2026年5月3日日曜日

第560夜 ランダムさえ耐えられない現代人たちへ

 

程々に的中する世界
調整と乱数とは、相いれない組み合わせのように思うが、「調整乱数」或いは「乱数調整」ということばがあるようだ。
乱数の生成は難しいので「疑似乱数」を生成したり使ったりする話は耳にするけれど。
パチンコやゲームなどを嗜む人には知っている人も少なくないようだ。
要するに、アタリの出やすさや出にくさを調整する、というものらしい。
ホンモノ或いは疑似乱数ではアタリが出なくて耐えられない人たちの引き留め策として、ほどほどに的中させようとする。
20回くじを引いても、まったく当たらないから、ランダムというのは嘘だ」と痛くもない腹を探られても困る。
そういうことなのだ。
それって、もう乱数じゃ……、ああ、いやいや。
あまり評論はしないようにしているけれど、やさしい時代になってよかったね、とだけ言っておく。
競馬においてはパリミュチュエル方式だから乱数ではないが、当然、無調整で制御不能なのは同じだ。
出目理論がいつの時代も燻るのだが、こんな話題を持ち出したのは「1番人気は3分の1くらいの勝率だけど、偏りはあるよね」ということについて「それほどでも」と言いたかったからなのである。
今ほど手軽に調べられない、計算できない時代には、何回連続で1番人気が勝ったから次は、とか、1番人気が最高何回くらい連敗したか、という話題がよくあったように思う。
最近は独立事象だから、と詳しくない者でも応えるようになった(気がする)

(
図表560-1)1日あたりの1番人気勝利回数別出現日数(平地9レース以下の日を除く)

1番人気勝利回数 平地12R 平地11R 平地10R
9回 7 0.3% 2 0.2% 0 0.0%
8回 31 1.2% 7 0.6% 0 0.0%
7回 116 4.6% 20 1.6% 3 1.0%
6回 288 11.4% 94 7.7% 17 5.9%
5回 446 17.7% 204 16.6% 30 10.5%
4回 615 24.4% 287 23.4% 61 21.3%
3回 497 19.8% 308 25.1% 68 23.7%
2回 358 14.2% 206 16.8% 63 22.0%
1回 130 5.2% 86 7.0% 39 13.6%
0回 28 1.1% 12 1.0% 6 2.1%
合計 2,516 1,226 287

2011-2024年の中央競馬平地競走において、1番人気の勝率は同着を考慮して約32.5%である。
荒天で打ち切り、続行競馬ということもあるが、通常運行なら平地競走は1場あたり10レースから12レースある。
このときの11場あたりの1番人気勝利回数の分布をみると、6割強の日が、1日平地12レースならだいたい4回プラスマイナス1回に収まる。
競馬は制御不能と言いながら、1番人気は長期的な出現率と同じ、毎日3分の1くらいはちゃんと勝っている。
中央競馬はいいよね。
ただ、裏返して言えば、残り4割弱くらいの日は、やたらと1番人気馬が勝ちまくったり、まったく勝てなかったりする。
統計的根拠なしに「偏りがあるのでは」とオペレーション説を唱えたくなる素地が少なからずあるのはこのためだ。
すべての人が統計を充分理解して(納得して)いるわけではない。
ごく少数の試行回数にも関わらず、理論的長期的確率と整合しないと納得しない者が出てくる。
中央競馬はその点で、1日の1番人気勝利回数4回プラスマイナス1回が正規分布の1標準偏差くらいなので、怪しいと騒ぐ人が稀なのだろう。

で、極めて安定した1番人気の勝率だが、疑いの目で図表560-2をご覧いただきたい。
月別に1番人気勝率を集計した。
実は、1月から5月まで(この表では見にくくて恐縮だが正確には12月から5月まで)1番人気の勝率は平均を下回り、年後半から平均を上回る。
この事実をご存じだろうか。
そして、なぜこのようになるのか、貴方ならどう説明するだろう。

(
図表560-2)月別の1番人気勝率

1着回数 出走回数 勝率
1 1,212 3,883 0.312
2 1,207 3,749 0.322
3 1,289 4,011 0.321
4 1,225 3,883 0.315
5 1,216 3,953 0.308
6 1,240 3,766 0.329
7 1,375 4,200 0.327
8 1,363 4,095 0.333
9 1,140 3,381 0.337
10 1,414 4,140 0.342
11 1,259 3,805 0.331
12 1,203 3,717 0.324
15,143 46,583 0.325

競馬のサイクル
さまざまな解答はあると思うが、わたしの説明(答え)は割と単純で「1レースあたりの平均出走頭数」が変化するから、である。
ただし、奥深いところまで考察すると競走馬の置かれた厳しさを垣間見る。
この集計期間では、11月はちょっと多いが、6月から10月までは平均14頭弱、11月から5月までは14頭強だった。
中央競馬は6月に馬の「新年度」が始まり、2歳馬がデビューし新馬戦が組まれる。
3
歳馬たちは古馬戦に組み込まれていく。
そして、各クラスで勝ちきれない馬が溜まっていき、レースがだんだん混雑してくる。
年度終わりの5月までそうした状態が続くのだ。
早く勝っておかないと、6月からひとつ下の世代がやってくる。
やはり、下の世代は手強いのである。
図表560-420196月以降2024年末までの古馬戦世代別成績を月毎にしたものである。
ご覧の通り、古馬では第2世代(4歳、1月から5)や第3世代(5歳、1月から6)は、3月、5月に奮闘しているフシがある。
裏返しで、第1世代の3月や5月に勝率がちょっと低下しているのは偶然ではない。
ベテランたちは、まさに生き残りを賭けた勝負なのだ。
いよいよ、後がなくなってくる。
馬自身には分からなくても陣営は必死だ。
(
陣営の人間が)「甘ちゃん」だと(馬が)生き延びることはできない。
馬房は有限なので、追い出されると終わりである。

わたしたちは、競走生命の取り合いまでしない呑気な存在だ。
それどころか、定期的に当てさせろとまで言う。
せめて、このサイクルを理解して激走馬を探したい。
(SiriusA+B)

(図表560-3)月別の1番人気勝率+平均出走頭数
1着回数 出走回数 勝率 平均出走頭数 平均勝率
1 1,212 3,883 0.312 14.49 0.069
2 1,207 3,749 0.322 14.42 0.069
3 1,289 4,011 0.321 14.31 0.070
4 1,225 3,883 0.315 14.61 0.068
5 1,216 3,953 0.308 14.47 0.069
6 1,240 3,766 0.329 13.94 0.072
7 1,375 4,200 0.327 13.55 0.074
8 1,363 4,095 0.333 13.95 0.072
9 1,140 3,381 0.337 13.89 0.072
10 1,414 4,140 0.342 13.43 0.074
11 1,259 3,805 0.331 14.19 0.070
12 1,203 3,717 0.324 14.65 0.068
15,143 46,583 0.325 14.15 0.071

(図表560-4)2019年6月以降古馬戦世代別月別成績(2019-2024年中央競馬平地競走)
※第1世代とは、3歳上戦の3歳、4歳上戦の4歳。第4世代以降はひとつにまとめた
第1世代勝利回数 第1世代出走回数 第2世代勝利回数 第2世代出走回数 第3世代勝利回数 第3世代出走回数 第4世代以上勝利回数 第4世代以上出走回数 第1世代勝率 第2世代勝率 第3世代勝率 第4世代以上勝率
6月 395 2,864 253 3,956 127 2,453 54 1,753 13.8% 6.4% 5.2% 3.1%
7月 403 3,010 235 3,757 127 2,351 47 1,625 13.4% 6.3% 5.4% 2.9%
8月 414 3,434 206 3,479 117 2,264 44 1,516 12.1% 5.9% 5.2% 2.9%
9月 419 3,801 223 3,359 98 2,126 36 1,312 11.0% 6.6% 4.6% 2.7%
10月 556 4,833 286 4,308 131 2,663 39 1,695 11.5% 6.6% 4.9% 2.3%
11月 464 4,329 255 3,977 88 2,367 39 1,472 10.7% 6.4% 3.7% 2.6%
12月 458 4,288 203 3,552 85 2,156 37 1,414 10.7% 5.7% 3.9% 2.6%
1月 414 4,041 177 2,912 74 1,716 29 1,045 10.2% 6.1% 4.3% 2.8%
2月 419 4,056 170 2,869 74 1,586 23 899 10.3% 5.9% 4.7% 2.6%
3月 370 3,800 191 2,718 73 1,424 17 822 9.7% 7.0% 5.1% 2.1%
4月 407 3,982 179 2,699 43 1,231 15 720 10.2% 6.6% 3.5% 2.1%
5月 415 4,218 185 2,793 56 1,256 23 749 9.8% 6.6% 4.5% 3.1%









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