔い。
「ほどほどに的中し、回収率もそれほど悪くない」予想法には、魅力が詰まっている。
よくできた法則を調べてみると、前走4-7着近傍の成績の馬を抽出する仕組みになっているのだろう。
これは的中率と回収率から妙味のある部分を狙っている。
こうしたところは学ぶべき点である。
▼予想者集団を考える
貴方がもし、素人予想屋として名を上げようとするなら、門外不出で驚異的な予想か、ライトな馬券ファンが好む予想法の教導者となるか、いずれかが近道のように思う。
数字の法則予想法は、まさに後者だ(ちなみに、前者は名を上げることをせず、自分で馬券を買うほうがいい)。
馬券投票者の大部分はライトな馬券ファンである。
・馬のことは分からない、予想スタイルも確立しているわけでもない、と冷静に自己分析している。
・誰かの予想に乗るだけでは儲けられないし、自分なりに予想した感じがしない。
・小難しい理論は要らないが、かといってカルト的な話は信じていない。
・基本的に忙しく、競馬の研究をする時間を確保できない。
・毎週毎週、朝から晩まで競馬漬けというわけにはいかないので、長期戦略より短期決戦、できれば1日単位で良い収支を出したい。
・有料予想に出費したくない。
・馬柱以上の過去データを持っていない。
以上のような人が多いのだろうと思う。
数字の法則予想法は、まさに打ってつけなのだ。
直近の馬柱以上のデータは不要、手軽で無料。
経験に基づく法則だから、何故なのか理解するものでもない。
買い目に若干のオリジナリティ(独自性)を加えれば、自分で予想した実感も湧く。
1日やっていれば、何レースか当てられるし、上手くいけば黒字を出す日もある。
幸先良くスタートできれば、しばらく採用する人も少なくないと思われる。
ただ、月単位以上継続すると馬券収支で苦戦する日が目立つようになり、別の予想スタイルへと離れていくかもしれないが、シンプル故に試してみようとする人は後を絶たないだろう。
▼予想スタイルを考える
わたしも、似たような馬券術を即興で作ってみた。
「711の法則」とでも名付けよう。
次のふたつの数字をミックスすることにした。
前走人気+前々走着順
そう、人気と着順を足すのである、しかもふたつは同じレースのものでもない。
1番人気は1点、1着は1点とすれば、2点から36点だ。
これで、合計の値が7から11点になる馬を狙う。
前走は人気を使い、着順は使わない。
前々走は着順を使う。
このため、前2走完走した馬のみを対象とする。
前走は結果(着順)を考慮せず、前走人気と前々走着順という別のレースの異なるデータを足すのだ、ほどほどの奇天烈(キテレツ)感は出ていると思う。
一方で、適度な的中率と回収率を実現していると自負する。
組み合わせは意外なものと感じられるかもしれないが、キチンと理由がある。
このふたつのファクターは、前々走のパフォーマンスを反映している。
つまり、前走成績を見ないで前々走成績を重視する仕組みである。
ポイントは、7点から11点に焦点を当てることだ。
的中率は下がるが、最も高い単勝回収率の位置で絞る。
これが、予想法や競馬研究のトレーニングになる。
というのは、各ファクターの癖や特徴を掴めるからだ。
上記算式のほか、前走着順+前々走人気とか、前走着順+前々走着順などでもほぼ同様の結果を得ることはできる。
的中率をもう少し上げたいなら、足し算の合計「7から11」を小さく変更すれば良い。
小さくするというのは、人気馬にシフトすることだ。
その分、回収率はちょっと下がる。
1、2番人気・着順をもう少し分析すれば、精度はさらに上がるだろう(法則としてはシンプルにしたいのでここには目をつぶっている)。
わたしには、これらの算式で得られる勝率や回収率を、予め想像することができる。
長い間、このような組み合わせを繰り返し行なってきたので、主なファクターの特徴やファクター間の重なり具合などを把握しているからである。
オッズの特徴なども自己評価だがある程度理解しているつもりだ。
ファクターを組み合わせる作業は、まるで化学実験、或いは創作料理の開発のようだ。
「この組み合わせだと、こうなるのかあ」などと独り言をぶつぶつと、夜中に言っている。
わたしは、冒頭に取り上げた数字の法則たちに限らないが、他人様(ひとさま)の予想理論や法則をこのように活用させてもらっている。
(SiriusA+B)
(図表517-1)前走・前々走の人気・着順組合せの実績(2011-2024年中央競馬平地競走、過去2走完走馬)
【A】前走人気+前々走着順
【B】前走着順+前々走人気
【C】前走着順+前々走着順
【D】前走人気+前々走人気
点数 | 【A】勝利回数 | 出走回数 | 的中率 | 回収率 | 【B】勝利回数 | 出走回数 | 的中率 | 回収率 | 【C】勝利回数 | 出走回数 | 的中率 | 回収率 | 【D】勝利回数 | 出走回数 | 的中率 | 回収率 |
2 - 6点 | 14,684 | 92,713 | 0.158 | 0.73 | 12,853 | 74,799 | 0.172 | 0.74 | 12,502 | 75,681 | 0.165 | 0.74 | 15,114 | 92,802 | 0.163 | 0.75 |
7 - 11点 | 10,862 | 112,482 | 0.097 | 0.79 | 12,631 | 115,675 | 0.109 | 0.79 | 12,703 | 120,615 | 0.105 | 0.77 | 10,722 | 110,009 | 0.097 | 0.80 |
12 - 16点 | 6,482 | 107,538 | 0.060 | 0.78 | 7,573 | 126,395 | 0.060 | 0.79 | 7,366 | 126,468 | 0.058 | 0.76 | 6,529 | 108,280 | 0.060 | 0.78 |
17 - 21点 | 3,551 | 96,263 | 0.037 | 0.73 | 3,241 | 108,283 | 0.030 | 0.71 | 3,508 | 103,366 | 0.034 | 0.75 | 3,360 | 94,913 | 0.035 | 0.72 |
22 - 26点 | 1,501 | 72,863 | 0.021 | 0.68 | 985 | 66,601 | 0.015 | 0.63 | 1,086 | 64,338 | 0.017 | 0.64 | 1,374 | 70,924 | 0.019 | 0.67 |
27 - 36点 | 423 | 36,507 | 0.012 | 0.52 | 220 | 26,613 | 0.008 | 0.49 | 338 | 27,898 | 0.012 | 0.58 | 404 | 41,438 | 0.010 | 0.50 |