2015年12月29日火曜日

第50夜 新しい血統理論が構築される日は近い


▼サラブレッドの毛色は8種類

わたしはこれまで、いろいろなデータを競走の勝敗に関係ないかと検証してきたが、やっぱり関係なかったデータも数多い。
サラブレッドの毛色もその一つで、見分け方など勉強になったが、競馬予想には使えそうな感じはしなかった。
ちなみにサラブレッドの毛色は8種類で、鹿毛、黒鹿毛、栗毛、栃栗毛、芦毛、白毛、青鹿毛、青毛である。
大昔、芦毛は弱いとか、夏場は苦手とか、多くの人が視認できる芦毛馬は根拠に乏しい話があった。
活躍馬が出てこなかったことは事実である。
その後、タマモクロス、オグリキャップ、メジロマックイーンなどの出現によって、芦毛馬に対する見方を変えてきた。
現代では、毛色はアグーティ遺伝子(特定部位の毛色に濃淡をつける)Black遺伝子(毛色を黒くする)の組み合わせであり、これと別に芦毛の遺伝子があるとわかっている。
芦毛の遺伝子は25番染色体のSTX17遺伝子だそうだ。

わたしはまったくの素人なので、深く知りたい人は詳しいサイトなどご覧いただければと思う。
ただひとつ言えることは、この毛色を決める遺伝子と競走能力は無関係であるということだ。


▼スピード遺伝子情報の公開

本題である。
毛色の話をしたのは、エクイノムの成果がわたしたちに届き始めたことを申し上げたかったからである。
わたしはこれまでの記事の中で、巷間の血統理論について疑問を呈してきた。
しかし、これからは遺伝子学に基づいた血統理論が広まっていくだろうと思うのである。
実際、すでに一部の競走馬の「スピード遺伝子」は公にされている。
距離適性のミオスタチン遺伝子型と呼ぶほうがより正確かもしれない。
競走馬は、このミスタチオン遺伝子で、短距離向きのC/C型、長距離向きのT/T型、その中間のC/T型の3種類に分けることができるのである。
統計的に処理されていない、呪文のような血統理論は廃れ、新しい血統理論が現れるだろう。
そして、血統(適性)が勝敗因のすべてではないことも証明されると思う。
馬産や競走体系にも大きな影響を与えるかもしれない。
従来の競馬の枠組みが大きく変わろうとしている。
変化に抗いたい気持ちの人もあろう。

わたしはと言えば、新しい時代の出現にわくわくしている。

もうすぐ、2016年が始まる。

(SiriusA+B)

2015年12月25日金曜日

第49夜 理論と実践の大きな違いは制約条件の考慮である


▼資金は有限であること
馬券の買い方について、きちんと押さえておきたい。
若干ながら、モンテカルロ法に代表される資金運用法を馬券戦術に活かそうという考えを持っている人がいる。
絶対とは言い切れないが、破綻するだろうと思う。
これには理由が有って、前提に、資金が有限であることを考慮していないのではないかと考えられるのだ。
資金が有限であることは、一般に考えられているより重要なことではないかと思う。
数学で「直線」というと幅はないが、実際に幅が0の線を引くことができないように、実際には机上の理論で考慮の外に置いていた制約条件が存在する。
資金に限りがあることは、机上の計算では考慮していないことが多いように思う。
この前提を強く意識して戦略を考えると、馬券に買い方は大きく変わってくる。


▼有限の資金を前提とした戦略
資金に限りがあるということは、資金ショートを回避しなければならない。
わたしの持論なのだが、競馬では、いかに儲けるかというより、いかに損失を抑えるかに力点を置く必要がある。
的中率が3分の一とか4分の一であれば、賭けた資金が戻ってこないケースの方が多い。
外れた時には、できるだけ損失を抑えておきたい。
資金が底をついては困るのだ。
一方、的中する時には、大きく儲けたい。
しかし、投下資金を増やしてしまうと外れた場合に取り返しがつかなくなる。
このパラドックスを乗り越える戦術が要る。


▼「引き分け」の概念導入も、まだ制約条件が
そこで、わたしは「引き分け」という概念を採り入れている。
予想を外した完全な負けではないが、少しくらい赤字でも回収ができた場合を「引き分け」と考えるのである。
つまり、大きく儲けられる時以外は、無理して挽回しない、多少赤字でもゼロよりは良し、というレースを増やした。
見送り、ケン、という人も多いと思う。
しかし、毎週末に競馬に張り付いている余裕はない。
これも机上の理論と実践の差なのだが、オッズを確認する時間を常に持つことはできないのだ。
朝一番でその日の全馬券を買い、夜に結果を確認する。
そのため、競走ごとに、オッズによって金額を変えるような資金操作はできないものという前提も置かなければならない。
この前提も考慮すると1点買いになるのである。


▼資金制約があり資金操作ができない条件の馬券購入
中央競馬では、11場で12競走、3場開催で36競走ある。
単勝的中率が25%に過ぎなくても、36競走で9回は的中するだろう。
しかし、大勝する日もあれば、何らかの理由で惨敗することもある。
このような事態も想定しておく必要がある。
そこで馬券購入は、1点買いをする。
過去にも何度か触れているが、わたしの基本戦術は単勝1点買いである。
2
点以上買うと、絶対に外れる馬券を買うことになる。
しかし、資金をなるべく減らさないようにするなら、「死に票」を買いたくないのだ。
ただ、単勝を買うだけでは、2着、3着の場合に悔しい思いをする。
そこで、単勝のほか、複勝、ワイド、馬連、3連複を1点ずつ購入することにしている。
1
点ずつである。
ボックス買いなどしない。
本命以外は複勝も買わないし、連複も複数買ったりしない。
馬単も買ってよいが、それこそ資金が少ない人なら無理しないほうがいい。
予想がしっかりしていれば、仮に単勝が外れても、それ以外の券種で的中するだろう。
本命が勝利し2着に対抗馬がくれば、ほとんどの券種で的中となる。
予想の1番手、2番手が、12着になれば、その日の賭けた資金の多くを回収できると同時に、黒字になる源となる。
本命が2着になって単勝以外すべて的中ということすらある。
単勝だけ購入する方が利益は出るのは確かだ。
しかし、こまめに的中して資金残高を維持しておかないと、翌日の購入資金が底をついているかもしれないのである。
単勝25%の勝率ならば、連対率は40%、複勝率は50%程度になると思われる。
わたしの買い方であれば、元は取れなくとも、かなり頻繁に何かの馬券は的中し、資金の減少は緩和されるだろう。
さらに単勝以上に配当を得ることもある。
ジッと耐えて、大きな的中を待つ。
トリガミと恐れず、淡々と、均等に買ってもらいたい。
これが現時点でわたしの考え得る最良の馬券購入法である。
それでも、100ずつ購入するとしてさえ1競走あたり500(単勝、複勝、馬連、ワイド、3連複)は必要で、36競走まとめて買うには18,000円が必要である。
1
万円しか準備できないなら、午前中の競走をまとめて買い、午後に備えよう。
(SiriusA+B)

2015年12月21日月曜日

第48夜 淘汰の世界で生きているということ


▼出走馬の3分の2は中央平地競走未勝利で終わる

中央競馬平地競走の出走馬のうち、1勝以上できるものは全体の3割強である。

データを検証するとそんな結果になる。

この中には地方競馬出身の馬や、ジャパンカップに代表される外国馬の出走も含む。

それでも全体としてはおよその傾向を示しているだろう。

下表は、2006年から2014年のすべての平地競走から、出走馬数や勝利度数別出走馬の統計を取ったものである。

また、2005年生まれで中央競馬に出走した馬に絞った統計も併載した。

馬の生涯競走記録を考える点では、むしろ2005年生まれの表が適しているかもしれない。



2006-2014平地競走

2005年出生馬

競走数

29902

 

 

延べ出走頭数

433221

 

47863

 

出走頭数

47700

9.08

4591

10.43

勝利馬数

14955

31.35%

1511

32.91%

0勝馬

32745

68.65%

3080

67.09%

1勝馬

7617

15.97%

706

15.38%

2勝馬

3207

6.72%

300

6.53%

3勝馬

2111

4.43%

235

5.12%

4勝馬

1146

2.40%

154

3.35%

5勝馬

537

1.13%

72

1.57%

6勝馬

199

0.42%

27

0.59%

7勝馬

72

0.15%

11

0.24%

8勝馬

36

0.08%

3

0.07%

9勝馬

20

0.04%

1

0.02%

10勝馬

7

0.01%

2

0.04%

11勝馬

3

0.01%

0

0.00%

▼微妙な差

勝利馬と未勝利馬を分ける要素はなんだったのであろう。

もう少し深く研究する必要はあるが、気になる指標をまとめてみた。

気になる指標とは、生年月日とデビュー時の「日齢」、馬体重である。

生年月日の平均など、あまり聞いたこともないと思うが、EXCELを使えば簡単に算出できる。

微妙な差ではあるが、平均すると、おぼろげにイメージしていたとおりであった。

未勝利馬は、生年月日が遅く、初出走も遅い。

一方で、デビュー戦での馬体重は軽いのであった。

生育が遅いのではないだろうか。

ただし、平均した結果であり、小柄な馬でも、遅いデビューでもスターホースは生まれているので、あくまでも傾向だけ感じ取っていただければ幸いである。



2005年出生馬
勝利数別

頭数

平均生年月日

初出走時
平均日齢

初出走時
馬体重

0勝馬

3080

2005/04/03

1023

462

1勝馬

706

2005/04/01

970

467

2勝馬

300

2005/03/31

972

473

3勝馬

235

2005/03/30

977

472

4勝以上馬

270

2005/03/30

976

474

(SiriusA+B)

2015年12月17日木曜日

第47夜 予想記者は枠順決定前から印を打つという事実が意味すること


▼枠順の有利不利
このブログでいう枠順とは、馬番枠を指す。
有利不利についてよく話題に上る。
いろいろな説明を見てきたが、百家争鳴である。
「内枠は有利だが、差し馬には不利。包まれることもあり不利」
などと書かれていて、結局、どうなのかわからない。
ちなみに、わたしの結論を先に申しあげれば、「多少有利不利はあるけれど、あまり気にする必要はないだろう」と考えている。
これには三つの推測からそう判断している。
一つは、競馬記者の対応である。
現在は変わったかもしれないが、競馬予想記者は枠順決定前から印を打つ。
印刷、発行を急ぐためである。
そのため、競馬記者の予想には枠順が考慮されておらず、しばしばここに盲点があるように言われる。
しかし、仮に枠順決定後に印を打つとしても、予想を大きく変えることはないのではないだろうか。
外れた時の弁解でも、「枠順を考慮していたら、別の馬を本命にしていた」などという話はまず聞かない。
もし、枠順が勝敗を決めるほど重要であれば、印刷や発行を多少遅らせても、印を打つまで時間を取るだろう。
専門紙各紙は、販売に直結する店着速度だけでなく、予想精度も売れ行きに影響を与えると考えているのだ。
他社より早く店頭に並べることの方が、枠順を考慮した予想精度の向上よりも売れ行きによいということである。
こうしたことから枠順の影響は少ないとわたしは考えている。
二つ目は、JRAが枠順による有利不利を減らそうとしているのではないかという推測である。
あまり極端な有利不利は、競馬をつまらなくするからである。
主催者としては、複数の実力馬が紙一重で勝敗を決することが一番いい。
実力のない者が勝ち上がることは望んでいない。
枠順が違えば勝てた、などというのは、主催者なら言ってほしくないだろう。
どの馬でも公平に経験する坂道やカーブならともかく、枠順の違いで着順が入れ替わるとしたら、公正な競馬と万人が思うかどうか。
三つ目は、騎手が「なんとかする」だろうということである。
わたしは、脚質やレース展開を騎手に因るものと考えている。
コース形状、例えば坂道の有無、カーブのキツさなどは、騎手の戦術に関わる。
枠順も同様で、レース全体のペース配分の中で騎手が戦略を巡らすと考えるのだ。


16頭立て、18頭立ての検証
実際のデータでも、枠順による有利不利はあまりなさそうだ。
コースにより、多少の差はあるだろうが、それほど気にする有利不利はないだろう。
全体としてやや内枠が有利で、拮抗した2頭から1頭を選ぶなら内枠から選ぶという程度である。

▼2006-2014平地競走



 

16頭立て
勝利頭数

 

18頭立て
勝利頭数

 

1番枠

660

5.9%

170

5.9%

2番枠

760

6.8%

158

5.5%

3番枠

647

5.8%

139

4.8%

4番枠

781

7.0%

201

7.0%

5番枠

682

6.1%

172

6.0%

6番枠

686

6.1%

178

6.2%

7番枠

695

6.2%

168

5.9%

8番枠

746

6.7%

146

5.1%

9番枠

677

6.0%

142

4.9%

10番枠

757

6.8%

162

5.6%

11番枠

669

6.0%

167

5.8%

12番枠

699

6.2%

173

6.0%

13番枠

654

5.8%

162

5.6%

14番枠

663

5.9%

136

4.7%

15番枠

686

6.1%

137

4.8%

16番枠

751

6.7%

162

5.6%

17番枠

 

 

137

4.8%

18番枠

 

 

161

5.6%

合計

11213

 

2871

 

平均

701

6.3%

160

5.6%

(SiriusA+B)

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