2015年12月17日木曜日

第47夜 予想記者は枠順決定前から印を打つという事実が意味すること


▼枠順の有利不利
このブログでいう枠順とは、馬番枠を指す。
有利不利についてよく話題に上る。
いろいろな説明を見てきたが、百家争鳴である。
「内枠は有利だが、差し馬には不利。包まれることもあり不利」
などと書かれていて、結局、どうなのかわからない。
ちなみに、わたしの結論を先に申しあげれば、「多少有利不利はあるけれど、あまり気にする必要はないだろう」と考えている。
これには三つの推測からそう判断している。
一つは、競馬記者の対応である。
現在は変わったかもしれないが、競馬予想記者は枠順決定前から印を打つ。
印刷、発行を急ぐためである。
そのため、競馬記者の予想には枠順が考慮されておらず、しばしばここに盲点があるように言われる。
しかし、仮に枠順決定後に印を打つとしても、予想を大きく変えることはないのではないだろうか。
外れた時の弁解でも、「枠順を考慮していたら、別の馬を本命にしていた」などという話はまず聞かない。
もし、枠順が勝敗を決めるほど重要であれば、印刷や発行を多少遅らせても、印を打つまで時間を取るだろう。
専門紙各紙は、販売に直結する店着速度だけでなく、予想精度も売れ行きに影響を与えると考えているのだ。
他社より早く店頭に並べることの方が、枠順を考慮した予想精度の向上よりも売れ行きによいということである。
こうしたことから枠順の影響は少ないとわたしは考えている。
二つ目は、JRAが枠順による有利不利を減らそうとしているのではないかという推測である。
あまり極端な有利不利は、競馬をつまらなくするからである。
主催者としては、複数の実力馬が紙一重で勝敗を決することが一番いい。
実力のない者が勝ち上がることは望んでいない。
枠順が違えば勝てた、などというのは、主催者なら言ってほしくないだろう。
どの馬でも公平に経験する坂道やカーブならともかく、枠順の違いで着順が入れ替わるとしたら、公正な競馬と万人が思うかどうか。
三つ目は、騎手が「なんとかする」だろうということである。
わたしは、脚質やレース展開を騎手に因るものと考えている。
コース形状、例えば坂道の有無、カーブのキツさなどは、騎手の戦術に関わる。
枠順も同様で、レース全体のペース配分の中で騎手が戦略を巡らすと考えるのだ。


16頭立て、18頭立ての検証
実際のデータでも、枠順による有利不利はあまりなさそうだ。
コースにより、多少の差はあるだろうが、それほど気にする有利不利はないだろう。
全体としてやや内枠が有利で、拮抗した2頭から1頭を選ぶなら内枠から選ぶという程度である。

▼2006-2014平地競走



 

16頭立て
勝利頭数

 

18頭立て
勝利頭数

 

1番枠

660

5.9%

170

5.9%

2番枠

760

6.8%

158

5.5%

3番枠

647

5.8%

139

4.8%

4番枠

781

7.0%

201

7.0%

5番枠

682

6.1%

172

6.0%

6番枠

686

6.1%

178

6.2%

7番枠

695

6.2%

168

5.9%

8番枠

746

6.7%

146

5.1%

9番枠

677

6.0%

142

4.9%

10番枠

757

6.8%

162

5.6%

11番枠

669

6.0%

167

5.8%

12番枠

699

6.2%

173

6.0%

13番枠

654

5.8%

162

5.6%

14番枠

663

5.9%

136

4.7%

15番枠

686

6.1%

137

4.8%

16番枠

751

6.7%

162

5.6%

17番枠

 

 

137

4.8%

18番枠

 

 

161

5.6%

合計

11213

 

2871

 

平均

701

6.3%

160

5.6%

(SiriusA+B)

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