2015年11月27日金曜日

第42夜 ボクたちに予知能力はないということ。そして、数字で予想すること。



▼「未来はわからない」ということをいつも心に
データベースを作り、それなりに的中するようになると、神の領域にでも近づいたかという錯覚に陥る人がいる。

忘れないようにしてほしいことは、未来はわからないということだ。

スピード指数にせよ、統計学の道具を持ち出すにせよ、過去のデータをもとに推測しているだけであって、わたしたちは未来が見えているわけではない。

過去の情報から確率の高い事象を選んでいるに過ぎないのである。

だが、数字は絶対ではないからと言って、人の判断が良いのかというと、それも違う。

主観的な人間の判断より数字のほうが予測は当たりやすい。

理由は簡単である。

数字ならぶれないからだ。

そして、わたしたち人間には予知能力がないからだ。

▼数字で予想することは難しくない

データを使って馬券検討するのは、思い込みに囚われないようにするためだった人も少なくないのではないだろうか。

数字にすると、数字の大小で選択しやすくできるということだ。

 

コンピュータがそれほど発達していなかった時代、感心させられた知り合いがいた。

レースを見て、5点満点で評価するというものである。

競馬新聞に赤ペンでいろいろ記入してレースに臨むわたしたちと違い、そのひとはレース後にあれこれ書き込んでいた。

わたしたちはせいぜい着順を書き込むくらいしかしない。

そのひとはすべての馬ではないが、気になった馬を評価していたようだ。

メモを転記したノートを持っていようには見えなかった。

ただ、家の押入れには大量の競馬新聞があるんだ、とよく話していた。

予想するときには古い新聞を引っ張り出していたのかもしれない。

土日を競馬で費やす人だったが、生で見られないときも何らかの形でメモをとっていたのだろう。

予想は前走評価の数字を書き込んでスタートしていたと思う。

例えば、前走で4点評価の馬が複数いたりすれば、時間もかかっただろうが、多くの競走ですぐに軸馬を決めることができただろう。

数字で書いてあるのだから、判断が速いのだ。

だからこそ、関東12競走と関西主要3競走(当時は東西ですべての競走を買うことができなかった)を予想しても、徹夜明けみたいなわたしたちを、涼しげな顔をして集合場所で待っていたのだろう。

頭のいい人で、収支は聞けなかったが黒字だったろうと思っている。

 

タイム分析などが苦手の人でも、表計算ソフトが苦手な人でも、こうした予想法ならすぐにでもできるのではないだろうか。

今なら、すべての競走をテレビで見ることができ、録画して繰り返して研究することすらできる。

慣れてくれば、次第に評価方法も一定になってゆき、あまりぶれなくなるだろう。

 

わたしは、こんなひとを知っているものだから、「この馬で鉄板だ」とか、「前走で不良馬場も得意だとわかった」とか、競馬場で耳に入ってくる会話は思い込みだなあ、と感じることが多い。

もちろん思い込みが悪いわけではない。

理屈を超えた直観力は軽視できない。

ただ、長い目でみると収支を黒字にするのは難しいだろうなと思うだけである。

人間は欲望というフィルタによって、客観的な判断ができなくなる。
これが「ぶれる」ということだ。

自分は大丈夫だと思う人もいるだろうが、思い込みは案外日常よくやっている。

「さて、競馬予想では展開を読むことが重要です」なんて書いてあっても、信じていないだろうか。

「絶対」「必要」「重要」などというフレーズをみかけたら、先ずは疑ってみたほうがいいだろう。

 

でも、データに基づいているからといってすべて的中するわけではない。

数字を使っていても、データ処理そのものも主観によっているし、あくまでも過去から推測するだけなのだ。

そこをわかってほしいのである。

 

余談だが、わたしが1レースあたりの最大の配当金を得たのは、万馬券を的中したときではない。

若気の至りで単勝1点勝負に出たときである。

当時のわたしとしてはかなり思い切った大金(といっても1万円)を賭けたのだが、緊張したために隣の馬番をマークしてしまった。

気付かないまま購入してしまい、半泣きになったのだが、その馬が勝ったのである。

嘘のようなホントの話である。

今でもこの配当金を上回ったことはない。

根拠などなくても「勝てば官軍」なのである。

ただし、ラッキーは続くわけではなく、そのために数字で予想しようと考えているのだ。

(SiriusA+B)

2015年11月23日月曜日

第41夜 デビュー戦で勝利した馬はやはりすごい、栴檀は双葉より芳しということ


デビュー戦後を追跡調査

「せんだんは、ふたばより、かんばし」と読む。念のため。

新馬戦などデビュー戦で勝利を収めた馬は、本当に強かったのかを調べてみた。

不明データで恐縮だが、2009年から2012年の勝ち馬を2014年末まで追跡調査、果たしてどんな成績を収めてきたのか、通算勝利数をご覧いただきたい。

調査期間の短い馬でも1年以上調査できている。

比較のため、同じレースで2着となった馬も同じように追跡している。

デビュー戦勝利馬で、通算勝利数が1勝の1勝馬は1658頭中818頭、全体の49%であった。

これはデビュー戦以後、1度も勝っていない馬たちである。

すぐに引退してしまった馬もいるし、伸び悩んだ馬もいる。

しかし、半数はさらに1勝以上した。

3割は通算3勝以上である。

 

一方、2着馬だった馬たちはどうなっただろうか。

表のとおり、結局勝つことができなかった馬は37%にも上った。

6割強は1勝以上したのだが、通算2勝以上となるのは全体の3分の1にとどまる。

 



2014年末現在勝利数

デビュー戦勝利馬

デビュー戦2着馬

頭数

占有率

頭数

占有率

0勝馬

-

-

614

37%

1勝馬

818

49%

482

29%

2勝馬

362

22%

223

13%

3勝馬

227

14%

175

11%

4勝馬

115

7%

85

5%

5勝馬

82

5%

39

2%

6勝馬

37

2%

22

1%

7勝馬

10

1%

11

1%

8勝馬

3

0%

4

0%

9勝馬

1

0%

2

0%

10勝馬

1

0%

1

0%

11勝馬

2

0%

0

0%

頭数計

1658

 

1658

 

 

デビュー戦1番人気だった馬のその後は

では、1番人気だった馬では、その後どうなったのだろうか。

これも調べてみた。

同じ1658戦で1番人気に推され、見事勝利した馬は566頭、全体の34%

ここでも1番人気の勝利は3分の1と変わらない。

この566頭のうち、その後1勝もしなかったのは、つまり通算1勝馬は249頭、全体の44%である。

面白いことに、この566頭はすべて前項のデビュー戦勝利馬に含まれているのだが、通算勝利数の傾向がほとんど同じなのである。

これは、デビュー戦での人気が将来の勝ち鞍とあまり関係がないということを示している。

一方、1番人気ながら敗退した1092頭の馬たちはどうだったろうか。

これも4割が結局勝つことはできなかった。

不思議な偶然だが、前項の2着馬ととてもよく似た傾向になっている。

デビュー戦1番人気で敗退馬と、人気にかかわらずデビュー戦2着馬がほぼ同じような将来を描くとは、さすがに予想していなかった。

 



2014年末現在勝利数

デビュー戦勝利馬

デビュー戦敗退馬

頭数

占有率

頭数

占有率

0勝馬

-

-

432

40%

1勝馬

249

44%

303

28%

2勝馬

132

23%

148

14%

3勝馬

78

14%

97

9%

4勝馬

50

9%

58

5%

5勝馬

31

5%

24

2%

6勝馬

20

4%

12

1%

7勝馬

3

1%

7

1%

8勝馬

2

0%

6

1%

9勝馬

0

0%

4

0%

10勝馬

0

0%

1

0%

11勝馬

1

0%

0

0%

頭数計

566

 

1092

 

 

わたしたちの予想は上手いのか、下手なのか

それにしても、である。

デビュー戦という過去の戦績なしの予想においても、競馬ファンは他の競走とほぼ同じような1番人気の的中率をあげている。

これはすごいことである。

予想の源泉はなんであろう。

競馬新聞で予想しても、データで予想を立てても、過去の戦績をベースにしている人は多い。

新馬戦に限っては、調教や血統を重視する人が少なくないというが、戦績がなくても同じような的中率になるファクターはなんであろうか。

競馬記者の予想なのだろうか。

出走馬の力のばらつきが大きいことはわかっているものの、実際にレースで走ったこともないのである。

このあたりのことはいずれ考察してみたい。

(SiriusA+B)

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