2015年11月19日木曜日

第40夜 巷間の血統理論予想は予想家自身の馬券購入理由の弁明書



▼血統理論は重賞予想用なのか

血統スペシャルと称して、巷間の血統理論の問題点や、わたしなりの血統予想法の紹介を進めてきた。

まとめると、巷間の血統理論の多くは、

・父系に偏っている

・長文で、主観的で、再現性が低い

ということであった。

わたしから見れば、予想家自身の馬券購入理由の披瀝であり、その読者は予想理論とは違うと認識したほうがよい気がしている。

わたしは、その改善点として、わたしなりの血統に基づく予想をした。

38夜、第39夜である。

特に第39夜では、父系(血統表を遡らない)、母系(祖先馬としてひとまとめ)とも均等に合計し、賞金をもとにしたコース適性で比較した。

数値は賞金をもとにしたもので、(労力は要るにしても)誰でも再現はできる。

わたしの血統理論は、とり急ぎまとめたものであったが、これを作成する際に感じたことは、血統予想は非常に手間がかかるということだった。

巷間の血統予想理論では、さらに時間がかかるものと考えられる。

だからだろうか、血統理論の予想の多くは重賞予想に限られているものが少なくない。

さらに、過去の同一名称の重賞実績のみをもとに予想根拠を説明している。

わずかな数のサンプルである。
過去数レースでは情報が不足していると思うが、どうであろう。

「重賞過去10年」よりも、同じ期間中の同コースのデータを集めて検討したほうがよいと思うが、いかがだろうか。

▼客観的に事象を見る習慣をつけよう

数字にもまた、騙される人が多いことは否定しない。

しかし、数値がない理論の根拠は、もっと疑わしい。

ネットで拾った血統理論家(素人・玄人いずれでも)を検証すると、非常にサンプルの少ない中での判断か、成功体験の記憶の強さによるもので不成功時の体験が軽視または消去されているのではないかと思う。
例えば、


秋華賞の京都芝2000mでは、キングカメハメハ産駒の勝率がディープインパクト産駒を凌いでいる。

2006年から2014年のデータでは逆

ディープインパクト=出走174頭、30勝、勝率17%

キングカメハメハ=出走150頭、20勝、勝率13%


東京芝1800mでは、フジキセキ、メイショウサムソンが走る。

2006年から2014年のデータでは、フジキセキですらそこまで主張する内容ではない

フジキセキ=出走159頭、22勝、勝率14%

メイショウサムソンに至っては、出走35頭、3勝、勝率9%

最後に、今一度申し上げておく。

5代血統表、あるいは9代血統表など眺めて予想することは別に悪くない。

個人の楽しみとしてはとても良いものだと思う。
予想者が自身の持つ血統知識の風呂敷を広げることもかまわない。

しかし、その読者に重要な注意を申し上げる。
公開された内容を血統「理論」というのはやめておいたほうがよいし、読者もまた、自分の買い目として鵜呑みにすることもやめておいたほうがよい。
現在の血統理論と称する予想とは、理論というより、買った馬券の「弁明書」といった趣の方が強いのだ。


予想を公開する人にもお願いがある。
ぜひ、母系の分析をしてほしい(母の父などではなくファミリーライン)
「名牝」と呼ぶだけでなく、コース適性なども示してもらえればすばらしいのだが。
母馬を種牡馬と同列か、それ相応に重要であることは認識されていると思う。
それでも手を付けられないほど、かなりの困難というか作業量を伴うことは承知している。
しかし、それでこそ「予想の未踏領域」なのであり、馬券収益の源泉となる部分なのである。
皆と同じでは平均水準さえ超えることはできない。
スピード指数の登場のように、斬新な牝系理論の開発がなされたとき、新たな地平が開かれていく。
血統理論は未開拓の領域が広い分、期待も大きいのである。

(SiriusA+B)

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