2026年3月15日日曜日

第553夜 平均への回帰と鳶が鷹を産む

正しくは専門家に聞いてね
専門家どころか、まったく素人なので、「適当なことを放言しているだけだ」と思っていただきたい。
ほんとうのところは専門家のきちんとした書物を読んでいただきたい。

最近、兄弟姉妹間の差異はどこから生じているのか、いろいろと調べていたのである。
或いは、優秀な父系・母系が時代とともに別のものに移っていくのはなぜか、ということも。
結局のところ、遺伝学に辿り着いてしまう。
調べ物の樹海の中で、ふと気がつくと遺伝学の難しい専門領域に入り込んでいるのだ。
理解が及ばなくなってくる。
そもそも、わたし、理系じゃないんだよね。

わたしは以前からサラブレッドの肉体的な特徴については極端な差異はないと考えていて(まったくないという話ではない)、むしろ、性格だとか知能に大きな差が生じやすいのではないかと思っている。
クレバーだったり、従順であったりすることが競走成績にも影響しているのではないかと考えているのだ。
実際のところは分からないが、人間の場合、知能は相加的遺伝の傾向が強く、性格は非相加的遺伝の傾向が強い、という話を知り、食いついたのである。

優れた頭脳の両親から生まれる子は、やはり頭のいい子になる「期待値」が高い。
そして期待通りになっていそうだが、話はそう単純ではない。
親子の相関係数が1ではない(クローン人間のように完全に同じになるわけではない)ため、兄弟姉妹ではバラツキが出るのだ。
わたしの両親は合計して14人兄弟姉妹(8+6)なのでなんとなく分かるが、まあ、バラバラだ、いろいろいる。
問題は、この兄弟姉妹の平均値が両親を足して2で割った平均ではなく、母集団全体の平均値に近づくことだ。
例えば、父が60点、母が62点として、子どもたちの平均は61点ではなく、母集団全体平均の50点に近づく(たぶん50点よりはちょっと高いのではないかと思うが)ということのようだ(それこそ間違えいたらごめん)
つまり、優秀な子が生まれる可能性は高いものの、ふつうの子も生まれる。
反対に、平凡な両親からも、多少確率は低いかもしれないが、非凡な子が生まれることもあるのだ。
わたしは「平均への回帰」というのを長い間意識していたが、両親の平均とばかり考えていて、母集団全体の平均とは思いもよらなかった。
人間の話からいきなり馬に変わって恐縮だが、年間100頭以上種付けした大種牡馬たちの仔も、G1に勝つ馬も出れば未勝利で終わる馬も出ている。
「平均への回帰」のわたしの解釈がそれほど間違っていなければ、であるが、大種牡馬産駒の成績のバラツキも合点がいく……ような気がする。

このことは、牝系でも観察される。
1960
年生まれの牝馬Fijiは、1963年の英国コロネーションステークス(現在はG11971年グレード制導入でG2に格付)を勝ったが、繁殖牝馬としても優秀な産駒を残した。
そのうち、G1デラウエアオークスをはじめ7勝を挙げたPacific Princessは、パシフィカス、キャットクイルらを産んだ。
パシフィカスは2頭のG1馬、ビワハヤヒデ・ナリタブライアンを産み、キャットクイルも2頭のG1馬、ファレノプシス・キズナを産んだ。
2
頭以上のJRAG1馬を輩出した母馬というのは、数えるほどしかいない名牝である。
素晴らしい牝系なのだが、牝系図を眺めると、当然、ふつうの馬も少なくない。
平均的には、全体に優秀であることは確かだ。
ただ、すべての馬がG1を勝ち取るわけではない。
血統派には、良績を残した馬だけ参照する人もいるようだが、このバラツキが現実なのである。
父が違う、という程度で説明できるものではなく、「血統表が同じなら能力もだいたい同じ」ということは、ない。
そして、世代を経ると、平均的な馬が増えてきているような気もする。
大種牡馬・名牝の血統といえども、数代もすれば平均の中に埋没していくのかもしれない。
他方、どこかで鳶が鷹を産むのだ。
掲げた牝系図には最近の世代を記載していない。
ほんとうに血統好きというなら、最近の血統まで調べながら、平均への回帰や鳶が鷹を産むダイナミズムを意識してもらえればと思う。

活躍しすぎる系統
馬券の観点では、ふだん血統など参考にしない人でも新馬戦では気にかける人もいると思う。
優秀な母、或いは、優秀な兄姉がいる馬は、どうしても人気になりがちである。
そして、それなりに成績も残すのだが、一方で、そうでもない馬というのもいる。
走ったこともないし、記者たちが良いというから、手を出さざるを得ない雰囲気というものはある。
だが、もし貴方の財布に若干の余裕があれば、わたしのインチキ臭い法則「平均への回帰」を参考にしてみてはどうだろう。
天邪鬼(あまのじゃく)でも、2頭以上の兄姉が活躍しているとか、兄姉に比べて小柄とか、そういった仔は思い切って見送ってみたい。
JRA
G1馬を3頭輩出した母は3頭くらい、2頭でも30頭あまりしかいないのだ。
(SiriusA+B)

(
図表553-1)Fiji牝系図4代まで

●Fiji(牝1960)海外4勝
   ●Safety Match(牡1965)海外1勝
   ●Anguilla(牝1966)
      ●Aldenize(牝1975)
        ●Astorga(牝1979)海外10勝
        ●Aubert(牡1981)
      ●Aboukir(牝1979)
        ●Abrantes(牡1984)
   ●Mal(牝1967)
      ●Emellare(牝1973)
        ●Indellare(牝1978)
        ●Fair Dawn(牝1980)
   ●Fleet Wahine(牝1968)海外4勝
      ●Fleet Serenade(牝1974)
        ●Quiet Thoughts(牝1982)
      ●Running Melody(牝1980)
        ●Waikiki Beach(牡1991)
   ●Toro de Fuego(牡1969)
   ●Fujiana(牝1970)
      ●Howard's Miss(牝1978)
        ●La Konga(牝1984)
        ●Gracielle(牝1988)
      ●Johnny Crown(牡1981)
      ●Fujiana Ridge(牝1982)
        ●Ridge Acres(牝1986)
        ●Top Tart(牝1987)
        ●Fujiana Ridgeの1988(牝1988)
      ●Fujitime(牝1988)
        ●Here Fuji(牝1999)
        ●Glitter Time(牝2000)
        ●Dancing in Time(牡2003)
        ●ケイアイスキャット(牡2004)中央1勝、地方1勝
   ●Hail Wahine(牡1971)
   ●Vanua(牝1972)
      ●Green Haze(牡1978)
      ●Singh Singh Singh(牝1979)
      ●Slumming(牝1983)
   ●Pacific Princess(牝1973)海外7勝【G1】
      ●Peace River Prince(牡1979)
      ●Sir Seaward(牡1980)
      ●パシフィカス(牝1981)
        ●Philosophos(牡1986)
        ●Luks Akura(牡1988)
        ●Tahitian(牡1989)
        ●ビワハヤヒデ(牡1990)中央10勝【G1】
        ●ナリタブライアン(牡1991)中央12勝【G1】
        ●ビワカレン(牝1993)
        ●ビワビーナス(牝1994)中央3勝
        ●ビワタケヒデ(牡1995)中央3勝
        ●ビワタイテイ(牡1997)中央1勝
        ●スペリオルパール(牝1998)
        ●ビワパシフィカス(牝1999)
      ●Pilgrim Era(牝1983)
        ●Pilgrim Warrior(牡1988)
        ●My Living(牝1990)
      ●アサーティブプリンセス(牝1984)
        ●ウィローベイ(牝1988)
        ●Positvely Splashng(牝1990)
        ●Cross Him Off(牡1992)
        ●アクチンアグリー(牝1993)
        ●Darling Rafaela(牝1994)
        ●シーヴィーナス(牝1995)
        ●タヤスエネルギー(牡1996)中央1勝
        ●シルクサンシャイン(牡1997)地方7勝
        ●タヤスエタニティ(牡1998)中央2勝
        ●アサーティブプリンセスの1999(牡1999)
        ●シルクメイジャー(牡2001)地方16
        ●シルクフォートレス(牡2002)地方7勝
        ●シルクアサーション(牡2007)
        ●アサティブプリンス(牡2008)
      ●トロピカルサウンドⅡ(牝1987)
        ●Regent Ruler(牡1992)
        ●タヒチアンブリーズ(牝1993)
        ●トロピカルシルキー(牝1995)
        ●ピサノガレー(牝1996)中央4勝
        ●フサイチストラトス(牡1998)中央5勝
        ●バアゼルテイオー(牡1999)中央3勝、地方1勝
        ●シルクユニバーサル(牝2001)中央2勝
        ●トロピカルサウンドⅡの2002(牡2002)
      ●ナナイモプリンセス(牝1988)
        ●Hold Onto the Moon(牡1992)
        ●パシフィックベイブ(牝1993)
        ●サムソンドーリー(牝1994)
        ●サムソンブライト(牡1995)
        ●サムソンアクティブ(牡1996)
        ●サムソングレイト(牡1998)地方14
        ●サムソンゴーゴー(牡2000)地方3勝
        ●プリンセスイブ(牝2002)中央2勝
        ●フラッグラッシュ(牡2005)中央1勝、地方3勝
      ●ポーサー(牝1989)
        ●ソートゥギャザー(牡1995)地方3勝
        ●リプレッサー(牡1996)
        ●テクスチュア(牝1997)中央1勝
        ●オードシエール(牡1998)地方8勝
        ●ポーサーの2001(牡2001)
        ●ウインクルグラス(牝2002)中央1勝
        ●South Star(牡2005)
        ●タガノシュペリエル(牡2006)中央2勝、地方5勝
      ●キャットクイル(牝1990)
        ●ファレノプシス(牝1995)中央7勝【G1】
        ●アランダ(牝1996)中央1勝
        ●Sunday Break(牡1999)海外4勝
        ●エレンウィルモット(牝2002)
        ●ヴィクトリアアイ(牝2004)中央4勝
        ●ジェンティリティー(牡2005)中央1勝、地方2勝
        ●コーネリア(牝2007)
        ●キズナ(牡2010)中央6勝、海外1勝【G1】
        ●キャットクイルの2013(牡2013)
      ●Ocean Cat(牝1992)
        ●エンシャントゴールド(牝1998)
        ●Gold Mine(牡1999)
        ●Destin(牡2001)
        ●Lemon Drop Martini(牝2002)
        ●Ocean Fever(牝2003)
        ●Pumpjackcat(牡2006)
        ●トゥーオーシャンズ(牝2007)
        ●Married At Sea(牝2008)
        ●Loza(牡2009)
        ●Big Phil(牡2010)
        ●ホワイトソックス(牝2012)地方3勝
      ●イブキラッキーデイ(牝1993)
        ●イブキウンリュウ(牡1998)
        ●フレノキャプテン(牡1999)中央2勝
        ●アイゲスソー(牝2000)
        ●イブキフリッグ(牝2001)
        ●マッキールージュ(牝2002)
        ●シルバードルフィン(牡2004)地方2勝
        ●イブキラッキーデイの2005(牡2005)
        ●マルカンジャンプ(牝2007)地方1勝
      ●エスジーペガサス(牡1994)中央2勝、地方1勝
   ●Acratariat(牡1975)

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