2022年8月28日日曜日

第383夜 馬場状態と走破速度

 

▼馬場状態と天候
馬場状態とは端的に言って、コースの含水率による区分である。
永く、良・稍重・重・不良の4段階で、もう少し詳しく知りたいと思う人は多かったに違いない。
近年は、主催者から含水率、芝コースクッション値といった数値の公表が加わった。
含水率は2018年7月27日、芝コースクッション値は2019年9月11日から公表されている。
データの蓄積が進んでおり、走破タイムとの相関性を明らかにする理論などもいずれ出てこよう。

わたしは、走破タイムをベースにしたタイム系指数での予想をしていないが、どの程度影響があるのかくらいはウォッチしている。
基礎講座のようで申し訳ないが、芝コースは良、稍重、重と馬場状態が悪化するにつれ、時計がかかるようになり、ダートコースでは反対に時計が速くなる。
不良馬場になると、芝コースではより時計がかかり、ダートコースでは重馬場よりは時計がかかる。
馬も騎手も、或いはいずれかが走りにくいのだろう。
2011
年から2021年の11年間の平地競走の馬場状態別平均速度の変化は下表のとおりである。
このブログ専用のデータを一新したので、これまでと調査期間が異なるが、傾向は概ね同じである。
なお、全馬平均速度は58.62km/hである。
この数値は、完走全馬の速度を算出し、この平均を求めたものである。
ついでに(?)上がり3ハロンの平均も出してみた。
上がり3ハロンのほうが、馬場の影響をより受けることが分かる。
(
図表383-1)馬場状態別平均速度

馬場状態 完走頭数 走破速度 上がり速度 差異 上がり差異
芝良 203,422 60.00 61.01 1.38 2.59
芝稍 35,205 59.40 59.99 0.78 1.57
芝重 13,289 58.86 58.94 0.24 0.52
芝不 4,093 57.56 57.09 -1.06 -1.33
ダ良 161,438 57.30 56.09 -1.32 -2.33
ダ稍 52,276 57.43 56.06 -1.19 -2.36
ダ重 31,121 58.00 56.80 -0.62 -1.62
ダ不 19,374 58.09 56.76 -0.53 -1.66
全体 520,218 58.62 58.42

このブログでは、過去に、芝・ダート4区分が少し物足りないので、天候も加えた48分類を示した。
お天気なんか関係あるのか、ということが聞こえてきそうだが、わたしが見る限り、走破タイムに影響を及ぼしている。
  
広義の馬場状態=(コースの)馬場状態+天候
というのが、わたしの考えである。
馬場状態に関係なく(相関性は極めて高いが)、天候別では下表のようになる。
天候は、晴・曇・小雨・雨・小雪・雪の6区分だが、小雪と雪はサンプル数が少ないので参考程度に考えていただきたい。
(
図表383-2)天候別平均速度

競走条件 天候 完走頭数 走破速度 上がり速度 差異 上がり差異
芝 晴 158,033 59.94 60.92 1.32 2.50
芝 曇 74,262 59.79 60.65 1.17 2.23
芝 小雨 9,402 59.42 59.97 0.80 1.55
芝 雨 13,999 58.78 59.03 0.16 0.61
芝 小雪 236 59.97 59.94 1.35 1.52
芝 雪 77 58.66 58.67 0.04 0.25
ダ 晴 165,932 57.38 56.12 -1.24 -2.30
ダ 曇 73,497 57.59 56.37 -1.03 -2.05
ダ 小雨 9,399 57.66 56.29 -0.96 -2.13
ダ 雨 14,921 57.83 56.46 -0.79 -1.96
ダ 小雪 289 56.80 55.72 -1.82 -2.70
ダ 雪 171 56.14 55.33 -2.48 -3.09
全体 520,218 58.62 58.42

馬場状態と天候を組み合わせたものが以下の表である。
データを見ていると、馬場状態もあるが、(本格的に降る)雨は嫌いなのかなと思わせる内容である(やっぱり嫌だよね……)。
理論的には48通りだが、こちらでも小雪・雪は参考程度に考えてほしい。

(
図表383-3)馬場状態・天候別平均速度

馬場状態 天候 完走頭数 走破速度 上がり速度 差異 上がり差異
芝良 晴 143,159 60.01 61.04 1.39 2.62
芝良 曇 52,962 59.97 60.98 1.35 2.56
芝良 小雨 4,598 59.89 60.77 1.27 2.35
芝良 雨 2,568 59.73 60.57 1.11 2.15
芝良 小雪 104 60.74 61.03 2.12 2.61
芝良 雪 31 57.78 59.91 -0.84 1.49
芝稍 晴 12,240 59.41 59.98 0.79 1.56
芝稍 曇 15,080 59.53 60.19 0.91 1.77
芝稍 小雨 2,764 59.23 59.83 0.61 1.41
芝稍 雨 4,975 59.11 59.56 0.49 1.14
芝稍 小雪 132 59.36 59.07 0.74 0.65
芝稍 雪 14 59.23 58.45 0.61 0.03
芝重 晴 2,346 58.76 59.06 0.14 0.64
芝重 曇 5,274 59.03 59.09 0.41 0.67
芝重 小雨 1,682 58.75 58.57 0.13 0.15
芝重 雨 3,971 58.72 58.83 0.10 0.41
芝重 小雪 0 0 0 0 0
芝重 雪 16 60.18 57.86 1.56 -0.56
芝不 晴 288 57.77 57.43 -0.85 -0.99
芝不 曇 946 58.15 57.92 -0.47 -0.50
芝不 小雨 358 57.90 57.44 -0.72 -0.98
芝不 雨 2,485 57.26 56.69 -1.36 -1.73
芝不 小雪 0 0 0 0 0
芝不 雪 16 58.37 57.26 -0.25 -1.16
ダ良 晴 117,356 57.29 56.07 -1.33 -2.35
ダ良 曇 39,115 57.36 56.18 -1.26 -2.24
ダ良 小雨 3,018 57.20 55.87 -1.42 -2.55
ダ良 雨 1,806 57.08 55.70 -1.54 -2.72
ダ良 小雪 82 55.59 54.49 -3.03 -3.93
ダ良 雪 61 57.28 56.65 -1.34 -1.77
ダ稍 晴 29,071 57.40 56.02 -1.22 -2.40
ダ稍 曇 16,120 57.46 56.12 -1.16 -2.30
ダ稍 小雨 2,621 57.50 56.08 -1.12 -2.34
ダ稍 雨 4,222 57.53 56.10 -1.09 -2.32
ダ稍 小雪 178 57.25 56.01 -1.37 -2.41
ダ稍 雪 64 55.40 53.80 -3.22 -4.62
ダ重 晴 15,645 57.83 56.55 -0.79 -1.87
ダ重 曇 10,611 58.18 57.07 -0.44 -1.35
ダ重 小雨 1,779 58.10 56.68 -0.52 -1.74
ダ重 雨 3,027 58.23 57.15 -0.39 -1.27
ダ重 小雪 29 57.47 57.43 -1.15 -0.99
ダ重 雪 30 55.38 55.35 -3.24 -3.07
ダ不 晴 3,860 57.84 56.59 -0.78 -1.83
ダ不 曇 7,651 58.21 56.94 -0.41 -1.48
ダ不 小雨 1,981 58.18 56.86 -0.44 -1.56
ダ不 雨 5,866 58.07 56.61 -0.55 -1.81
ダ不 小雪 0 0 0 0 0
ダ不 雪 16 56.16 56.35 -2.46 -2.07
全体 520,218 58.62 58.42

▼良馬場の細分化
馬場状態と天候を組み合わせて、走破速度に対する影響分析はこれで完了、ということにしていたのだが、実は気になる点があった。
当然だが、サンプル数が良馬場に偏りすぎているのである。
芝コースは8割、ダートコースは6割が良馬場である。
天候も加えて少しは細かくできたのだが、芝・ダートとも「晴・良」はどうしても突出して多くなってしまう。
何か細分化できる方法はないかと思案してきた。
考えた挙句、思い付いたのが、「芝・ダートの使わないほうの馬場状態の併用」である。
蒸発や保水の進行速度は異なっても、両コースの含水率には相関性があると仮定した。
図表383-4の「馬場明細」である。
なお、例えば第1レースが芝コースの場合、最初のダートレースの馬場状態を使用する、途中の馬場状態変更に関わらず、直前のレースの馬場状態を使用する、といったルールで加工している。
現実には、馬場状態変更のお知らせが来た時点とか、丁寧な拾い方をした方がいいかもしれない。
それでも、結果は良好であった。
含水率の小さな差を拾い出しているように思う。
ただし、ダートコース良の場合、芝コースも良であることが多く、分割はうまくいかなかったので、芝コースに限った。
その代わり、芝「曇・良」も分けることができ、サンプル数の偏りを少しだけれど改善できる。
図表383-3の網掛け部分を、図表383-4の網掛け部分に差し替えできるかなと思う。

この手法で、すべてのレースで天候・馬場明細を出して集計することはおススメしない。
もちろん、わたしはこのブログ記事を書くために集計したが、サンプルが細かくなりすぎ、競馬予想に使える代物ではなくなった。

(
図表383-4)芝コース「晴・良」「曇・良」の細分化

馬場状態 馬場明細 天候 完走頭数 走破速度 上がり速度 差異 上がり差異
芝良 芝良ダ良 晴 112,487 60.08 61.10 1.46 2.68
芝良 芝良ダ稍 晴 24,270 59.79 60.82 1.17 2.40
芝良 芝良ダ重 晴 6,223 59.74 60.78 1.12 2.36
芝良 芝良ダ不 晴 179 59.69 60.89 1.07 2.47
芝良 芝良ダ良 曇 37,990 60.08 61.10 1.46 2.68
芝良 芝良ダ稍 曇 11,019 59.85 60.86 1.23 2.44
芝良 芝良ダ重 曇 3,848 59.97 60.67 1.35 2.25
芝良 芝良ダ不 曇 105 59.50 61.49 0.88 3.07
ダ良 芝良ダ良 晴 117,130 60.08 61.10 1.46 2.68
ダ良 芝稍ダ良 晴 226 56.85 55.28 -1.77 -3.14
ダ良 芝重ダ良 晴 0 0 0 0 0
ダ良 芝不ダ良 晴 0 0 0 0 0
ダ良 芝良ダ良 曇 39,058 60.08 61.10 1.46 2.68
ダ良 芝稍ダ良 曇 57 57.89 55.73 -0.73 -2.69
ダ良 芝重ダ良 曇 0 0 0 0 0
ダ良 芝不ダ良 曇 0 0 0 0 0
全体 520,218 58.62 58.42

(SiriusA+B)

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