2015年12月1日火曜日

第43夜 宝探しに出掛けるボクらを止めて指差した場所



▼情報の宇宙

今の時代、競馬予想に必要なアイテムはすぐに揃えられる。

そう考える人は多い。

技術の進歩は目覚ましい。

特に三つの点でわたしたちは恩恵を受けている。

一つは、競馬の計測技術の進歩である。

2着は「勝ち馬から1馬身差」というレベルから10分の1秒単位の数字になった。

ゼッケンに刻まれたバーコードにより、調教時計が正確に記録されるようになった。

 

二つ目は、コンピュータの進歩である。

人間の脳で処理できる能力をはるかに凌ぐ道具ができたのである。

これにはさらに二つの意味がある。

まず、大量の計算を極めて短時間でこなすことができるようになった。

加えて、データの記録である。

検索が容易な形で大量の記録を蓄積することができるようになった。

 

三つ目は、情報収集が容易になったことである。

インターネットを通じて、過去の記録を入手したり、調べたりすることができるようになった。

 

わたしたちの情報の宇宙は急速に拡張され、追い求めるほどデータは自分のものになるのである。

情報の限定的な時代とは異なり、今の時代に相応しい予想生活に変化させていく必要がある。

以前は、一つひとつの情報が入手困難であった。

情報量の差が、予想精度に直結した。

情報を上手に整理して予想に活かせることが勝利をもたらした。

しかし、今は、簡単に入手できる情報なら、予想参加者が既に手に入れている、という前提で戦略を立てなければならないのである。

情報量の差によって、ほかの予想参加者を出し抜くことは非常に困難である。

また、この事実を裏返して言えば、不十分な情報量で戦いに挑むことは自殺行為に等しいということでもある。

例えば、日本ダービーの予想をするとき、出走馬の近5走と、過去10年のダービーの傾向だけで予想する時代は、すでに終わっている。

テレビで予想家のスタイルが変わらないのは、テレビで発信できる情報量に限界があるためである。

 

▼現代の戦略

では、現代の戦い方はどう立てていくべきだろうか。

わたしの考えるスタイルとしては二つある。

 

一つは、情報の取捨選択技術の研磨である。

入手できる情報量が増えていることによって気が付くことは、本当に必要な情報とそれほど重要ではない情報が「同じように」目の前にあるということだ。

いくら計算能力が上がったからといっても、すべての事象を再現するほどの計算はできない。

したがって、すべての情報を利用できないので選択をする技術が必要となる。

競走馬の勝利に関連度の高いデータを選ぶことで他者と差をつけるということだ。

 

もう一つは、情報の加工技術の研磨である。

このブログでも何回か触れているとおり、走破タイムをそのまま使うより「速度」に換算したほうがいいと考えている。

生データを加工することにより、有用なデータに生まれ変わることがあるのだ。

一見するとあまり役に立ちそうもないデータ、加工が難しいデータの中に、ダイヤモンドの原石があるかもしれないのである。

 

これから、新しいデータを探しにデータの宇宙へ旅立とうとする皆さんに、もしわたしが1分間の時間をいただけるならこう申し上げるだろう。
今一度足元の点検をしてほしい。

データの取捨選択や、未利用で有効そうなデータが足元に転がっていないだろうか。

残念ながら、自力で新しいデータを探しだすことは不可能に近い。

データの選択と研磨の技術を磨くことが勝利に最も近いと思う。



次の夜は、わたしが実験を進めている一例を紹介してみたい。

(SiriusA+B)

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