2015年12月5日土曜日

第44夜 競馬の成績表から宝を探しなおす


▼今夜は実験

前夜に、現代の戦略として、「情報加工の技術の研磨」を掲げた。

わたしは、今も、思いついたらいろいろと実験している。

今夜は、まだ研究構想中で結論も出ていないが、その実験のひとつをご紹介する。

競馬の成績表には、まだまだ使いこなしていないデータがあるのだ。

 

▼レベルの高いレース探し

目的は、「レベルの高いレース探し」である。

一時期、「レベルの高いレース」というのが流行った。

藤沢和雄調教師のご本を読んで以来、競走馬はレース本番で学習するところ大、と考えていたわたしは、この考えに非常に感銘を受けた。

実際、「レベルの高いレース」は存在している。

29夜では、ある競走の出走馬たちのうち、次の競走で勝つ馬は平均1頭弱であること、それでも7頭の勝ち馬を出した競走もあるということを綴った。

2006年から2014年のデータの限りで検証すると、次の競走で勝利した馬を4頭以上輩出した競走は、毎年40競走から50競走である(障害競走含む)

毎年、3,456競走弱行われる競走の中で言えば、45/3456=1.3%程度しか発生しない。

この発見が、わたしの今後の競馬予想の大きなカギになると考え、長い間試行錯誤を繰り返していたのである。

困ったことに、走破タイムなどでは発見しにくい。

頭数が多いと発生しやすいことまではわかっているが、今のところ、レースを直接見る目を養うほかにいい方法を見つけられないでいる。

ここで注目したのが、成績表の末尾にある「コーナー通過順位」である。

 

▼馬群が長くてボタボタ脱落する競走?

コーナー通過順位は、1頭ずつの成績表本体と違い、扱いにくいデータである。

まだ、十分に使っていないデータを吟味しているうち、閃いたのである。

「レベルの高いレースは、馬群が長い間詰まっているとか、後方に脱落している馬がいるのではないか」

そこで、今、検証しているのである。

201355日東京第3競走(ダート1300m16頭立て)では、234着馬と7着馬・15着馬が次走で1着となっている。

 



20150505日東京第03競走

着順

馬番

馬名

性別

年齢

騎手

1

14

コアレスキング


3

吉田豊

2

8

フロリダブルー


3

内田博幸

3

9

スワンボート


3

横山典弘

4

1

メイショウトラクマ


3

武豊

5

11

ハントヴェルカー


3

三浦皇成

6

3

アルバラード


3

川須栄彦

7

7

クリーンオトコギ


3

石橋脩

8

13

ムネニアオリボン


3

武士沢友

9

15

ゴールデンソウル


3

C.デム

10

5

イイデジャスト


3

浜中俊

11

4

デルマアマノジャク


3

宮崎北斗

12

16

スパイグラスヒル


3

大庭和弥

13

6

ショウナンパンチ


3

戸崎圭太

14

12

ビックファントム


3

田中勝春

15

10

ブライティアミル


3

M.デム

16

2

ノーブルダンス


3

菱田裕二

 

JRAのホームページによると、この競走の2つのコーナーでの通過順位は以下のとおりであった。

ちなみに「角」とはコーナーの略語である。

3(コーナー) 4,14(1,15)(6,8,11)-2,12(3,10)9=7(5,13)=16

4(コーナー) (*4,14)(15,11)1(6,8)(2,12,10)(3,9)-(5,7)13-16

()勝ち馬の馬番号は14番。

読み方をご存じない方もいると思うので、掻い摘んで説明しておく。

・括弧( )内の馬は、1馬身未満の差で並走している馬群を示す。内側の馬番から表記。アスタリスクは馬群内の先頭馬。例えば、(*4,14)というのは、2頭が1馬身以内で並走、内側が4番の馬、外側が14番の馬。4番がやや先行している、ということになる。

・カンマ,は、1馬身以上2馬身未満の差を示す。

・ハイフン-2馬身以上5馬身未満の差を示す。

・イコール=5馬身以上の差を示す。

ちょっと難しいのは、この記録が馬番で示されていることである。

着順に変換すると、次のようになる。

3(コーナー) 11,1(4,9)(13,2,5)-16,14(6,15)3=7(10,8)=12

4(コーナー) (*11,1)(9,5)4(13,2)(16,14,15)(6,3)-(10,7)8-12

展開を重視する予想理論家は、勝ち馬の位置などを中心にみているものと思う。

この競走ではハナを切った2頭のうち1頭が制した。

わたしはこれを「馬群の長さ」の指標にできないかと考えているのである。

この競走、3角で「=」が二つもあるのは、さすがに珍しい。

ダートの1300mの競走である。

差のつくことの少ない距離で、レース中盤の3角で少なくとも17,8馬身の長さの馬群になっているのだ。

前のほうは忙しく入れ替わり、後方は脱落して遅れている。

時計以上に「キツイ」競走ではないかと推測することができる。

1着から16着までわずか32しか走破タイムに差はなかったのだが、展開のデータから、出走馬の多くが経験を積めたように思えるのだ。

前方が力尽きてペースダウンしてきたところで、後ろのほうは追い上げてゴールしていったのではないだろうか。

これではタイム差からはわからない。

この競走が「レベルの高いレース」であることを、このコーナー通過順位を定型的に仕分けようと試みているのである。
まだ詳細を解明できていないので、「もの」になるかどうかはわからない。

いずれ、このブログで改めて詳説できる日が来ることを願っている。

 

ちなみに、

入れ替わりの激しい中で、馬込みに紛れたり外を回ったりした2着馬、

流れについていくことができなかった3着馬、

最後まで踏ん張った4着馬、

やはり流れについていけなかったが直線で巻き返した7着馬、

常に外を回り直線で後退した15着馬

が、次走で勝利を収めることになる。

また、先頭を争い、5着に敗れたハントヴェルカーは、このあと3走続けて2着となった。

直線で失速するまで踏ん張った9ゴールデンソウルは、次走から4着、3着、3着となった。

いずれも未勝利で終わっている。

(SiriusA+B)

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