▼古典的血統理論は天動説に見えて
第113夜「血統理論と全兄弟」で、全兄弟といえども、父母から受け継ぐ遺伝子は2分の1の確率で異なるということを述べた。
血統理論派の人には申し訳ないが、全兄弟の話は血統理論を根底から揺るがす問題である。
古典的血統理論では、全兄弟は同一とみなして扱うことが多いようだ。
父と母しか情報がないからそうするしかないのである。
そもそもこうした血統理論自体の誤りは、現代では中学生くらいで学習する理科の知識で気がつくと思うのだが、血統上同一とみなす全兄弟の競走成績・産駒成績の違いに対する弁解も荒唐無稽である。
「調教師や騎手の違いによって生じる」
「競走相手が違う、同じ競走ではない」
など、裏付けもない説明をする。
わたしには、天動説を前提に星の動きを説明しなければならない状態のように見えてしまう。
「全兄弟を同じと考えなければ済む話」なのだが、そうすると血統理論が成立しなくなるのである。
話はここからである。
その差異について理由(弁解?)を眺めていたところ、気になるものがあった。
「出生順が違うから」
という書き込みである。
そもそもこれは「全兄弟を同じと考えなければ済む話」なのだが、そう言えば、わたしはこの視点で血統を考えたことはなかったと気づいた。
この辺りの話は遺伝子レベルの研究以前の問題とも言え、すでに、この種の研究は世界各地で行なわれている。
ただ、実際に調査するとなると膨大な量に及ぶ。
わたしが幾つかの発表資料を参照した限りでも、全頭検査はなく、グレードレース勝ち馬のように限定的な調査である。
純粋な研究でさえこのようなものなので、個人で全頭検査するなら余程の覚悟が要る。
自分の予想理論に組み込むとすれば、心して取り掛かってもらいたい。
それでも、部分的に小さなデータベースを作り、発表された情報を突き合わせれば、仮説の真偽、信用度もある程度は精査できるだろう。
▼繁殖牝馬と産駒成績の関係に関する説
データさえ揃えられるなら、英米や国内の研究成果を確認したい。
例えば、以下のような課題である。
(1)繁殖牝馬の競走成績と産駒の優劣
競走成績が優秀な牝馬からは優秀な仔が生まれる、生まれる確率が高いと考えられてきた。
これが事実かどうか、相関性はあるのか。
(2)出生時繁殖牝馬の年齢
繁殖牝馬が出産した年齢と産駒の競走成績に関連性はあるか。
高齢の繁殖牝馬からは活躍馬があまり出現していないと推定しているが、これが裏付けられるかどうか。
(3)出産順
初仔は活躍するのか、生まれてきた順番によって競走成績に差異があるのかどうか。
活躍馬の弟妹は、兄姉のように走るのか、どのくらい期待できるのか。
発表された研究成果では、(1)(2)(3)いずれにも、だいたい似たような調査結果となっている。
仮に(2)(3)の課題で「繁殖牝馬年齢、出産順は産駒成績と無関係」となれば、古典的血統理論にももう少し寿命が与えられるだろう(全兄弟を同一に取り扱え、遺伝子レベルまで調べなくても父母の情報だけで通用する、ということ)。
このほか、空胎や種牡馬と産駒の関係など、調べたいことは尽きない。
残念ながら、わたしも調査したいが、データを集めるとすれば相当な時間を用意しなければならないようだ。
わたし自身も関心の高いテーマなので、いずれ近いうちに研究したいと思う。
(SiriusA+B)
第113夜「血統理論と全兄弟」で、全兄弟といえども、父母から受け継ぐ遺伝子は2分の1の確率で異なるということを述べた。
血統理論派の人には申し訳ないが、全兄弟の話は血統理論を根底から揺るがす問題である。
古典的血統理論では、全兄弟は同一とみなして扱うことが多いようだ。
父と母しか情報がないからそうするしかないのである。
そもそもこうした血統理論自体の誤りは、現代では中学生くらいで学習する理科の知識で気がつくと思うのだが、血統上同一とみなす全兄弟の競走成績・産駒成績の違いに対する弁解も荒唐無稽である。
「調教師や騎手の違いによって生じる」
「競走相手が違う、同じ競走ではない」
など、裏付けもない説明をする。
わたしには、天動説を前提に星の動きを説明しなければならない状態のように見えてしまう。
「全兄弟を同じと考えなければ済む話」なのだが、そうすると血統理論が成立しなくなるのである。
話はここからである。
その差異について理由(弁解?)を眺めていたところ、気になるものがあった。
「出生順が違うから」
という書き込みである。
そもそもこれは「全兄弟を同じと考えなければ済む話」なのだが、そう言えば、わたしはこの視点で血統を考えたことはなかったと気づいた。
この辺りの話は遺伝子レベルの研究以前の問題とも言え、すでに、この種の研究は世界各地で行なわれている。
ただ、実際に調査するとなると膨大な量に及ぶ。
わたしが幾つかの発表資料を参照した限りでも、全頭検査はなく、グレードレース勝ち馬のように限定的な調査である。
純粋な研究でさえこのようなものなので、個人で全頭検査するなら余程の覚悟が要る。
自分の予想理論に組み込むとすれば、心して取り掛かってもらいたい。
それでも、部分的に小さなデータベースを作り、発表された情報を突き合わせれば、仮説の真偽、信用度もある程度は精査できるだろう。
▼繁殖牝馬と産駒成績の関係に関する説
データさえ揃えられるなら、英米や国内の研究成果を確認したい。
例えば、以下のような課題である。
(1)繁殖牝馬の競走成績と産駒の優劣
競走成績が優秀な牝馬からは優秀な仔が生まれる、生まれる確率が高いと考えられてきた。
これが事実かどうか、相関性はあるのか。
(2)出生時繁殖牝馬の年齢
繁殖牝馬が出産した年齢と産駒の競走成績に関連性はあるか。
高齢の繁殖牝馬からは活躍馬があまり出現していないと推定しているが、これが裏付けられるかどうか。
(3)出産順
初仔は活躍するのか、生まれてきた順番によって競走成績に差異があるのかどうか。
活躍馬の弟妹は、兄姉のように走るのか、どのくらい期待できるのか。
発表された研究成果では、(1)(2)(3)いずれにも、だいたい似たような調査結果となっている。
仮に(2)(3)の課題で「繁殖牝馬年齢、出産順は産駒成績と無関係」となれば、古典的血統理論にももう少し寿命が与えられるだろう(全兄弟を同一に取り扱え、遺伝子レベルまで調べなくても父母の情報だけで通用する、ということ)。
このほか、空胎や種牡馬と産駒の関係など、調べたいことは尽きない。
残念ながら、わたしも調査したいが、データを集めるとすれば相当な時間を用意しなければならないようだ。
わたし自身も関心の高いテーマなので、いずれ近いうちに研究したいと思う。
(SiriusA+B)