2016年8月21日日曜日

第109夜 馬の速度は3歳秋にピークに達する、ということはスピード指数は…


▼競走馬の成長は早い
競走馬の速度が早々に頭打ちとなることとスピード指数についての話である。

前夜108夜で季節調整した馬の成長曲線を示した。
そのままの平均速度データより、季節調整済みの平均速度を使用したほうがわかりやすい。
競走馬は3歳の秋には生涯の最高速度に達する。
前夜の表を再掲する。
日齢を対数にしているのでわかりづらいが、生後約1330日余り、対数にして3.13くらいのところが変曲点となっている。
ぜひ、グラフにしていただきたい。



日齢対数

芝件数

ダート件数


平均速度

ダート

平均速度

季節調整済芝平均速度

季節調整済ダート平均速度

2.95未満
(
日齢881日未満)

12440

2629

59.50

57.28

59.31

57.17

2.95
(
日齢882-901)

4450

1465

59.45

56.88

59.22

56.73

2.96

5148

2087

59.44

56.73

59.23

56.53

2.97

5910

3195

59.36

56.72

59.21

56.55

2.98

6120

4258

59.32

56.71

59.25

56.63

2.99

6084

5347

59.19

56.58

59.22

56.62

3.00

6057

6609

59.03

56.52

59.19

56.66

3.01

6201

7917

58.90

56.50

59.17

56.71

3.02

6126

8429

58.85

56.55

59.20

56.77

3.03

6524

8837

58.90

56.61

59.22

56.80

3.04

7795

9349

59.10

56.76

59.29

56.86

3.05

8175

9107

59.23

56.93

59.29

56.94

3.06

8316

8726

59.37

57.03

59.34

56.94

3.07

8037

8636

59.49

57.15

59.39

57.01

3.08

7741

8619

59.65

57.18

59.49

57.05

3.09

7121

7840

59.84

57.21

59.64

57.10

3.10

6144

7159

59.93

57.26

59.71

57.16

3.11

4822

5999

60.04

57.41

59.83

57.28

3.12

3622

4875

60.07

57.58

59.95

57.47

3.13

3102

4340

60.09

57.74

60.14

57.75

3.14

2943

4423

59.96

57.75

60.19

57.91

3.15

2920

4326

59.84

57.72

60.18

57.93

3.16

3461

4468

59.91

57.74

60.19

57.91

3.17

3910

4083

60.01

57.85

60.12

57.89

3.18

4172

3848

60.17

57.96

60.14

57.88

3.19

4060

3637

60.30

58.01

60.18

57.87

3.20

4099

3661

60.35

58.06

60.18

57.95

3.21

3668

3808

60.45

58.05

60.24

57.92

3.22

3481

4358

60.43

58.06

60.25

57.88

3.23

3270

4444

60.27

57.99

60.25

57.91

3.24

3095

4464

60.02

57.88

60.21

58.00

3.25

3100

4217

59.97

57.89

60.31

58.10

3.26

3341

3981

60.04

57.92

60.29

58.06

3.27

3576

3432

60.26

58.10

60.29

58.09

3.28

3510

2783

60.38

58.20

60.29

58.07

3.29

3142

2340

60.48

58.11

60.30

58.00

3.30

3049

2585

60.52

58.15

60.31

58.00

3.31

2820

3063

60.41

58.20

60.31

58.04

3.32

2637

2877

60.27

58.06

60.39

58.12

3.33

2412

2670

60.02

58.00

60.34

58.20

3.34

2298

2274

60.19

58.05

60.43

58.18

3.35

2022

1716

60.30

58.28

60.30

58.22

3.36

1908

1329

60.47

58.27

60.34

58.13

3.37

1702

1231

60.59

58.27

60.37

58.14

3.38

1593

1457

60.45

58.33

60.32

58.17

3.39

1528

1428

60.19

58.22

60.34

58.29

3.40

1221

1146

59.99

58.13

60.33

58.33

3.41

1152

873

60.18

58.22

60.33

58.27

3.42

1043

648

60.48

58.39

60.40

58.26

3.43

880

561

60.51

58.36

60.32

58.24

3.44

797

563

60.52

58.42

60.38

58.25

3.45

700

569

60.22

58.15

60.37

58.22

3.46

537

402

59.85

58.11

60.18

58.30

3.47

476

277

59.99

58.36

60.06

58.36

3.48

346

184

60.37

58.42

60.23

58.30

3.49

280

186

60.39

58.27

60.18

58.12

3.50

218

157

60.17

58.17

60.16

58.14

3.51

175

120

59.88

58.31

60.21

58.49

3.52

134

89

60.07

58.35

60.17

58.38

3.53

107

51

59.89

58.26

59.73

58.13

3.54

67

41

60.57

58.79

60.37

58.63

3.55

55

43

59.39

58.98

59.55

59.08

3.56

35

18

59.29

58.76

59.62

58.89

3.57

38

10

60.20

58.85

60.15

58.73

3.58

28

9

60.21

58.80

60.03

58.65

3.59

17

9

59.70

58.04

59.76

57.92

3.60

12

1

60.09

57.45

60.39

57.58

3.61

7

3

60.27

56.25

60.22

56.22

3.62

3

1

61.05

55.65

60.80

55.29

3.63

2

3

58.18

56.32

58.04

56.38

3.64

1

2

57.51

59.64

57.89

59.78

3.65

0

0

0.00

0.00

0.00

0.00

3.66

1

1

60.17

55.15

59.94

55.28

3.67

0

0

0.00

0.00

0.00

0.00

3.68

0

0

0.00

0.00

0.00

0.00

3.69

0

1

0.00

56.01

0.00

55.73

3.70

0

0

0.00

0.00

0.00

0.00


注意してみると、芝とダートでカーブの形状が少々異なっている。
芝は伸びが止まると、それ以上速度はほとんど変わらない。
一方、ダートでは、変曲点に達するのはほぼ同じ時期(対数で3.14付近)だが、達して以降も非常に緩やかながらも速度を上げていく。
理由は未解明だが、ダートコースは芝コースに比べて力が要るため、筋肉など力強さが速さを補うように成長しているのかもしれないと推測している。

▼スピード指数は有効なのか
この成長曲線を眺めて、過去にスピード指数系予想理論で直面した幾つかの問題の原因がわかった気がした。

まず、スピード指数系予想理論では、未勝利戦での勝率は高い半面、古馬戦で苦戦する点。
成長曲線からは、3歳秋に最高速度に達するので、古馬の速度の成長はほとんどない。
速度の成長期ほど差が開くことはないため、ちょっとした展開のアヤやコース適性、体調によって順位が左右されやすいものと考えられる。
「古馬は調子」というが、まさにその通りではないかと思う。


また、芝コースの予想よりダートコースの予想のほうが当たりやすい点。
ダートでは出走馬の能力差や、パワーの問題で着差が付きやすく、その分指数上も差がつくものと考えていた。
実際には芝もダートも同じくらいの分布で、「当たりやすい理由」は別にあることが分かった。
今回成長曲線を描いてみて思ったのは、ダートの場合、変曲点に達して以降ももうしばらくの間、非常に緩やかながらも速度を上げていく、と前項で申し上げたことである。
すなわち、ダートの場合には、競走馬は少しずつでも「成長」を続けているので予想しやすいのではないかと考えられる。


以上2点のように、スピード指数系予想理論は、「成長が止まっていると予想し難く、成長途上は予想しやすい」ものなのではないだろうか。
馬の成長中は、差が付きやすいのだ。

さらに、馬の成長曲線が、「変曲点以降ほとんど横向きになる」というデータからは、古馬での勝利が必ずしも速さに起因しないことを意味している。
馬の強さは、速さではない、少なくとも速さだけではない、ということなのである。
ということは、速さを指標とするスピード指数系予想理論ではうまく予想できないということになるのではないだろうか。
(SiriusA+B)

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