▼今夜は実験
前夜に、現代の戦略として、「情報加工の技術の研磨」を掲げた。
わたしは、今も、思いついたらいろいろと実験している。
今夜は、まだ研究構想中で結論も出ていないが、その実験のひとつをご紹介する。
競馬の成績表には、まだまだ使いこなしていないデータがあるのだ。
▼レベルの高いレース探し
目的は、「レベルの高いレース探し」である。
一時期、「レベルの高いレース」というのが流行った。
藤沢和雄調教師のご本を読んで以来、競走馬はレース本番で学習するところ大、と考えていたわたしは、この考えに非常に感銘を受けた。
実際、「レベルの高いレース」は存在している。
第29夜では、ある競走の出走馬たちのうち、次の競走で勝つ馬は平均1頭弱であること、それでも7頭の勝ち馬を出した競走もあるということを綴った。
2006年から2014年のデータの限りで検証すると、次の競走で勝利した馬を4頭以上輩出した競走は、毎年40競走から50競走である(障害競走含む)。
毎年、3,456競走弱行われる競走の中で言えば、45/3456=1.3%程度しか発生しない。
この発見が、わたしの今後の競馬予想の大きなカギになると考え、長い間試行錯誤を繰り返していたのである。
困ったことに、走破タイムなどでは発見しにくい。
頭数が多いと発生しやすいことまではわかっているが、今のところ、レースを直接見る目を養うほかにいい方法を見つけられないでいる。
ここで注目したのが、成績表の末尾にある「コーナー通過順位」である。
▼馬群が長くてボタボタ脱落する競走?
コーナー通過順位は、1頭ずつの成績表本体と違い、扱いにくいデータである。
まだ、十分に使っていないデータを吟味しているうち、閃いたのである。
「レベルの高いレースは、馬群が長い間詰まっているとか、後方に脱落している馬がいるのではないか」
そこで、今、検証しているのである。
2013年5月5日東京第3競走(ダート1300m、16頭立て)では、2・3・4着馬と7着馬・15着馬が次走で1着となっている。
2015年05月05日東京第03競走
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着順
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馬番
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馬名
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性別
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年齢
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騎手
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1
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14
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コアレスキング
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牡
|
3
|
吉田豊
|
2
|
8
|
フロリダブルー
|
牡
|
3
|
内田博幸
|
3
|
9
|
スワンボート
|
牡
|
3
|
横山典弘
|
4
|
1
|
メイショウトラクマ
|
牡
|
3
|
武豊
|
5
|
11
|
ハントヴェルカー
|
牡
|
3
|
三浦皇成
|
6
|
3
|
アルバラード
|
牡
|
3
|
川須栄彦
|
7
|
7
|
クリーンオトコギ
|
牡
|
3
|
石橋脩
|
8
|
13
|
ムネニアオリボン
|
牡
|
3
|
武士沢友
|
9
|
15
|
ゴールデンソウル
|
牡
|
3
|
C.デム
|
10
|
5
|
イイデジャスト
|
牝
|
3
|
浜中俊
|
11
|
4
|
デルマアマノジャク
|
牝
|
3
|
宮崎北斗
|
12
|
16
|
スパイグラスヒル
|
牡
|
3
|
大庭和弥
|
13
|
6
|
ショウナンパンチ
|
牡
|
3
|
戸崎圭太
|
14
|
12
|
ビックファントム
|
牡
|
3
|
田中勝春
|
15
|
10
|
ブライティアミル
|
牝
|
3
|
M.デム
|
16
|
2
|
ノーブルダンス
|
牝
|
3
|
菱田裕二
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JRAのホームページによると、この競走の2つのコーナーでの通過順位は以下のとおりであった。
ちなみに「角」とはコーナーの略語である。
3角(コーナー) 4,14(1,15)(6,8,11)-2,12(3,10)9=7(5,13)=16
4角(コーナー) (*4,14)(15,11)1(6,8)(2,12,10)(3,9)-(5,7)13-16
(注)勝ち馬の馬番号は14番。
読み方をご存じない方もいると思うので、掻い摘んで説明しておく。
・括弧( )内の馬は、1馬身未満の差で並走している馬群を示す。内側の馬番から表記。アスタリスクは馬群内の先頭馬。例えば、(*4,14)というのは、2頭が1馬身以内で並走、内側が4番の馬、外側が14番の馬。4番がやや先行している、ということになる。
・カンマ,は、1馬身以上2馬身未満の差を示す。
・ハイフン-は2馬身以上5馬身未満の差を示す。
・イコール=は5馬身以上の差を示す。
ちょっと難しいのは、この記録が馬番で示されていることである。
着順に変換すると、次のようになる。
3角(コーナー) 11,1(4,9)(13,2,5)-16,14(6,15)3=7(10,8)=12
4角(コーナー) (*11,1)(9,5)4(13,2)(16,14,15)(6,3)-(10,7)8-12
展開を重視する予想理論家は、勝ち馬の位置などを中心にみているものと思う。
この競走ではハナを切った2頭のうち1頭が制した。
わたしはこれを「馬群の長さ」の指標にできないかと考えているのである。
この競走、3角で「=」が二つもあるのは、さすがに珍しい。
ダートの1300mの競走である。
差のつくことの少ない距離で、レース中盤の3角で少なくとも17,8馬身の長さの馬群になっているのだ。
前のほうは忙しく入れ替わり、後方は脱落して遅れている。
時計以上に「キツイ」競走ではないかと推測することができる。
1着から16着までわずか3秒2しか走破タイムに差はなかったのだが、展開のデータから、出走馬の多くが経験を積めたように思えるのだ。
前方が力尽きてペースダウンしてきたところで、後ろのほうは追い上げてゴールしていったのではないだろうか。
これではタイム差からはわからない。
この競走が「レベルの高いレース」であることを、このコーナー通過順位を定型的に仕分けようと試みているのである。
まだ詳細を解明できていないので、「もの」になるかどうかはわからない。
まだ詳細を解明できていないので、「もの」になるかどうかはわからない。
いずれ、このブログで改めて詳説できる日が来ることを願っている。
ちなみに、
入れ替わりの激しい中で、馬込みに紛れたり外を回ったりした2着馬、
流れについていくことができなかった3着馬、
最後まで踏ん張った4着馬、
やはり流れについていけなかったが直線で巻き返した7着馬、
常に外を回り直線で後退した15着馬
が、次走で勝利を収めることになる。
また、先頭を争い、5着に敗れたハントヴェルカーは、このあと3走続けて2着となった。
直線で失速するまで踏ん張った9着ゴールデンソウルは、次走から4着、3着、3着となった。
いずれも未勝利で終わっている。
(SiriusA+B)