2018年2月1日木曜日

第198夜 実戦が馬を鍛える。ゴールで接戦を演じた馬を狙え


▼レース全体の中での評価がほしい
スピード指数だけではないけれど、データを分析したり予想紙の馬柱を見たりするとき、過去の成績はほとんど個体の情報である。
スピード指数や速度、速度偏差値、1着との着差はすべて独立した数値のように扱われ、過去走で他の出走馬たちがどのようなパフォーマンスをしたのかはあまり考慮されていないように思う。
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着との着差も、勝ち馬との比較だけであり、2着馬や3着馬がどうだったのかはそのレースの成績表を参照するしかないのである。
レースぶりとでも言おうか、その馬の過去走をレース全体の中でどう評価すべきかというデータがほしい。
速度偏差値もご紹介したけれど、例えば55という偏差値ならそれが何頭いたのか、もっと他の馬との比較がしたいのだ。
そうすれば、前走で7着、平凡な走破タイムでも「見所有り」と言えるかもしれないのだが。

レースを繰り返しみることが大事、という考えを持っている人ならその通りと思うだろうが、問題はそこまで時間を割けないことなのである。

▼走破タイムの使い道
できれば成績表だけでレース全体の中でのパフォーマンスを拾えないものだろうか。
そんなことを考えて、今夜は全体とはいかないけれど、部分的ながらレースぶりを評価する手法例を挙げてみたい。

割と簡単な手法なのだが、時速や走破タイムが同じ馬がいればゴールまでしっかり追われたと考えることにする、というものである。
しっかり追われたということは、実戦が貴重な経験になった可能性がある。
異論も少なくないけれど、「100回の練習より実戦」と思うことはよくある。
ちなみに、わたしの2006-2014年のデータベースでは最大7頭が同じタイムというレースが4回ほどあった。
同タイム馬の数はある程度多い方がいいようだから、こんなレースは注目である。
なお、「ハナ差」と「同着」の文字列データでもいいけれど、ここでは扱いやすい数値を用いた。

結果は下表の通り、複数の同タイム馬の次走の成績は良かった。
この間の全馬の平均勝率がほぼ7%ちょうどなので、10%近辺の数字は好成績と考えてよい。
さらに図表2,3,4,5のように、様々なファクターを加えてみれば、もう少し効率的に好走馬を探し出せそうである。
それができれば「レースを繰り返し見る」の代替手段となりそうである。
ときどき理由を思いつかない好走馬がいるけれど、前走でしっかり追われたから、という可能性もあるということだ。

この手法は走破タイムの新たな使い道を提案するものでもある。
出走馬で同じタイムの馬を数えるという使い方は、走破タイムの価値と無関係である。
合計、平均、中央値といった数値の処理方法として、最頻値や個数を数えるといった方法は案外使われていない。
そこに着目するのもありだ。


▼図表1全体
同じ速度で走った馬の数 頭数 次走データ有り 次走1着 次走2着 次走3着 次走勝率 次走連対率 次走複勝率
1頭 259,405 226,529 15,498 15,136 15,184 6.8% 13.5% 20.2%
2頭 125,256 114,203 8,511 8,608 8,578 7.5% 15.0% 22.5%
3頭 35,244 32,398 2,314 2,492 2,417 7.1% 14.8% 22.3%
4頭 8,476 7,832 525 548 627 6.7% 13.7% 21.7%
5頭 1,605 1,484 85 97 103 5.7% 12.3% 19.2%
6頭 264 242 10 24 24 4.1% 14.0% 24.0%
7頭 28 28 2 3 5 7.1% 17.9% 35.7%
全体 430,278 382,716 26,945 26,908 26,938 7.0% 14.1% 21.1%
▼図表2同じ速度で走った中で上がり3ハロンが最も速かった馬
同じ速度で走った馬の数 次走データ有り 次走1着 次走2着 次走3着 次走勝率 次走連対率 次走複勝率
1頭 226,529 15,498 15,136 15,184 6.8% 13.5% 20.2%
2頭 60,216 4,202 4,315 4,521 7.0% 14.1% 21.7%
3頭 11,812 738 871 877 6.2% 13.6% 21.0%
4頭 2,206 125 153 168 5.7% 12.6% 20.2%
5頭 342 16 15 30 4.7% 9.1% 17.8%
6頭 46 2 2 5 4.3% 8.7% 19.6%
7頭 4 1 1 0 25.0% 50.0% 50.0%
全体 301,155 20,582 20,493 20,785 6.8% 13.6% 20.5%
▼図表3同じ速度で走った中で上がり3ハロンが最も遅かった馬
同じ速度で走った馬の数 次走データ有り 次走1着 次走2着 次走3着 次走勝率 次走連対率 次走複勝率
1頭 226,526 15,498 15,135 15,183 6.8% 13.5% 20.2%
2頭 60,650 4,830 4,818 4,580 8.0% 15.9% 23.5%
3頭 11,678 944 916 880 8.1% 15.9% 23.5%
4頭 2,174 158 153 179 7.3% 14.3% 22.5%
5頭 333 29 20 27 8.7% 14.7% 22.8%
6頭 40 1 7 4 2.5% 20.0% 30.0%
7頭 5 0 0 1 0.0% 0.0% 20.0%
全体 301,406 21,460 21,049 20,854 7.1% 14.1% 21.0%
▼図表4同じ速度だった馬の中で最も単勝人気が高かった馬
同じ速度で走った馬の数 次走データ有り 次走1着 次走2着 次走3着 次走勝率 次走連対率 次走複勝率
1頭 226,529 15,498 15,136 15,184 6.8% 13.5% 20.2%
2頭 57,844 5,213 5,123 4,826 9.0% 17.9% 26.2%
3頭 10,931 1,059 1,057 957 9.7% 19.4% 28.1%
4頭 1,988 188 204 187 9.5% 19.7% 29.1%
5頭 295 26 27 22 8.8% 18.0% 25.4%
6頭 42 3 3 4 7.1% 14.3% 23.8%
7頭 4 0 2 0 0.0% 50.0% 50.0%
全体 297,633 21,987 21,552 21,180 7.4% 14.6% 21.7%
▼図表5同じ速度だった馬の中で最も単勝人気が高かった馬かつ2歳・3歳・4歳の馬

同じ速度で走った馬の数 次走データ有り 次走1着 次走2着 次走3着 次走勝率 次走連対率 次走複勝率
1頭 182,073 13,375 12,774 12,547 7.3% 14.4% 21.3%
2頭 46,087 4,441 4,242 3,944 9.6% 18.8% 27.4%
3頭 8,466 880 835 792 10.4% 20.3% 29.6%
4頭 1,494 153 159 151 10.2% 20.9% 31.0%
5頭 197 23 19 16 11.7% 21.3% 29.4%
6頭 28 1 2 3 3.6% 10.7% 21.4%
7頭 4 0 2 0 0.0% 50.0% 50.0%
全体 238,349 18,873 18,033 17,453 7.9% 15.5% 22.8%




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